一見正しい言葉も副作用に注意
ずっとスライスに悩んでいて、スライスが直るという色々な方法を試したけれど、何やってもよくないばかりか、最近は悪化さえしているのは・・・。
そんなゴルファーに、「耳に残る言葉に惑わされ、レッスンの本質を見落としているから」と厳しい言葉を投げかけるのは、″屋根裏のプロゴルファー″こと、タケ小山プロだ。
解説してくれた人

タケ小山プロ
長くアメリカで活動し、アメリカのレッスン理論やツアー事情に精通する
「『頭を残せ』とか『手を返せ』とか、そういう″いかにも効きそうな言葉″の部分ばかりを小手先で試しても、動きがおかしくなるだけでスライスは直りません。『もっとフックに握れ』とか『クローズスタンスで立て』とかも同じ。むしろ、その言葉を実行しようとした際に、現れるデメリットで、もっとスライスにしちゃいますよ」
BAD WORD1
「もっとフックに握れ」

これは危険!

こうなる!
かぶせて握って開いて当てる



アドレスでグリップをフックに握っても、腕の向きをキープできず左腕を外旋すると、フェースがかぶってしまう。そのままだと引っかけるので、嫌がってフェースを開きながら打つ人が多い。これではスライスしてしまう。
BAD WORD2
「クローズスタンスで立て」

こうなる!
ただ右を向いてスライスを打つだけ


これじゃ右OB
右足をやや引いて構えるクローズスタンスは、クラブをインサイドから下ろしやすく、左の壁も作りやすいのでカット軌道を矯正する効果がある。しかし、スタンス全体を右に向けてもただ右を向いてスライスを打つだけだ。

クローズに構えようとすると、ボールの位置が右寄りになりやすく、インパクトが詰まってより球がつかまらず、スライスを悪化させる原因にもなる
え?頭を残したり、手を返したりしちゃダメってことですか?
「いやいや、そうじゃない。たとえば頭を残すこと、つまり『ヘッド・ビハインド・ザ・ボール』はグッドスウィングの絶対条件。インパクトの瞬間に頭がボールよりも左にあるプロゴルファーなんていませんよね。でも、突っ込むクセのあるアマチュアが『頭を残そう』とすると、右足体重の『明治の大砲』になりやすい」
BAD WORD3
「手を返せ」

こうなる!
腕に力が入って軌道もリズムも悪くなる


球をつかまえるにはフェースターンは必須条件。しかし、これはクラブが正しい軌道で動いた結果としてフェースが返るので、軌道が悪いのに無理矢理手を返しても、力んでカット軌道が悪化したりリズムが悪くなるだけ。

カット軌道で腕を返そうとすると、左に打ち出して左に曲がる「引っかけ」も出やすくなる。右だけでなく、逆球の左のミスまで増えてしまう
BAD WORD4
「頭を残せ」


こうなる!
右体重のまま「明治の大砲」


上体の突っ込みを直すために「ビハインド・ザ・ボール」を意識しすぎると、左に体重を乗せられずに右に残ったままの「明治の大砲」になりやすい。これでフェースも返らず球がつかまらないので、スライスは悪化する。

頭を残そうと思って右に体重が残ったままのダウンスウィングでは、右肩が下がってダフったり極端なインサイドアウト軌道になってのプッシュアウトのミスも出る
ひとつの言葉にとらわれすぎてはいけない、ということですか?
「そう。自分がどうしてスライスするのかを見極めて、そこを直すための正しい工夫をすることが大事ってことですよ」と、タケ小山プロ。
この″4つの言葉″が貴方のスライスをさらに悪化させているんですね・・・。今回は、ここまで。Vol.2では、タケ小山プロのレッスンをご紹介します!
出典/2014年月刊ゴルフダイジェスト10月号