PGAツアーチャンピオンズの日本初開催となった「JAL選手権(2017年9月8〜10日)」は、コリン・モンゴメリーの鮮やかな逆転優勝で幕を閉じた。観戦したプロゴルファー・中村修によれば、終盤のしびれる展開の中で平常心のプレーを展開した裏には、プレッシャーに負けない“不動のリズム”があったという。プロゴルファー目線で現地レポート!

17番、18番のしびれる場面でも一定のリズムでプレーしていた

JAL選手権は、首位で最終日を迎えたスコット・マッキャロンが1番ホールでダブルボギーを叩いてスコアを落とし、追いかけるビリー・メイフェア、ケビン・サザーランド、グレン・デイらがスコアを伸ばしたことで、序盤から大混戦の様相を呈していました。

終盤になるまで誰もが馬群から抜け出せない展開の中、12、13、14番の3連続バーディでトップに並びかけ、17番のバーディでトップに立ったモンティが、最後の最後に差し切り勝ちを収めました。

印象に残ったのは、やはり最終盤の17番、18番でのプレーです。まずは17番。ほとんどの選手が2オン可能な、501ヤードの短いパー5です。とはいえ、頭ひとつ抜け出すためにはバーディ以上が必須。万が一ボギーを叩けば優勝争いから脱落する、プレッシャーのかかるホールです。

ティショットでフェアウェイをキープしたモンティは、セカンドショットで2オンを狙い、グリーン手前にオン。長い長いファーストパットを約1メートル強に寄せ、ちょっぴり微妙な距離のバーディパットを沈めてバーディ。

画像: 池が絡む18番のティショット(写真)でも、リズムは変わらなかった

池が絡む18番のティショット(写真)でも、リズムは変わらなかった

18番も同じような展開でした。456ヤードと長めのパー4で、モンティはパーオンを果たしますが、17番同様長く傾斜のかかるうねるようなラインのファーストパットが残ります。「2パットで勝ち」ですが、3パットの可能性も十分にある。そんなファーストパットをモンティはOKに寄せ、見事勝ち切ったのです。

実はこの間、17番では同伴のジェフ・スルーマンがバンカーからの3打目をホームランして崖下に落とし、18番では同じく同伴のカルロス・フランコがセカンドショットを木に当てて、それぞれトラブルに見舞われています。その間モンティはひたすら待たされていたのですが、見事だったのはそれでもプレーのリズムが一切損なわれていなかったこと。

優勝争いの佳境にありながら、モンティのリズムは一定で、狂うことがありませんでした。17番の微妙な距離のパットも、18番の難易度の非常に高いファーストパットも、必要以上にグリーンを読んだり、素振りを入念に繰り返すことなく、スッと構えてポンと打つ、実にシンプルなリズムで打っていました。

「大切なのは“キープスロー”です」(モンティ)

これは“素”ではできません。プレッシャーがかかればかかるほど、プレーに必要以上に時間がかかったり、逆にリズムが速くなったりしがちだからです。そこで、プレーを終えたモンティ本人に、「優勝争いの中で、どのようにリズムをキープしたか」を聞いてみました。

「これは私にとって51回目の勝利ですが、今回はキャディの存在が非常に大きかったです。(プレッシャーのかかる)17番や18番でキャディがプレーと関係のない話をしてくれて、それによって落ち着かせてくれました。大切なのは、とにかく(プレーのリズムが)早くならないこと。“キープスロー”を心がけましたね」(モンティ)

歩くときと同じようなリズムで、よどみなくスウィングしていたモンティ。プレッシャーを表に出さず、映像だけ見たら、初日のフロントナインだと言われても納得するようなプレーぶりでした。

7年連続で欧州の賞金王になるなど輝かしい実績を持ちながら、メジャーの栄冠には手が届かないままシニア入りしたモンティですが、初めて日本で見るそのプレーぶりは、勝者にふさわしいものでした。アマチュアのみなさんも、コンペでの優勝争いや、ベストスコア更新などの機会があれば、モンティのプレッシャーに負けない“不動のリズム”を、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

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