2016年のブリヂストンオープン参戦のため来日した「ゴルフの科学者」ことアメリカ期待の星、ブライソン・デシャンボー。残念ながら、初日11ホールをプレーした後に背中痛のため棄権。週末彼のプレーを見るのを楽しみにしていたゴルファーのために、練習日にデシャンボーに密着したみんなのゴルフダイジェスト編集部員兼プロゴルファーの中村修が4つのキーワードでご紹介。

デシャンボーのゴルフ1:「長尺ウェッジ」でのアプローチがすごい!

「今回デシャンボーの練習ラウンドを取材して、衝撃を受けた点はいくつかありますが、そのうちのひとつにアプローチがあります。彼はサンドウェッジから4番アイアンまで、7番アイアンと同じ37.5インチに統一しているのが有名です。つまり、本来35〜35.5インチ前後のウェッジ類も、すべて37.5インチ、つまり『長尺ウェッジ』でアプローチしているのです」(中村修)

「長いクラブはインパクトでロフトが立って当たりにくく、必然的に出球が高くなります。ゆえにデシャンボーのアプローチは、本人いわく『ほとんど全部フラップショット』。日本的に言うならば、どんな状況からもロブショットで寄せています。これがまた寄るんですよ、憎たらしいほど。テレビで彼を観るときは、ぜひ長尺ウェッジによるアプローチに注目してみてください」

画像: ブリヂストンオープン会場の袖ヶ浦CCで「長尺アプローチ」を披露するデシャンボー youtu.be

ブリヂストンオープン会場の袖ヶ浦CCで「長尺アプローチ」を披露するデシャンボー

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デシャンボーのゴルフ2:インパクトの形で構える「インパクトフィックス」

「彼のスウィングは、基本的には『左1軸打法』。インパクトのカタチをアドレスで作っておいて、その場所に戻ってくる“インパクトフィックス”という考え方のようです。フェースを開閉せず、振り子のような動きでスウィングするため、練習ラウンドやレンジで練習を見ていても、曲がる気配がありません」

「ただ、当然ながらこの打ち方だと飛距離は多少犠牲になります。そう思って見ていたのですが、練習ラウンドの最終ホール、一緒に回っていたアマチュアゴルファーに『ドラコンをやろう』と持ちかけ、思い切り振ったときの飛距離は凄まじいものがありました。いずれにしても、再現性を極限まで重視した『ワンプレーンスウィング』によるスコアメークにも注目です」

デシャンボーのゴルフ3:ボールは塩水に浮かべてチェックの「理系のゴルフ」

「これはたびたび報道されているのでご存知の方も多いと思いますが、彼はボールを塩水に浮かべて、重心位置がズレていないかチェックし、検査に合格したものだけを試合では使うといいます。そのテストの結果、もっとも商品精度が高かったのがブリヂストンだったため、同社と契約したというのです」

「一事が万事で、彼のゴルフには道具選びからスウィングまで、すべてに理由や根拠、裏付けがあります。サイエンスの裏付けがあるからこそ、プレーに集中できる。それも彼の強さの秘密かもしれません」

画像: デシャンボーのゴルフ3:ボールは塩水に浮かべてチェックの「理系のゴルフ」

デシャンボーのゴルフ4:ウッドもアイアンも「極太グリップ」

「上の写真を見てください。『ああ、最近はやりのパターの極太グリップでしょ?』と思いきや、これ、普通のショット用のクラブのグリップなんです。この極太グリップには驚かされました」

「太いグリップを使うと、手首の動きがロックされます。手首の動きがロックされるということは、フェースの開閉を行いにくくなるということ。デシャンボーは基本的にはフェースを開閉せず、振り子の動きでスウィングするのを理想としています。このグリップは基本というか、常識からは大幅にはみ出していますが、彼にとってはこれを使うのが理にかなっている。常識にとらわれず、自由な発想で、理にかなったものを追求する。『科学者』たるゆえんがこのグリップに詰まっています」

見ての通り、個性溢れるデシャンボーのゴルフ。ぜひともテレビを通して、あるいはコースで直接見たかったが……次のチャンスを気長に待とう!

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