華やかに幕を開けたゴルフの祭典マスターズ。「天国にゴルフ場があるとしたら、オーガスタに瓜二つに違いない」(by ゲーリー・プレーヤー)といわれるほど、誰もが憧れる夢の舞台。無念の棄権を表明した選手もいれば、悲壮な決意で舞台に上がっている選手もいる。

前日にまさかのアクシデントで欠場したダスティン・ジョンソン

世界ランク1位、目下PGAツアー3連勝中で「ゴルフ人生最高潮」というダスティン・ジョンソンが2017年のマスターズ初日、1ショットも放つことなく会場を後にした。

ご存知の通り棄権の理由は大会前日、宿舎の階段から落ち背中から腰を強打したこと。「一番好き名試合なのに……。100パーセントでクラブを振ることができない」と悔しがるが、なんとも間抜けな話ではある。

画像: 優勝候補筆頭のダスティン・ジョンソンが欠場と波乱の幕開け

優勝候補筆頭のダスティン・ジョンソンが欠場と波乱の幕開け

世界ランク1位の選手がマスターズを棄権したのは2014年のタイガー・ウッズに続き史上2人目。そのタイガーも1997年、ゴルフ史に残る初優勝から20年目の節目の年の出場が期待されながら「まだ戦える段階ではない」と欠場を表明した。

当然ながら選手たちは皆、様々な事情を抱えてオーガスタの地を踏んでいる。そして今回悲壮な覚悟で舞台に上がっているのが世界ランク36位のゲーリー・ウッドランドだ。

途中棄権を覚悟の上、出場したゲーリー・ウッドランド

ウッドランドといえばデビュー当時は単なる“飛ばし屋”だったが、来月33歳の誕生日を迎える今季は優勝こそないものの2位に2度入るなど200万ドル以上(約2億2千万円)を稼ぎフェデックスカップポイントランク12位につける“優良”中堅プレーヤーである。

その彼が今回、途中棄権覚悟でマスターズに挑んでいるのを知っている人は少ない。実は彼、2週間前のWGCデルマッチプレー選手権を途中棄権している。その理由は妻ギャビーさんの流産だった。

双子を妊娠中だったギャビーさんは妊娠18週目を迎えていた。順調に育っていると思われたが突如二卵性双生児の一方、女の子の方の羊膜が破れ破水。病院に急行したが死産という悲しい結果が待っていた。

画像: マスターズ初日はボギーを3つ叩き+3の41位Tで終えた

マスターズ初日はボギーを3つ叩き+3の41位Tで終えた

知らせを受けたウッドランドはすぐさま試合を棄権し病院に駆けつけた。「横っ面を引っ叩かれた思いだったよ。それまでも頭ではわかっていたけれど、自分にとってゴルフ以上に大切なものがあることに改めて気付かされた。自分にとって家族が一番なんだ」

幸い双子の一方、男の子のほうは無事で健康状態も良好。ギャビーさんは安静を保ちながら大切な第一子の誕生に備えることになった。ただ妻の容態が安定してもウッドランドの気持ちは揺れていた。「マスターズを休んでキミの側にいたい」という夫に妻は「試合に出て! 私も行きたいけれどここから見守るから」と背中を押した。

初日を終えウッドランドは3オーバー75、41位タイにつけたが「妻と息子になにかあれば、すぐにクラブを置いて駆けつける準備はできている」と語っている。

優勝よりも、家族を優先する「ファミリーファースト」

1999年の全米オープンではフィル・ミケルソンが妻エイミーさんの出産を目前に控え、いつそのときが来ても良いようにポケベルを携帯し、ペイン・スチュワートと一騎打ちを演じたもの。ポケベルというのが時代を感じさせるが、自身のメジャー初優勝がかかる重要な戦いでも、彼はトロフィーを捨て家族を優先するつもりだった。

ジェイソン・デイも肺ガンで闘病中の母の容態次第ではマスターズ欠場も辞さなかった。幸い先月24日の手術が成功し参戦を決めたが、欧米の選手たちがいかに“ファミリーファースト”かを物語るエピソードである。

応援したい選手は数多くいるが、ウッドランドの健闘も祈りたい。

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