女子プロたちの熱い戦いが繰り広げられている2017年の日本女子オープン。練習日にドライビングレンジを訪ねてみると、多くの女子プロたちが足元に棒状の器具を置いて練習している光景が見られる。これってなんで? プロゴルファー・中村修が分析した。

日本女子オープンの会場、我孫子GCを水曜日に訪ねてきました。女子プロたちがどんな練習をしているのかをチェックすべく練習場に足を運ぶと、非常に多くの選手が足元にスティックを置いて練習している姿がみられます。

置く位置は選手によって違いがありますが、ボールと足元の間に、ターゲットラインと平行な状態で置いているケースが多いようです。では、なぜスティックを置くのでしょうか。

プロは常にターゲットを狙って打っている

ご存知の方も多いとは思いますが、ターゲットに対してスクェアに構えることがゴルフのアドレスでは重要です。ゴルフは、常にターゲットを狙って打つスポーツだからです。間違った方向に会心のショットを放っても、それはミスショットなのです。

写真1はスティックを足元に置いて練習するイ・ボミ選手。コーチが真後ろに立ち、ターゲットに対してどう打っているかをチェックしています。

画像: (写真1)イ・ボミはボールと足元の間にスティック置いて練習する

(写真1)イ・ボミはボールと足元の間にスティック置いて練習する

狙った方向に打ち出せているか、トッププロでもそこを常にチェックしているのです。日本女子オープンのように、セッティングが難しい試合ほど、そのことの重要度は増します。

ゴルフはターゲットに対して正対しない

ゴルフはターゲットスポーツですが、ターゲットに対して体の向きも、目線も、正対していません。ダーツやカーリングなど、ターゲットを狙うスポーツの多くは体も目線もターゲットに正対しているにもかかわらず、です。弓道、アーチェリー、ライフル射撃などは、半身に構える競技でも、目線は正対しています。

目線も、体もターゲットに正対しないのは、ゴルフの大きな特徴。ターゲットに向かず、ターゲットを見ずにターゲットに飛ばさなくてはならないので、知らず知らずのうちに体の向きやボールの位置などがズレやすく、調子を崩す原因にもなるのです。

それは、ショットだけでなくパッティングでも同じことが言えます。写真2は練習グリーンでヘッドの幅にスティックを2本置いて、ショートパットをする比嘉真美子選手です。体の向き、目線を入念にチェックしています。この置き方だとヘッドの軌道やフェース向きもチェックできます。

画像: スティックをヘッドの幅に置きショートパットを練習する比嘉真美子(写真2)

スティックをヘッドの幅に置きショートパットを練習する比嘉真美子(写真2)

鈴木愛は高くティアップしたアイアンを打つ

鈴木愛選手の場合は、足元にボミ選手と同じように棒を置き、その上で高くティアップしたアイアンを打っていました。練習法も興味深いものでした。方向や体の向きを正しながら、高くティアップしたボールをアイアンで打つことで入射角を一定にし、芯でとらえる練習に発展させています。3次元的にスクェア感覚を養う練習と言えそうです。

画像: スティックを足元に置き高くティアップしたボールをアイアンで打つ鈴木愛(写真3)

スティックを足元に置き高くティアップしたボールをアイアンで打つ鈴木愛(写真3)

畑岡奈紗はボール3個で出球の方向を確認

足元に棒こそ置いていませんが、違う方法でターゲットに対する意識を高めていたのが、日本女子オープンの連覇を狙う畑岡奈紗選手です。ボールから1メートル弱のところに3つのボールを並べて
、その上に出球を通す練習していました。

このやり方なら、目線は下を向けたまま、出球の方向をイメージできます。遠くのターゲットではなく、近くのスパット(目印)の上を通すことで、ヘッドアップを防ぎ方向性を向上させる効果もありそうです。

画像: 畑岡奈紗はボールを3つ置き、その上をボールが通過するように練習する(写真4)

畑岡奈紗はボールを3つ置き、その上をボールが通過するように練習する(写真4)

ゴルフはターゲットスポーツです。そして、ラフは深いほど、フェアウェイは狭いほど、グリーンは硬いほど、より高い精度でターゲットを狙う技量が求められます。日本女子オープン観戦の際は、プロたちがどこを狙って、結果どうだったのか。その辺りに注目してみるのも一興ですよ。

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