2017年11月17日、キャロウェイの人気ウェッジ「マックダディ」シリーズの最新モデル「マックダディ4(MD4)」が発売される。「MD」といえば強烈なスピン性能を売りにしているシリーズ。前作「MD3」も抜群のスピン性能で多くのプロに愛用されているが、ニューモデルとなる「MD4」はメーカーいわくさらなるスピン性能を獲得しているという。果たしてそれは本当か? 前作とのガチンコ比較でたしかめた!

計測器でスピンを比較。より多くスピンがかかったのは!?

世界的なヒットモデルであるキャロウェイのMD3ウェッジよりも、ニューモデルのMD4はスピンがかかる。キャロウェイがそう胸を張る理由は、新設計のフェース面にある。しかも、重心云々といった難しい理屈は抜き。「フェース面に凸状のラインがあるから」というシンプルすぎる理由により、かつてないスピン量を実現したというのだ。

画像: MD4のフェース面のアップ。溝と溝の間にマイクロフィーチャーと呼ばれる凸状のラインが入っているのがわかる

MD4のフェース面のアップ。溝と溝の間にマイクロフィーチャーと呼ばれる凸状のラインが入っているのがわかる

そもそも、前作のMD3ウェッジは、スコアライン(溝)とスコアラインの間に極細の溝(マイクログルーブ)を設けたことでスピン量を激増させたウェッジ。それを進化させるため、その溝と溝の間に、今度は溝ではなく凸状のライン(マイクロフィーチャー)を設けたというわけだ。いわば、「凹から凸へ」。MD3とMD4のスピン勝負、それはまさに“凹VS凸”の前代未聞の戦いと言える。

「ヘッドの形状は非常に似ていて、やや大きめで少し面長。構えたときに安心感のある顔という点は共通しています。しかし『MD4』は、一番下のスコアラインが短くなっているので、リーディングエッジが丸みを帯びて見えます。この効果か、ヘッド全体が丸っぽく見えて、よりフェースを開いて使いやすくなったといえます」

そう語るのは年間100モデルを超えるギアテストを行ってきたプロゴルファーの中村修。形状は極めて似ている。ならばスピン勝負の行方は、やはりフェース面の加工が大きく影響してきそうな気配だ。

画像: 左がMD4、右がMD3。非常に似た形状だが、MD4は一番下のスコアラインが短く、それにより全体に丸っこい印象を受ける

左がMD4、右がMD3。非常に似た形状だが、MD4は一番下のスコアラインが短く、それにより全体に丸っこい印象を受ける

「『MD4』のフェース面には凸構造があるということですが、顔を近づけてじっくり見ると線のようなものが確認できるといった感じで、構えた状態では視認できません。つまり構えたときには気になりません。その意味で、『MD3』の溝と溝の間にさらに溝があったのと同様、構えにくさなどにつながることなく、自然に仕上がっています。ウェッジは構えたときの印象が大切ですから、これはありがたいですね」(中村)

さて、あまりもったいぶっても仕方がないので、実際に打ったデータを公開しよう。20Y、30Y、40Yを狙ってそれぞれ打ち比べたデータが下記だ。ちなみに、20Yは低めに出してスピンをかけて打ち、30、40Yは小細工せずに普通のピッチショットで狙った。

画像: 千葉県八千代市の「明治ゴルフセンター」のアプローチ練習場で、プロゴルファー・中村修が、「MD3」と「MD4」のそれぞれロフト58度のモデルを打ち比べてみた。弾道計測器「フライトスコープ」でスピン量、打ち出し角を正確に計測。ボールはキャロウェイの「クロム ソフト X」を使用

千葉県八千代市の「明治ゴルフセンター」のアプローチ練習場で、プロゴルファー・中村修が、「MD3」と「MD4」のそれぞれロフト58度のモデルを打ち比べてみた。弾道計測器「フライトスコープ」でスピン量、打ち出し角を正確に計測。ボールはキャロウェイの「クロム ソフト X」を使用

