2017年12月16日、全日本ショートコース選手権の決勝上位者と、予選を勝ち上がったジュニアが、ショートコースを舞台にプロゴルファーと同じ土俵で戦う夢のイベント「みんなのゴルフダイジェスト ドリームカップ」が開催された。小技自慢の社会人アマ、未来のプロ、そして現役プロたちの熱戦の模様をレポート!

「プロと一緒でも、優勝しか狙いません」

その日、北谷津ゴルフガーデンは静かな熱気と緊張感に包まれていた。全国の小技自慢と腕に自信のジュニアたちが、ツアー通算15勝のプロ軍団と、同じティからプレーし、ハンディなしでスコアを争う。しかも舞台はパー72ならぬパー54、ほとんどが100ヤードに満たないパー3の18ホールで構成される、ショートコースだ。

「プロと一緒だからといって、狙うのは優勝であることに変わりはありません。プロたちは物見遊山気分があるはず。それに対して、こちらは真剣ですからね」

そうスタート前に意気込みを語ってくれたのは、全日本ショートコース選手権決勝で5位に入った実力者、わたなべ桃太郎選手。練習ラウンドもこなし、気合は十分。とはいえ、対するプロにも実は油断はない。

画像: プロアマ総勢50名の選手たちがショートコースで腕を競った

プロアマ総勢50名の選手たちがショートコースで腕を競った

「ショートコースをプレーするのは30年ぶりくらいでしょうか。でも、アマチュアとプレーするのは“オープン競技”で慣れていますから。普段プレーするオープン競技はプロのほうが多いけど、今日はアマチュアのほうが割合が多いだけですからね。いつも通りにプレーします」(合田洋)

「北谷津ゴルフガーデンは、高校生の頃、ゴルフ部の朝練で毎日プレーしていたんです。だから30年……正確に言えば29年ぶりかな。プレーしていくうちに、コースも思い出すはずです」(丸山大輔)

と、メジャータイトルホルダーの合田洋プロ、ツアー通算3勝の丸山大輔プロともに、リラックスした表情ながらも、百戦錬磨の貫禄をスタート前から見せている。練習グリーン上ではツアー通算5勝の横尾要プロが「勝負はグリーン上になる」とパター練習に余念がない。負けず嫌い集団であるプロゴルファーたち。舞台がショートコースであろうと、アマチュアと一緒のプレーであろうと、彼らが狙うのは勝利のみだ。

地元ゴルファーに愛される、憩いの場。そんな普段のイメージとは一味違う雰囲気の中、選手たちはスタートしていった。

男子ツアープロたちが、その実力を見せつけた

前半からバーディを重ねていったのは、横尾要プロ、そしてコース所属の篠崎紀夫プロ。ともに前半はアップダウンの激しい東コースをプレーし、4アンダー「23」と飛び出していった。この二人を、西コースからスタートした合田洋、市原建彦の両プロが「26」、丸山大輔プロが「27」で追う展開となった。

アマチュアで気を吐いたのがダイナミックゴルフ茂原で行われたジュニア・学生予選の高校生の部をアンダーパーで勝ち上がってきた中川拓海選手。東コースを3アンダー「24」という爆発的スコアでラウンドし、後半に“アマチュア優勝”への望みをつないだ。関東中学校ゴルフ選手権2位の実績を持つ中学2年生、大野倖選手もプロと同組でもひるむことなく東コースを「26」でプレーしてみせた。

しかし、後半で強さを見せたのは、やはり男子プロ軍団だった。合田洋プロが「24」。丸山大輔プロが「23」と、アマチュアゴルファーたちを厳しいピンポジションと超高速グリーンで苦しめた北谷津の東コースを難なく攻略し、西コースをプレー中の横尾・篠崎両プロを待つ展開に。

画像: 後半の東コースでこの日のベストスコアタイである「 23」を叩き出した丸山大輔プロ

後半の東コースでこの日のベストスコアタイである「 23」を叩き出した丸山大輔プロ

勝負を決めたのは、西コースの8番ホールだった。このホールを横尾要プロがバーディとしたのを確認した、その時点でトップの篠崎紀夫プロが「目の前でバーディをとられて、プレッシャーをかけられてしまった」とこのホールまさかのボギー。

