特別な思いで望むメジャー2戦目
荒天で順延となった第1ラウンド終了後、トップと4打差の暫定23位タイにつけたレクシーの口から語られた事実に、記者たちは一瞬言葉を失った。
「実は母が子宮ガンなのです。23日前に摘出手術は受け成功しているのですが、まだ治療は続いています。今日も3回目の放射線治療を受けているところです」
舞台のオリンピアフィールドCCからおよそ2000キロ離れたフロリダ州南部の病院で、母・ジュディさんは娘を思いガンと闘っている。
世界ランク4位につけアメリカ人ナンバー1プレーヤーとなったレクシーの母であり、2人の息子もプロゴルファーに育て上げた肝っ玉母さん。実は彼女、10年前に乳ガンを患った経験がある。
病を乗り越え、これまで影になり日向になり子供たちを支え、特にレクシーにはまるで二卵性双生児のように寄り添ってきたジュディさん。最愛の人が隣にいない日々は娘にとって「身を切るように辛い…」という。
だがレクシーは前を向く。母はいつもこういって娘を励ましてくれた。
「何があっても私はあなたを愛しているわ。だから行ってらっしゃい。ベストを尽くしてプレーしてきなさい!」。その言葉に背中を押され娘は今日もティグランドに立つ。
12歳で全米女子オープンの出場権を掴んだ日も、16歳でツアー初優勝(ナビスターLPGAクラシック)を飾ったときも、10代最後の年にメジャーチャンピオン(クラフト・ナビスコ選手権)になった日もそうだった。
そして今年、後続に大差をつけてトーナメント(ANAインスピレーション)をリードしながら、肝心のサンデーバック9で視聴者からの指摘を受けた競技委員の采配で4打罰を科され、プレーオフでリュウ・ソヨンに負けたあの日も、母はいつもと変わらぬ力強い言葉で娘を送り出してくれた。
「母は私のお手本のような存在です。大好きで大好きでたまらない。辛いけれど、こうして頑張れているのは母のおかげです」
順調にいけば2週間後の全米女子オープンの頃、ジュディさんはレクシーに合流できるそうだ。母の不在がレクシーを益々強くする!? 今週の彼女のプレーに注目だ。