発売と同時に近年のミズノアイアン史上空前のヒットを記録している「ミズノプロ」の3機種。このアイアンの特徴が、ショップでのフィッティングを前提とした“カスタム専用モデル”である点だ。「フィッティングって、ちょっとハードル高いなあ」と反射的に思ってしまったみなさん、まずはこの記事を読んでみてもらいたい。ミズノのフィッティングには、ちょっとほかとは違う魅力があるのだ。
“スウィングDNA”って、なんですか?
「ミズノのフィッティングを体験してみませんか?」そう声をかけられたのは「みんなのゴルフダイジェスト」編集部のM。そんないい話を断る理由はひとつもないと、さっそくミズノ淀屋橋店に向かった。

ミズノの“マスターフィッター”藪本茂治さん。マスターズにキャディとして参戦した経歴を持つ凄い人!
迎えてくれたのは、ミズノのマスターフィッターである藪本茂治さん。ちなみに、学生時代はアマチュアとして日本オープンに出場、キャディとしてマスターズ参戦歴もあるという凄い経歴の人物だ。
「実は、ミズノプロの発売に合わせてフィッティングのシステムが進化しているんです。ミズノが独自に開発した“シャフトオプティマイザー3D”という測定器を付けてスウィングしてもらえれば、3球でMさんの“スイングDNA”がわかるんです」(藪本さん)

シャフトオプティマイザー3D(写真右上)。これが超優秀なんです
オプティマイザー3DにスイングDNAと、聞き慣れない単語が並ぶ。こういう時は実際に試してみるに限るということで、肩慣らしの後、早速フィッティングを受けることに。
7番アイアンで3球スウィング。えっ、これで測定完了!?
「スイングDNAとは、文字通りその人のスウィングの特徴を表します。具体的には、シャフトオプティマイザー3Dで9項目を数値化し、それを元に最適なシャフト、そして最適なヘッドを選んでいくわけです」(藪本さん)
9項目は以下のようなものだ。
1. ヘッドスピード:飛距離に直結する、ヘッドを振る速さがわかる
2.スイングテンポ:トップでのシャフトのたわみ量を元に算出され、切り返しがスピーディか、ゆっくりかがわかる
3.トウダウン:インパクト直前のトウダウン方向のシャフトたわみ量を表す
4.前反り角:インパクト時にシャフトが前方向(飛球方向)に反る角度
5しなり係数:スウィング中でのコックを使う(ほどく)タイミングを表す

編集部Mの計測結果。ヘッドスピードやや早め、スウィングテンポはゆっくり、トウダウンちょい多め、前反り角大きめ、しなり係数は少なめという結果に
まず、以上の5項目が、主にシャフトフィッティングに使用される。ゴルファーがスウィング中、どのようにシャフトをしならせているかが、丸分かりになるというわけ。それによって、手元調子が合うか、先調子が合うか、硬さは、重さは……と最適なものが提案してもらえる。
「有名プロが使ってるから」とか「知り合いのシングルさんが使ってるから」といった理由で選ぶのと、どちらが自分にピッタリ合うかは考えるまでもない。ちなみに編集部Mは100-110グラムで手元調子のSシャフトが合うとの診断。
意識できない「インパクト」が丸見えになってしまう
さて、スウィングDNAの項目の話に戻ろう。前述の5項目が主にシャフトフィッティングに使用されるとしたら、これから挙げる4項目は、ヘッドフィッティングに主に用いられる項目となる。
6.インパクトライ角:文字通り、インパクト時のライ角を表し、ライ角選びに重要
7.シャフトリーン角:インパクト時のハンドファースト度合いを表す
8.アタック角:ヘッドの入射角を表す
9.フェーストゥパス角:ヘッドの軌道に対してフェースがかぶっているか、開いているかを表す

