挑戦中の米女子ツアーでは苦戦中ながら、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンで見事優勝を遂げた畑岡奈紗。2017年の日本女子オープンに連覇をかけて挑む彼女の強さをゴルフスイングコンサルタントの吉田洋一郎が開催地、我孫子GCから解説!

体幹と下半身が飛距離の源

ちょうど1年前、烏山城カントリークラブで行われた日本女子オープン。3日目を終え首位に立っていたのはアマチュアの長野未祈(みのり)でした。日本女子オープン史上初めてのアマチュア優勝が期待される中、最終日に攻めのゴルフでスコアを伸ばしたのは、同じアマチュアの畑岡奈沙でした。

最終日、井上誠一設計のコースは難セッティングに仕上げられ、カップの位置も難しい場所に切られていましたが、その中でも果敢にピンを攻め、強気のパッティングで5つのバーディを奪ったプレースタイルは、とてもアマチュアのそれとは思えないものでした。

今季は米女子ツアーを主戦場に戦う畑岡ですが、初めてのプロ生活、しかも環境がこれまでとガラリと変わる中で、思うような結果が残せていません。そんな中、日本ツアーでは8月のCATレディース以来の参戦となった先週のミヤギテレビ杯で、プロとして初めて優勝を遂げました。

ゴルフを始めたのは11歳の頃だそうで、最近のジュニアにしてはゴルフ歴は浅いとも言えるかもしれません。しかし高校時代にはナショナルチームのメンバーにも選ばれ、世界ジュニアゴルフ選手権で連覇を遂げるなど同世代の中でも実力はトップクラスです。

ナショナルチーム時代から畑岡のフィジカル面のサポートをする栖原(すはら)弘和トレーナーに、彼女の強さについて話を聞きました。

「畑岡選手の特徴は、強く振りに行った時でもバランスが崩れない体幹の強さです。私がサポートを始めたのは3年ほど前からなのですが、成長期という事もあり特定の部位を鍛えるのではなく、体全体のバランスをみながら強くしていく方法を採りました」

画像: ダウンスウィング時の左足の踏み込みが生む地面反力を、鍛えた体幹で受け止める。これが畑岡の飛距離の秘密だ

ダウンスウィング時の左足の踏み込みが生む地面反力を、鍛えた体幹で受け止める。これが畑岡の飛距離の秘密だ

畑岡の身長は158cmと米ツアーではかなり小さいほうの部類に入りますが、下半身の安定感は他の選手に引けを取りません。

「確かに腿周りの強さは特徴としてありますが、目指すのは全体的にバランスを整える事です。パワーとスピードの両立がテーマです。もともと飛距離が出る選手ではありましたが、結果3年間で10ヤード以上飛距離を伸ばしています」(栖原トレーナー)

この日の弾道計測器・トラックマンでの計測でも260ヤードを記録するなど、女子ツアーの中でもトップクラスの数値を出していました。

畑岡の特徴は、ダウンスウィング時の左足の踏み込みです。この下半身で生み出された地面反力を上半身に伝えていく際、体幹がしっかりしていないとエネルギーをロスしてしまいますが、体幹部分のトレーニングを積むことで効率よくヘッドまで力を伝える事ができているのです。

課題はアドレスのズレ

栖原と同じくジュニア時代から畑岡をサポートするのが、ガース・ジョーンズです。ジョーンズはオーストラリア出身のコーチで、日本のナショナルチームのヘッドコーチを務めています。

「奈紗はまだ若いが、スウィングの完成度は高いと思います。今、気を付けているのはいわゆる”ポスチャーコントロール”という、アドレスの姿勢を維持することですね」(ジョーンズ)

画像: 畑岡のコーチを務めるジョーンズ(写真右から2番目)は「アドレスの姿勢の維持」が課題と話す

畑岡のコーチを務めるジョーンズ(写真右から2番目)は「アドレスの姿勢の維持」が課題と話す

畑岡は時折インパクト時に骨盤が伸上がって、ボールに近づくような動きが出てしまう事があるようです。

「そうならないためにアドレス時にしっかりと”骨盤を入れる”ようにして構え、前傾確度をキープできるような準備をしなくてはなりません。米ツアーは長距離の移動が多く、サポート体制も万全ではないため、どうしても体のゆがみや感覚のズレなどが生じやすい状況にあります。その際に、そういった微妙なズレが出ないようにコントロールをする事はとても重要なのです」(ジョーンズ)

短い時間でしたが練習場でのショットを見ていて「高くて強い球を打つ選手だな」という印象を持ちました。これは、距離を出しつつピンポイントで狙っていかなければならない米ツアーのコースと対峙するためには、必要不可欠な能力です。

中学時代に、中島常幸プロが主宰する「ヒルズゴルフ・トミーアカデミー」の門を叩いたという畑岡。下半身をスウィングの動力源にして飛距離を出すスタイルには世界を戦った「トミーイズム」が継承されているのかもしれません。

先週からの調子をそのままに女子オープンの連覇も期待ができそうです。

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