まずは、松森彩夏、ジョン・ミジョン、渡邉彩香 3人のスウィングを見てみよう。
大きなアークと太い軸で振るスウィング 松森彩夏

長身ゆえに腰の位置が高く、スッと立っている

腕はアドレスの形で胸の前に置いたまま、股関節よりも上でねじってテークバック

両ひざから頭までに太い軸を感じるトップ。前掲も保たれている

太い軸で切り返し、フェースはシャット気味に下す

左腕とクラブが一直線のインパクト

長い腕を生かしたダイナミックなフォロー

バランスの取れた無理のないフィニッシュ
どっしりと構えて、懐が広いスウィング ジョン・ミジョン
両ひざの間隔を広くすることで下半身の動きすぎを抑えている
クラブを立てるようにコックを積極的に使っている
右のかかとにしっかり体重の乗ったトップ
下半身リードでタメのあるダウンスウィング
インパクト以降も、フェースの向きをキープしたまま
グリップエンドがおへそを向いたまま体の回転で大きくフォローをとる
ヘッドがターゲット方向を向くまで“回し込む”フィニッシュ
超飛距離を生む“タテ振り”スウィング 渡邉彩香
手と体の距離が近いのが特徴
クラブをタテに使うため、コックは早い段階で使う
大きなトップ。助走の距離を長くすることで、速いヘッドスピードを生む
切り返しで踏み込んだ力を左脚で受け止め、右軸のままクラブを下す
トップで作った全エネルギーをボールに伝えていく
ボールを“押し込み”、フィニッシュ
高身長であることの一番の強みは「アップライト」にクラブを振れること
最近の高身長女子プロたちの強さの理由を「みんなのゴルフダイジェスト」編集部員でプロゴルファーの資格を持つ中村修に解説してもらった。
「彼女達に共通しているのは、スウィングプレーンがアップライトだということ。フラットに振るよりも、アップライトに振ったほうがフェースがボールを向く時間が長くなる。そうすると必然的にショットの正確性もよくなります」(中村修プロ、以下同)
高身長であるメリットは、飛距離性だけでなく「正確性」という点でも有利だということだ。
「それとコックを積極的に使っているのも特徴。これはクラブが“寝て”しまうのを防ぐためですが、ただでさえアップライトな軌道に加えて、コックを使うことで、さらにクラブが立つ。ゆえに強い球を打つことができる。あとラフに入ったときなんかも、身長が高い方が十分な入射角が確保できるから有利です」

深いラフでも、上からしっかり打ち込むことができるので、飛距離のロスが少ない
飛距離と正確性だけでなくラフにおけるショットでも有利だということ。では、デメリットは?
「身長が高い人は、その分腕が長いから体の正面からクラブが外れやすく、手打ちになりやすい傾向はあります。でも彼女たちは、しっかり体を鍛えて、“強い軸”でスウィングができている。それが今の活躍につながっていると思います」
松森彩夏や渡邊彩香以外にも、柏原明日架(171センチ)など高身長の若手が多く台頭しているのが現状。今後もますます“大型プレーヤー”の活躍が期待できそうですね。