荒天で3日目がキャンセルされた大会で最終日を首位の脇元華に3打差の4位からスタートした竹田は終盤まで遅れをとっていた。しかし13番のイーグルで差を縮め18番のバーディでトップに追いつき通算15アンダーでマリナ・アレックス(米)とのプレーオフに突入した。
「プレーオフは初めてでしたがこんなに長くかかってしまってすみません。(日没が近づき)このホールがラストと聞いていたので入れるしかないと思って打ちました」と1.2メートルのバーディパットをねじ込み栄冠に輝いた。
「これでQシリーズに行かなくていいっていうのが頭によぎってうれしいです」と喜んだ竹田。米ツアー挑戦のチャンスが巡ってきた興奮を隠せなかったが、93年&94年の賞金女王で自身も米ツアー参戦経験のある叔母・平瀬真由美からは「日本とアメリカではやはり差がある。勝てたのは幸運だけれどすぐに通用するわけではない」と厳しい言葉をいただいた。
TOTOで勝って米ツアー挑戦を決めたのは07年の上田桃子と昨年の稲見萌寧。上田はその年21歳で史上最年少賞金女王に輝いて渡米。08年ハワイでおこなわれたデビュー戦ではアニカ・ソレンスタムと最終日最終組で回りアニカが優勝、上田は8位に入っている。
その上田は竹田が優勝した日の晩、今季限りの現役引退を表明した。
「プロになって今年で20年。ゴルフを大切にし、ゴルフを中心に過ごしてきました」から始まるインスタグラムの投稿にはゴルフへの愛とすべての人への感謝が込められていた。
「2024年シーズンをもって、突っ走ってきた足を、一旦止めてみようと思います」
「10歳から始めたゴルフなので、私は28年間ゴルフと共に生きてきたことになります。そんな私に、これからどういう未来が待っているかわかりませんが、たくさん考えた末、次のステップへ歩き出そうと思います」
ツアー通算17勝を挙げた人気者は「残り数試合、最後まで私らしく、駆け抜けます!」と桃子らしい決意表明。
強気なのに少しだけ脆いところもある人間味溢れる名プレーヤー。若くして頂点に立った彼女がベテランと呼ばれる30代後半まで第一線で活躍し続けたのは感慨深い。
これから海外に羽ばたく竹田、もうすぐ表舞台から姿を消す上田。時代はめぐる。ともに今後の人生に幸あれ。