画像にしてもらえると一目瞭然。編集部Mは「やや横から、かぶり気味に入る」ことがわかる
この4項目、実はシャフトオプティマイザー3Dになったことで計測可能になった要素。これにより、従来はシャフトフィッティングがメインだったミズノのフィッティングに革命が起こる。ヘッドも含めたトータルフィッティングの精度が、飛躍的に高まったのだ。
たとえば、シャフトリーン角とアタック角の数値は、ヘッドタイプを見極めるのに非常に有用となる数値。たとえば、その数値のマイナスが大きくなれば、それはそれぞれ「ハンドファーストが強く」「上からクラブが入っている」ことを表す。当然ながら、インパクトでロフトは立ちながらボールに当たるようになるため、重心が高く、ロフト設定も多いセミキャビティのミズノプロ518や、マッスルバックのミズノプロ118がピタリとくる。その反対で、ハンドファーストが弱く、レベルブローでインパクトを迎える人なら、ミズノプロ918の飛び性能を存分に活かすことができる、といった具合だ。
また、フェーストゥパス角がわかれば、そのゴルファーがどれだけボールをつかまえられるかがわかる。つかまるヘッドがいいのか、つかまりすぎない(左にいかない)ヘッドがいいのかが、客観的に見極められるというわけだ。

ヘッドはミズノプロ518、またはミズノプロ118が合うとのこと。ちょっとうれしい結果だ
以上のデータをもとに、合うと思われるシャフトとヘッドをフィッターが提案。実際にそれを試打して、最終的にフィーリングも含めてピタリと合うクラブを見つけられる、というわけ。編集部Mの場合は、かねてからカッコいいと思っていたミズノプロ518に、日本シャフトの“モーダス3”の組み合わせがベストマッチ。

スウィングDNAから導き出された最適アイアンをその場で試打。理論と実打が組み合わさるから、隙のないフィッティングが可能となる
その場で組んでもらったクラブを打つと、明らかに普段使っているアイアンよりもいい弾道が打てた。しかも、しっかりと数値の裏付けがあるので、たまたまではなく、必然的にナイスショットが打てたという手応えがあるのが大きい。
自分のゴルフを丸ごと数字で管理できる。このフィッティングは「一生モノ」だ!
もうひとつありがたいのが、番手ごとの飛距離も計測可能なため、それに合わせてウェッジやユーティティ、フェアウェイウッドの組み合わせまで提案してもらえる点だ。自分のアイアンには何度のウェッジが合うのか、何度のユーティリティが必要なのかは、わかってそうで意外とわかっていない点。それがわかるのも、大きなメリットと言えそうだ。

番手ごとに、長さ、ロフト角、ライ角などを細かく設定可能。飛距離の把握もバッチリだ
ここまで読んだみなさんならば、もうお気づきだろう。ミズノのフィッティングがすごいのは、「最適なクラブを選べる」ことだけではなく、「自分のゴルフを数値でカンペキに把握できる」点にある。合うクラブ・スウィングの特徴(DNA)・クラブセッティング……すべてがわかってしまうのだ。
スウィング“ DNA”というだけあって、測定で得られる数値の傾向はそう簡単には変わらない、いわば一生モノ。それを知ることは、クラブ選びだけでなく、上達にも直結する。ミズノプロの発売以来、店舗でのフィッティングも大盛況となっているというが、それも納得がいく。受けていてすごく楽しいし、自分のゴルフにいいことだらけなのだ。
「どんなレベルのゴルファーの方でも、SWING DNAで自分を知ることは、ステップアップの第一歩だと思います」という“マスターフィッター”藪本さんの言葉が、フィッティングを受けてみるとストンと腹落ちする。
ミズノのフィッティングはクラブを購入しなくても受けることが可能だが、その場で購入した場合、オーダーシートはお店から直接ミズノの養老工場に届き、最短3日で組み上げられて、手元に届く。「自分専用のクラブ」を持つ喜びは、吊るしのクラブを持つ喜びと、完全に別種のものだ。

ただでさえカッコいいミズノプロ518が「自分専用ミズノプロ518」となる喜び。番手の数字の色を変更したり、ネックの刻印を変えたりと、こだわろうと思えばどこまでもこだわれる
「ミズノプロのアイアンが欲しいけど、フィッティングを受けるのはハードルが高いなぁ」と思っている人がもしいれば、その認識は改めたほうが“トク”。フィッティングを受けられる店舗は下記のリンクから調べられるので、ぜひチェックしてみよう!