ついに復活したタイガー・ウッズ。PGAツアーが公式ツイッターで配信したタイガーのスウィングを、プロゴルファーであり本誌編集部員でもある中村修が解説!
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以前のタイガーのスウィングは、下半身をしっかりと安定させて上半身をねじり上げ、限界まで蓄えてエネルギーを切り返し以降で一気に解放し、インパクトに最大限のパワーを集中させるような力感あふれるものでした。デビュー当時のタイガーは、そのスウィングから生まれる圧倒的な飛距離で大きくアドバンテージを取り、世界のトップへと登りつめていきました。

画像: 1998年当時のタイガーのドライバーショット。トップで蓄えたエネルギーをダウンスウィングで一気に解放し、驚異的な飛距離を記録した

1998年当時のタイガーのドライバーショット。トップで蓄えたエネルギーをダウンスウィングで一気に解放し、驚異的な飛距離を記録した

それから約20年の時が経ち、当時圧倒的だったタイガーの飛距離は今やツアーの「当たり前」になってきました。そしてタイガー自身はといえば、傷ついた体に手術のメスを何度も入れています。その結果、今回復帰したタイガーのスウィングは、以前の印象とはちょっと異なるものとなっています。

やさしくて大きくて曲がらない。現代ドライバーに合わせてきた

一言でいえば、クラブと体が同調したスウィング、と言えると思います。ひとつめのポイントは切り返し。以前は上半身を限界までねじり上げるようなバックスウィングを一気に解放していましたが、今のスウィングはバックスウィングの途中から下半身を無理なく先行させ、スムーズに切り返しを行っています。

これにより、もしかしたらマックスの飛距離は落ちるかもしれませんが、体を高速回転させることによる振り遅れのリスクが減り、クラブと体が同調しやすくなる結果、曲がり幅は少なくなってくると思います。動画のショットは少し左に曲がっていますが、まず想定内の曲がり幅と言えるはずです。

このスウィングの変化は、使用クラブにも表れています。タイガーが復帰戦に選んだのはテーラーメイドの「M2」。大型ヘッドで慣性モーメントが大きく、曲がり幅の少ない「やさしい」ドライバーです。以前のタイガーが好んだ、小ぶりヘッドで操作性の高い洋ナシ型ヘッドとは大きく異なります。

クラブヘッドを完璧に自分の支配下に置くのではなく、ある程度、曲がらないクラブに任せる。それによりショットを安定させ、同時に怪我のリスクを減らしているように思います。

インパクト以降、右肩がスッと上がってくる

怪我のリスクを減らすことを言い換えれば、それは「体にやさしいスウィング」ということになります。そこで注目したいのはダウンスウィング以降の右肩の動きです。以前のタイガーはインパクト以降もギリギリまで右肩が低い位置にありましたが、今のスウィングを見ると、インパクト以降のヘッドの動きに同調して右肩がスッと上がっていきます。

それにより、インパクト以降前傾角度が早めに起き上がり、フィニッシュではほぼ体が起き上がった状態になっています。腰やひざへの負担の少ない、体にやさしいスウィング。以前のような迫力は多少影を潜めましたが、スウィングの質はむしろアップしているかもしれません。

クラブに合わせて、自分の体のコンディションに合わせて“進化”したタイガーのスウィングは、ツアーで十分に戦える状態まで回復してきています。来年の活躍が楽しみになりました。

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