プロたちだって「強い選手が使ってるパター」が気になっている
みなさんはパターをどのように選んでいるだろうか? 「有名プロが使ってるものはやっぱり使いたくなる」という人は多いはず。実はそれ、アマチュアだけでなくプロゴルファーでも同じ。現に、ダスティン・ジョンソンを世界1位に押し上げ、セルヒオ・ガルシアにマスターズでの勝利をもたらした“赤蜘蛛”ことSPIDERツアーレッドは世界中のツアーで現在大人気となっている。
それはもちろん国内女子ツアーでも同じことで、多くの女子プロたちがSPIDER、そしてテーラーメイドのパターに興味津々といった様子が見て取れる。プロでもアマでも、強い選手が使っているパターは気になるものなのだ。
そんな、テーラーメイドのパターへの注目が大いに高まっている中、ツアー会場に姿を現したのが、テーラーメイドゴルフのパター部門シニアディレクターのビル・プライス氏。SPIDERの生みの親である彼に、まずは単刀直入に「パターはどのように選べばいいのか?」という質問をぶつけてみた。
「まず、テーラーメイドのパターには二つの種類があることを知ってもらいたいですね。ひとつはテクニカルなもの。最新の技術を投入したパフォーマンス重視のモデルで、その代表例がSPIDERです。もうひとつが伝統的な美しいシェープを重視した、TPコレクションに代表されるクラシックなモデルです」
「形状」重視か「機能」重視か、それが問題だ!
プライス氏によれば、パター選びは「クラシックな形状」と「最先端の機能性」のどちらを重視するかから、スタートするという。
「たとえばTPコレクションには、SOTO(ブレード型)に、MULLENとBERWICK(ともにマレット型)の3タイプがありますが、これらの形状は50年前から大きく変わっていません。クラシックシェープを生かしつつ、ディテールの部分にこだわる。このパターを作るときは“シェープファースト”。形状の美しさを追い求めていきます」
「一方で、SPIDERシリーズや、かつて私が手がけたGHOSTシリーズなどを作るときは“パフォーマンスファースト”。つまり、機能を第一に考えて、形状は二の次です。それだけに、ときにイノベーティブ(革新的)な形状になることもあります。SPIDERがまさにその良い例ですね」(プライス氏)
世界の最高峰であるPGAツアーでは、伝統的なブレードタイプのパターの使用者が圧倒的に多かったが、ここ数年でSPIDERなどの高慣性モーメントパターにスイッチする選手が増えてきたという。言わずもがな、その代表選手がガルシアであり、ダスティン・ジョンソンだ。
彼らがパターをスイッチし、それによって結果を出していることが、多くの選手の気持ちを揺さぶっている。シェープ(形状)か、パフォーマンス(機能)か、それが問題だ、と。そして、プライス氏とテーラーメイドは、どちらを選んでも満足のいく結果が得られるよう、SPIDERとTPコレクション、ふたつのシリーズを用意しているというわけだ。
女子プロたちが「赤蜘蛛」に興味津々!?
さて、女子ツアーの練習グリーンに目線を戻そう。たとえば、永峰咲希は長くクラシックな形状のパターを愛用し、構えたときの印象を重視するタイプ。でありながら、興味を示したのは意外にも「SPIDER」だった。
「私はドライバーやシャフトはすんなり変えられるんですが、パターはなかなか変えられないタイプ。なんですが、この間試合で赤いSPIDERを試してみたら、いつもなら外しそうなパットがすごく入ったんです。特に、グリーンが重めの時は“打てるかどうか”が勝負になるんですが、SPIDERだと転がりがとってもいいからすごく助けになってくれると思います」
このコメントにプライ氏は思わずにっこり。
「その通り! SPIDERのフェースインサートには斜め45度の角度で溝が入っていて、その効果によってトップスピンがかかりやすく、ラインに負けずに転がる“トゥルーロール”の状態になりやすいんだ。ダスティン・ジョンソンはSPIDERにしてから3メートル以上のパットのストロークが、0.5打良くなったんだよ」
と説明。ベテランの表純子は、その性能を自ら実感しているという。
「SPIDERで打つと、跳ねずに転がる感じがするんですよね。順回転がすぐにかかるというか。その効果ですか? やっぱり転がりの良さですよね。それと、ショートパットでボールが切れないんです。直進性が高いので、ラインを浅く読めるのは大きなメリットだと思います」
プライス氏によればSPIDERのもうひとつの魅力はまさにその直進性の高さ。3メートルのパットで芯を15ミリ外すと、普通のパターだと約30センチショートするところ、SPIDERなら「届く」と胸を張る。
永峰や表ら、“パフォーマンス重視モデル”であるSPIDERに興味を示したプロは他にも多くいた。その一方で、“シェープ重視モデル”であるTPコレクションに興味津々だったのが、松森彩夏と松森杏佳の姉妹。
「私はロングパットで大きいヘッドだと感覚が出ないタイプなので、クラシックな形状のパターが好きなんです。TPコレクションのパターはまさに好みで、形状がいいだけじゃなくて、打感がすごく良い点も気に入っています」
そう妹の杏佳が言えば、姉の彩夏もそれに同意。
「フェースインサートの感触が本当に良かったです。ヘッドの形状がシンプルなのも、私にとっては構えやすい要因になりました」
プライス氏はTPコレクションを「シェープファースト」と表現したが、だからといって機能性を考えていないかといえば、もちろんそんなことはない。実はTPコレクションにも、SPIDERに搭載されているのと同じフェースインサート「ピュアロール」が使用されている。つまり、見た目は感性が活かせる形状でありながら、転がりの良さは最先端の技術が保証しているというわけだ。
最後に、パター選びについてプライス氏にまとめてもらおう。
「私は、パターにストロークを合わせるのではなく、ストロークにパターを合わせるほうがいいという考えを持っています。たとえば、初代SPIDERはバランスをとったときにフェースが上を向くフェースバランスでしたが、最新作では多少トウが落ちるようになっています
これは、ジェイソン・デイやダスティン・ジョンソンとテストを繰り返し、彼らのストロークに合わせた結果。その結果、ブレードタイプからスイッチしても違和感なく使えるパターになったのです。自分のストロークに合ったパターを見つけられれば、必ずスコアは良くなります。ぜひ、テーラーメイドのパターを手に取ってみてもらいたいですね」
SPIDERかTPコレクションか。SIPIDERならツアーレッドかツアーブラックか、はたまたツアープラチナムか。TPコレクションならブレード型か、マレットか。名作揃いのテーラーメイドのパターを前に、ああでもないこうでもないと悩むのも、ゴルファーにとっては楽しい時間になりそうだ!