【20Yのスピンアプローチ】
MD3 キャリー17.1Y ラン2.5Y バックスピン4046rpm 打ち出し角32.3度
MD4 キャリー18.5Y ラン2.5Y バックスピン4480rpm 打ち出し角31.1度

【30Yのピッチ&ラン】
MD3 キャリー27.7Y ラン1.9Y バックスピン4706rpm 打ち出し角44.5度
MD4 キャリー28.9Y ラン0.9Y バックスピン4851rpm 打ち出し角42.8度

【40Yのピッチ&ラン】
MD3 キャリー37.4Y ラン3.5Y バックスピン5882rpm 打ち出し角38.7度
MD4 キャリー35.9Y ラン0.2Y バックスピン5976rpm 打ち出し角38.3度

というわけで、やはりというかなんというか、凹VS凸対決、データ的にはいずれも“凸”すなわち「MD4」が勝利した。この結果を、中村はこう分析する。

「『MD3』も十分にスピンがかかっているんです。なんですが、とくにライのいいフェアウェイから意識的にスピンをかけに行ったときに『MD4』にアドバンテージがありました。打感も『MD4』のほうがソフトで、ボールがフェースに食いつく感じがしますし、弾道もポーンと浮かない低弾道。これらは、スピンが効いている証拠。形状も振り心地もほぼ変わらないので、やはりこれはフェースの凸構造の効果なんでしょうね」

ヤスリのようなイメージそのままに、凸構造はスピン量を増やしてくれるようだ。もちろんルール適合なので、これはウェッジの“進化”と言っていいかもしれない。

もうひとつ、実はMD3とMD4にはフェース面の加工以外にも違う点がある。それが、従来からあったCグラインド、Sグラインド、Wグラインドに加えて新たに採用された「Xグラインド」と呼ばれるソール形状だ。

画像: 左がMD4の“Xグラインド”、右がMD3の“Sグラインド”。Xグラインドはソール幅が広く、かつトウとヒールが面取りされていて開きやすくなっている

左がMD4の“Xグラインド”、右がMD3の“Sグラインド”。Xグラインドはソール幅が広く、かつトウとヒールが面取りされていて開きやすくなっている

Xグラインドとは、ワイドソールのWグラインドのトウ側、ヒール側を落とした形状。ワイドソールのやさしさがありながら、開いたり閉じたりといった“細工”もしやすいというイイトコ取りのソール形状だ。

「20ヤードのアプローチで約400回転もスピンが違うのは、Xグラインドの影響もあると思います。本来ワイドソールはフェースが開きにくいのですが、Xグラインドは開きやすさが犠牲になっていない。ワイドソールで多少のミスをカバーしてくれるから、安心して振り抜けるて、なおかつ抜けもいいんです。そのことも、スピン性能を高めた一因ではないでしょうか」

MD4ウェッジを手に取ったアプローチの名手・丸山茂樹プロは、そのフェース面を指先で入念にチェックし、「大根おろしができそう」と評した。凸加工によるスピン増に加え、新たにラインアップに加わったXグラインドにより、合うゴルファーの幅がさらに広がった「MD4」は、さらなる進化を遂げたウェッジだと言えそうだ。

「『MD4』はスピン性能自体も高いのですが、打ち出しが低めに出ることで、ボールの飛び姿と実際のスピン量が一致する感じがあって、イメージ通りの球を打ちやすいのがいいですね。難しいことをしなくても、普通に構えて普通に打つだけで勝手にスピンがかかってくれるのが、アマチュアゴルファーにとってなによりのメリットだと思います。やはり、スピンはかかればかかるほど、ピンまで打てるので寄る確率が高くなりますから」(中村)

画像: 普通に構えて普通に打つだけでフェースが勝手にスピンをかけてくれるウェッジに仕上がっている

普通に構えて普通に打つだけでフェースが勝手にスピンをかけてくれるウェッジに仕上がっている

アプローチが苦手という人にとっても、低く出てキュキュッと止まるプロみたいなアプローチをしたいという人にとっても、「MD4」は強力な武器となってくれそうだ。

写真:姉崎正、有原裕晶 取材協力:アクララインゴルフクラブ、明治ゴルフセンター

This article is a sponsored article by
''.