バーディ・ボギーで順位が入れ替わると、両者にとって最終ホールとなった西コース9番ホールはともにパー。7アンダーという圧巻のスコアで、横尾要プロが「みんなのゴルフダイジェスト ドリームカップ」の栄冠を勝ち取った。

画像: 最終ホールのバーディパットに臨む横尾プロ。勝負師の表情を見せてくれた

最終ホールのバーディパットに臨む横尾プロ。勝負師の表情を見せてくれた

「7アンダーというスコアは、ホールアウトした時は大したスコアではないと思いましたが、みんなが思ったよりも苦戦したんだなと(笑)。今日はピンの位置が厳しかったので、それでプロとアマチュアの差が出たのかなと思います」(横尾)

と、余裕たっぷりで勝者の弁を語ってくれた。この日のピンポジションは本当に厳しく、ピンを狙ってグリーンを外すと簡単にボギーになってしまうホールばかり。パターとウェッジ数本を握りしめ、使用が認められていた距離計測器も使用せず、フィーリングだけで8つのバーディ(1ボギー)を積み重ねるプレーは圧巻そのものだった。

ジュニアたちの健闘も光った。前半に24を叩き出した中川拓海選手は後半も28でプレーし、トータル2アンダー6位。大野倖選手は後半を27とパープレーで回り、トータル1アンダーの7位でプレーを終えた。プロが13名参加している試合で、大健闘だ。

画像: プロに混じり2アンダー6位と健闘した高校一年生の中川拓海選手

プロに混じり2アンダー6位と健闘した高校一年生の中川拓海選手

全日本ショートコース選手権を勝ち上がってきた社会人アマたちも大いに気を吐いた、「迫さん、上手すぎ!」と同組でプレーした甲田良美プロが脱帽していたショートコース選手権の名物プレーヤー、迫一行さんがトータル4オーバーの20位タイと気を吐けば、「勝ちにきた」と語っていたわたなべ選手は高野直樹選手とともにホールインワンを達成し、仲良く3オーバーでホールアウト。マッチングスコア方式で、わたなべ選手は17位、高野選手は18位でプレーを終えた。

画像: 西コース6番ホールでホールインワンを達成。「娘に自慢できます」と笑顔のわたなべ選手

西コース6番ホールでホールインワンを達成。「娘に自慢できます」と笑顔のわたなべ選手

高野選手は前半の西コースで33とスコアを崩したものの、後半はエースもあって24を叩き出し、社会人アマの意地を見せてくれた。

女子プロ勢ではハタチの乗富結プロの1アンダー9位タイが最上位。小学生アマふたりとスリーサムでのラウンドを2オーバー14位で終えたた安田彩乃プロが、「ピンポジションが難しかった分だけ、技術の引き出しの多い男子プロとの差が出てしまった」と感想を語ってくれた。

画像: ホールアウト後「オフの間ここで練習します!」と語ってくれた安田彩乃プロ

ホールアウト後「オフの間ここで練習します!」と語ってくれた安田彩乃プロ

「ショートコースでの試合も、ジュニアと一緒にプレーするのも珍しくて、すごく楽しかったです! コースが難しかった分、めっちゃ頭を使いました(笑)。個人的には課題がたくさん見つかりましたし、男子プロのアプローチの引き出しの多さも改めてわかりました。オフの間、ここに通おうと思います」(安田)

男女プロゴルファー、社会人アマチュア、そしてジュニアゴルファー。普段は触れあう機会の少ないゴルファーたちが、誰もが気軽に来られるショートコースという場で、真剣勝負を繰り広げる。この日、北谷津ゴルフガーデンを包んだ熱気は、冬としては暖かい気温のせいだけではない。そう断言できる1日だった。

画像: 男子ツアープロたちが、その実力を見せつけた

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