1966年に発売されて以来、その独創的な形と確かな性能で注目を浴びたアンサーパター。時が経ち、ピン社が申請した特許が切れると、他メーカーもアンサー型のパターを次々と作り始めた。現在でもパターを作るメーカーがラインナップに必ず入れるのはアンサータイプのモデルだ。

中でも人気なのはご存知スコッティ・キャメロンの削り出しパター「ニューポート」シリーズ。PGAツアーのトップランカーたちがニューポートを手にしており、その絶対的な人気と信頼感がうかがい知れる。今から20年前の1996年、キャメロン氏はこう語っている

「アンサーはパター史上で最高のモデルだと思います。特にバランスと機能、ウェート配分による安定した球の転がりに優れている。それに、どんなストロークにもフィットするんです。パターに求められるほとんどのことが、アンサーにはある。ただ、そんな名器を生み出したピンにも、やり残した部分がある。私はそこに自分のオリジナリティを加えているんです」

画像: パターデザイナーのスコッティ・キャメロン氏 写真/三木崇徳

パターデザイナーのスコッティ・キャメロン氏   
写真/三木崇徳

ピンがやり残したこと、それはフィーリングと精密さの追求だとキャメロンはこの時に言った。ブロンズやステンレスといったピンのオリジナル素材ではなく、カーボンスチールというよりソフトな材質を使う。そして、その素材を髪の毛の半分までの精度でヘッド形状に削り出す。この2点によってオリジナルを上回る、キャメロン流のアンサーが生み出されるのだ。

取材が行われた1996年当時、キャメロンはデザインからすべて新しいものを作るのでなく、今あるものに改良を加えて進化させることで自分のオリジナル性を出している。それが多くのプロに受け入れられ、高い使用率となって表れているわけだ。

キャメロンの作るアンサー型のパターは、ご存知の通りの2種類。アンサーを踏襲したニューポートと、アンサー2型のニューポート2である。ふっくらとした丸みのある形状のニューポートと、視覚的に四角く平たい印象を与えるニューポート2。どちらがいいかは完全に使い手の好みが優先される領域だ。かつてのタイガー・ウッズはニューポート2(昨今使っているナイキのパターも同様の形状)、ジョーダン・スピースはニューポートに近い「009」を愛用している。

キャメロンが語る「ピンがやり残したこと」は、削り出しで精度の高いパターを作ること。しかし、ピンも手をこまねいてるだけではない。近年は数年に一度削り出しのパターをリリースしており、それにはもちろんアンサーもラインナップされる。

画像: 当然ピンでも削り出しアンサーの開発・製造は行われている。近年ではさらにタングステンを封入するなどの新技術もツアープロ用に試している模様だ。写真はバッバ・ワトソンモデルの製造過程を示すサンプル。 写真/三木崇徳

当然ピンでも削り出しアンサーの開発・製造は行われている。近年ではさらにタングステンを封入するなどの新技術もツアープロ用に試している模様だ。写真はバッバ・ワトソンモデルの製造過程を示すサンプル。    

写真/三木崇徳

ピンでもスコッティ・キャメロンでも、人気があるのがアンサー2タイプだという。キャメロンはニューポートとニューポート2を常時ラインナップするのに対し、ピンはアンサー2だけ、というケースもある。そのかわり、ピンはアンサーをさらに進化させようと努力を惜しまない。「アンサーW」や「アンサーT」といったアンサーの派生形を絶えず研究開発しているのは本家の意地のなせる技だ。

画像: 創業者カーステン・ソルハイムの三男、ジョン・A・ソルハイム現PING会長が、デザインした新形状モデル pingfitting.jp

創業者カーステン・ソルハイムの三男、ジョン・A・ソルハイム現PING会長が、デザインした新形状モデル

pingfitting.jp

こちらはアンサーT。

画像: www.golf-okamura.com
www.golf-okamura.com

本家はオリジナルを守りながら、派生モデルを研究し、キャメロンはさらなる精度や素材の追求を怠らない。どちらも源流は初代のアンサーだが、その形状を守りながら、時代に合わせた進化の歩みは止まることがない。

2016年の最新作は「ヴォルト」シリーズ。削り出しの精度を高めたピンの自信作だ。

画像: ヴォルト・アンサー2。仕上げは2種類あり、写真の銀色の他に黒色もラインナップ 写真/有原裕晶

ヴォルト・アンサー2。仕上げは2種類あり、写真の銀色の他に黒色もラインナップ
写真/有原裕晶

近年ピンが開発に力を入れる「TR(True Roll=真実の転がり)溝」も採用されている。もともとミスヒットに強いアンサーを、さらにやさしくしようという狙いだ。やさしいパターが欲しいならば、もっと別のモデルもある。しかし「パターはアンサー型でなければいけない」と考える人が多いのも事実。そこで、アンサーの見た目はそのままに、フェース面に改良を加えたのだ。

画像: ヴォルト・アンサー2のフェース面。線のデザインや断面形状などが見直されたTR溝が刻まれる 写真/有原裕晶

ヴォルト・アンサー2のフェース面。線のデザインや断面形状などが見直されたTR溝が刻まれる
写真/有原裕晶

ピン、キャメロンを中心に進む「進化型アンサー」の開発。この先いったいどんなモデルが登場するのか。楽しみであるとともに、そんなパター、アンサーを開発したカーステン・ソルハイムに敬意を表して本項を終了したい。

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