日本女子オープンの連覇を二週連続優勝で飾った畑岡奈紗。新時代の旗手であることを実力で証明した畑岡だが、アメリカで過ごした2017年シーズンは苦しいものだった。畑岡を“復活”させたものはなんだったのか、父・仁一さんに聞いた。

「せっかく持ってきてもらったけど、醤油は使わない」

昨年の「日本女子オープン」で優勝したが、日本でのツアー参戦を選ばずに、年末の米ツアーの予選会をクリアし米ツアー挑戦の道を選んだ畑岡奈紗。

しかし、その道は決して平坦ではなかった。2017年1月から始まった米ツアーでは19試合に出場し棄権を含めて予選落ちが12回、最高位も日本に一時帰国する前の7月までは56位と低迷しどん底を味わっていた。その頃、家族の歯車も狂い始めていたという。

「夫婦間、親子間、兄弟間のすべての歯車が狂っていた気がします。昨年、アマチュアで日本女子オープンを優勝してから家族を取り巻く状況は目まぐるしく変わり、そのまま米国に渡りました。でも思うような成績が出せなかったことが大きかったんだと思います」(父の仁一さん)

どん底を味わっていた畑岡に会いに行った仁一さんからこんなエピソードを聞いた。

「おばあさんから慣れない食事に困っているだろうからと日本から醤油を託されたんです、ところが奈紗は使わなかったんです。『米国の与えられた環境でやっていくんだから、せっかく持ってきてもらったけど醤油は使わない』。これには、この子は本気なんだと実感しました」(仁一さん)

そんな中転機になったのは一時帰国した8月。世界ジュニアに3度同行した井上透ツアーコーチからの助言がきっかけだった。

画像: 両親と優勝カップを手にする畑岡奈紗

両親と優勝カップを手にする畑岡奈紗

井上透コーチの分析から見つかった練習法とは……!?

「いろんな人がすり寄って来る中、井上さんだけが来なかったんです。なのでこちらから連絡を取って助言をもらえるかお願いしました。井上さんには、3年間世界ジュニアに連れて行ってもらっていましたし、奈紗のことをよく見てくれていたので」(仁一さん)

仁一さんは井上コーチに連絡を入れ、井上はこれを快諾。やってきた畑岡親子に井上コーチは、日本でやっていたこと、米国でやらなくなったこと、米国ではじめたことなどランチを挟んで些細なこともすべて聞き出し、整理したという。そして、その中から一つだけ米国に行ってやっていなかったことが見つかった。

「それはトスバッティングだったんです」(仁一さん)

バットを振ることを再開した畑岡は、8月11日から開催された「NEC軽井沢」は予選落ちしたものの、翌週の「CATレディース」では18位タイと復調の兆しを見せ、再渡米後の「キャンビア・ポートランド・クラシック」では15位タイ、翌週の最終戦も予選通過と手ごたえをつかんで帰国した。

そして、「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で2位に4打差をつけ優勝し、翌週の「日本女子オープン」連覇という偉業を成し遂げたのはご存知の通りだ。

「わずか2か月前のことですが、(その当時は)まさかこんな日が来るとは思えませんでした」と仁一さん。今では家族の歯車もスムーズに回り始めたという。

「来季の米ツアー再挑戦を踏まえて、親としてできることを、本人の意思を尊重してサポートしていきたい」と語った仁一さんの表情は、極めておだやかなものだった。

写真/岡沢裕行

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.