米女子ツアーは今季メジャー第2戦KPMG女子PGA選手権が開催中。この大会に特別な思いで臨んでいるプレーヤーがいる。それはメジャー初戦のANAインスピレーションで4打罰を受け涙をのんだレクシー・トンプソンだ。雪辱に燃える彼女がメジャーに勝ちたいもう1つのワケとは…?

特別な思いで望むメジャー2戦目

荒天で順延となった第1ラウンド終了後、トップと4打差の暫定23位タイにつけたレクシーの口から語られた事実に、記者たちは一瞬言葉を失った。

「実は母が子宮ガンなのです。23日前に摘出手術は受け成功しているのですが、まだ治療は続いています。今日も3回目の放射線治療を受けているところです」

画像: 自信2度目のメジャータイトル獲得に望むトンプソン(写真:2017年サロンパスレディス初日、撮影:岡沢裕行)

自信2度目のメジャータイトル獲得に望むトンプソン(写真:2017年サロンパスレディス初日、撮影:岡沢裕行)

舞台のオリンピアフィールドCCからおよそ2000キロ離れたフロリダ州南部の病院で、母・ジュディさんは娘を思いガンと闘っている。

世界ランク4位につけアメリカ人ナンバー1プレーヤーとなったレクシーの母であり、2人の息子もプロゴルファーに育て上げた肝っ玉母さん。実は彼女、10年前に乳ガンを患った経験がある。

病を乗り越え、これまで影になり日向になり子供たちを支え、特にレクシーにはまるで二卵性双生児のように寄り添ってきたジュディさん。最愛の人が隣にいない日々は娘にとって「身を切るように辛い…」という。

だがレクシーは前を向く。母はいつもこういって娘を励ましてくれた。

「何があっても私はあなたを愛しているわ。だから行ってらっしゃい。ベストを尽くしてプレーしてきなさい!」。その言葉に背中を押され娘は今日もティグランドに立つ。

12歳で全米女子オープンの出場権を掴んだ日も、16歳でツアー初優勝(ナビスターLPGAクラシック)を飾ったときも、10代最後の年にメジャーチャンピオン(クラフト・ナビスコ選手権)になった日もそうだった。

画像: 初のメジャー制覇は3年前。2勝目はすぐそこだ(写真は2014年クラフトナビスコ選手権、撮影:南しずか)

初のメジャー制覇は3年前。2勝目はすぐそこだ(写真は2014年クラフトナビスコ選手権、撮影:南しずか)

そして今年、後続に大差をつけてトーナメント(ANAインスピレーション)をリードしながら、肝心のサンデーバック9で視聴者からの指摘を受けた競技委員の采配で4打罰を科され、プレーオフでリュウ・ソヨンに負けたあの日も、母はいつもと変わらぬ力強い言葉で娘を送り出してくれた。

「母は私のお手本のような存在です。大好きで大好きでたまらない。辛いけれど、こうして頑張れているのは母のおかげです」

順調にいけば2週間後の全米女子オープンの頃、ジュディさんはレクシーに合流できるそうだ。母の不在がレクシーを益々強くする!? 今週の彼女のプレーに注目だ。

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