イギリスの高級車、ベントレー。実はいま、この伝統と格式のある高級車が、これまでとは異なるユーザー層に大いに受けている。それはなぜなのか。そして、高級車のクオリティの高さとはどういうところに現れているものなのか。世界の高級車に詳しいモータージャーナリスト、大谷達也さんと西川淳さんに語ってもらった。
画像: ベントレー フライングスパー W12S。フォーマルな4ドアサルーンとして最高レベルのクオリティを持つ。

ベントレー フライングスパー W12S。フォーマルな4ドアサルーンとして最高レベルのクオリティを持つ。

ベントレーは高いクオリティが特徴ですが、その秘密はどこにあるのでしょうか?

大谷 イギリスのクルー本社工場を訪ねると、その理由は明らかになります。いろんな自動車工場を取材しましたが、ここまでていねいに、こんなに人が手をかけてクルマを作っているところは滅多にありません。

西川 あの手のかかり具合を見たら、ベントレーの価格がじつは安いくらいなんだって思えるはずです、きっと。

大谷 ベントレーの工場って、手作りの上質なインテリアを作るためにあるようなものですから。そういう意味でもふつうの自動車工場とは大きく異なっています。

そうした手作業がシートやインパネの革や木目に表れるということですか?

大谷 たとえばレザーのハンドルのステッチは手縫いなんですが、そのピッチはクルマごとに、つまりそのクルマを仕上げた職人さんによって微妙に違うんです。それは職人さんそれぞれが長年使っている金属製のフォークで、縫い目の目印を刻むからです。

西川 もちろん、いいマテリアルを使っていることも、高いクオリティを実現するためには重要です。どんなに職人さんが頑張っても、マテリアルが良くないと上質で落ち着いた空間は生まれないですからね。

大谷 そのマテリアルを仕入れるところから、もう伝統なんです。上質なマテリアルが、どのルートで流通しているのかを知り尽くしている。これは昨日、今日立ち上げたメーカーにはできない仕事です。

画像: 見た目はもちろん、触ったり、操作をすることでもクオリティの高さを実感できる。

見た目はもちろん、触ったり、操作をすることでもクオリティの高さを実感できる。

素材の良さと巧みな加工技術で最高なものが出来上がるわけですね。

西川 ウッドパネルも、ただの木目が入ったパネルじゃなくて、木目がクルマの中心線から鏡のように左右対称になるように張り合わされています。その加工は息を呑むほど精緻です。

大谷 そうしたディテールの積み重ねが、ベントレーらしいキャビンの“空気”を作るんですね。ボクはこのあたりって、高級ホテルの5つ星と4つ星の違いに近いものがあると思っています。4つ星のホテルでも、部屋の広さ、設備や清潔さに文句はない。でも「どれだけ落ち着けるか」、「どれだけくつろげるか」という数字に表れにくいところに5つ星の価値があると思うんです。

西川 あと世代は変わっても、あるべきところにあるべきものがあるという“伝統の継承”も特徴でしょう。しかも配置は同じなんだけど、細かい部分は変更されている。いい雰囲気を引き継ぎつつ、確実に“さらに良くなった”と思わせてくれます。

大谷 オーナーだからこそ、その差がわかるんですよね。そしてそれがブランドへの信頼感につながっていくことになります。

ベントレーはさまざまなボディカラーがチョイスできます。

大谷 イギリスって伝統を重んじる一方で、じつは個性的なものや進歩的なものを好む傾向があるんです。やはり他国とは海を隔てているので、そのあたりは日本とも共通している部分があると思います。

西川 やはりデザインとディテールが優れているから、どんな色でも似合うんでしょう。同じボディでシャンパンゴールドとグリーンのどちらでも“お似合い”だなんて、スポーツとラグジュアリーの両方のキャラクターを極めたベントレー以外にはあり得ません。これからのユーザーには、そうした豊富なボディカラーで遊んで欲しいと思います。

画像: ゴルフのキャディバッグがきれいに収まる。トランクルーム容量は475Lだ。「撮影協力:TUMI(TUMI.co.jp/)」

ゴルフのキャディバッグがきれいに収まる。トランクルーム容量は475Lだ。「撮影協力:TUMI(TUMI.co.jp/)」

ベントレーのカスタマイズ部門「マリナー」についてはどうでしょうか?

大谷 ほとんど別会社だと思っていいでしょう。高い技術を持つ職人の集団です。昔はマリナーでしかできないカスタマイズがありましたが、いまではそうしたものがどんどんオプションに取り入れられてきています。

画像: 西川淳(にしかわじゅん)<左>:ラグジュアリーカーにはとくに詳しい気鋭のモータージャーナリスト。大谷達也(おおたにたつや)<右>:電機メーカーのエンジニアだったこともあり、最新テクノロジーをわかりやすく解説してくれる。

西川淳(にしかわじゅん)<左>:ラグジュアリーカーにはとくに詳しい気鋭のモータージャーナリスト。大谷達也(おおたにたつや)<右>:電機メーカーのエンジニアだったこともあり、最新テクノロジーをわかりやすく解説してくれる。

フライングスパーはどのようなユーザーに向いていますか?

西川 4ドアセダンですし、ショーファーカーだと思われる方が多いでしょう。でもボクの知っているオーナーは、自らがハンドルを握ることが好きな人ばかりです。たとえばふだんの仕事での移動はショーファーが運転するけど、商談が済んで緊張感がほぐれたら自分でハンドルを握るとか、休日のゴルフは友人を乗せて自らドライブするとかですね。

大谷 たしかにそれはすごく納得できますね。フライングスパーは4ドアの便利さとドライバーズカーとしての楽しさを両方味わえるクルマですから。

西川 それでいてコンチネンタルGTよりも価格が手ごろというのもポイントです。

大谷 クーペというスタイルからドライバーズカーならコンチネンタルGTを選ぶ人も多いと思いますが、手ごろな点からフライングスパーを選択することは十分ありですね。

画像: 【360°動画】 BENTLEY フライングスパー W12 S 確認用 youtu.be

【360°動画】 BENTLEY フライングスパー W12 S 確認用

youtu.be

ベントレー フライングスパー W12 S 主要諸元

全長×全幅×全高:5315×1985×1490mm
ホイールベース:3065mm
車両重量:2475kg
エンジン:5988cc W12DOHCツインターボ
最高出力:635ps/6000rpm
最大トルク:820Nm/2000rpm
トランスミッション:8速AT
乗車定員:5名
車両価格:2665万円

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