プロ野球・ヤクルトスワローズで投手として活躍し、そのスライダーの切れ味は「プロ野球史上最高」とも評される伊藤智仁さん。ゴルフにどっぷりハマっているという伝説の投手に、ゴルフと野球についてじっくり語ってもらった。

ゴルフ歴は6年ベストスコアは72!

ーーゴルフを始めたのは?

引退後、40歳を過ぎてから。若いころは朝は早いし、帰りは遅くなるし、難しいし……と敬遠していたんです。この先野球界にずっといられるかわからないし、ゴルフは人脈もできるだろうからと勧められて始めたところ、どっぷりハマっちゃった感じですね。ですから、ゴルフ歴はまだ5、6年。ベストスコアは72です。ロングパットが入ったり、アプローチでチップインしたりしないとそのスコアは出ないですけどね。

ーーそれはすごい! プロ野球選手では、誰が上手でしょうか。

ヤクルトで言うと、古田(敦也)、高津(臣吾)、石井(一久)、宮本(慎也)ですね。彼らは現役時代からやってましたから、ゴルフ歴が長いんですよ。引退した後に一度球団から外に出られているので、ラウンドする機会が増えるんですよね。僕は引退してから昨年までヤクルトでコーチをさせてもらっていたので、シーズンが始まるとなかなかラウンドに行ける機会がないんです。

画像: 1992年にドラフト1位でヤクルトに入団。度重なる怪我に泣かされながらも積み重ねた37の勝ち星以上に、ファンの記憶に深く残る選手だ

1992年にドラフト1位でヤクルトに入団。度重なる怪我に泣かされながらも積み重ねた37の勝ち星以上に、ファンの記憶に深く残る選手だ

ーーよく「ピッチャーはバッターよりゴルフが上手くなりやすい」などと言いますが、投手と打者で、上達のスピードは違いますか?

バッティングとゴルフのスウィングって、似ているようであまり似ていないのかな。そういう意味では変なクセがないのがピッチャーでしょうね。だからピッチャーのほうが上手だと言われるのかもしれません。

バッターは何千、何万回とバットを振っているので、(野球のスウィングの動きが)体に染みついてるんですよね。もちろんそれでも野手でも上手い人は上手いですよね。原(辰徳)さんとかね。他球団だけど、力みのないいいスウィングされてますよね。元中日の和田一浩君も上手いです。

松山英樹の凄さは「開き直れる」力にある!?

ーーゴルフと野球の違いはどこにあるでしょうか?

相手がいるかいないかじゃないでしょうか。野球の場合は“投げミス”をしてもバッターがミスしてくれるかもしれない、バッターの場合は“打ちミス”してもたまたまヒットゾーンに飛ぶかもしれない。

ゴルフの場合は(相手がおらず)コースとの戦いじゃないですか。トーナメントに出ている人たちは相手(のスコア)を見ながらプレーするのかもしれませんが。

(その中で)自分をコントロールするっていうのが、野球もそうかもしれませんが一番難しいところだと思いますが、自分をコントロールしてスコアに直結させるのがゴルフなのかなと思いますね。

画像: ベストスコア72の腕前。ドライバーの飛距離は300ヤードをラクに超えていく

ベストスコア72の腕前。ドライバーの飛距離は300ヤードをラクに超えていく

やはり一流と言われる選手は、色々な状況の中で、自分をコントロールできていると思います。例えばピッチャーならば、立ち上がりなのか、終盤なのか。あるいはランナーがいるのかいないのか、このランナーを返していいのか、いけないのか。状況次第でメンタルはすごく変わってくるんです。

追い詰められた状況でも、いかに自分の、ある程度の思い通りの球が投げられるか。バッターなら、絶対に三振してはいけないところで(進塁打などの)チームバッティングができるか、ランナーを返すバッティングができるか。そこには、技術だけでなくメンタル(の影響)も非常に大きいと思います。

ーー自分をコントロールするという部分では、野球とゴルフには共通点があるんですね。

ゴルフを見ていてこの人のメンタルはすごいなと思う人は、松山英樹君ですよね。ここっていうところで相手を圧倒するようなプレーができる姿を見ると、ものすごくセルフコントロールが上手なんだろうなと思います。追い詰められたときにも、しっかり自分のパフォーマンスを出せるというメンタルの持ち主なんだと思いますね。

彼は若いですが、図太いというか、開き直れるんでしょうね。野球でも、いかに(メンタル的な)マイナス要素を開き直って消せるかっていうのがメンタルで一番大事なんじゃないかと思いますが、。それができるのが松山君じゃないでしょうか。

野球もゴルフも「無差別級」。大切なのは、まずフィジカル

ーー2018年からは、BCリーグの富山GRNサンダーバーズの監督に就任。意気込みを聞かせてください。

もちろん選手のスキルを上げて、トップレベルの選手にまで高めて、NPB(日本野球機構)のドラフトにかけて(指名して)もらうというのは大前提だと思っていますが、やるからには強いチームを作って優勝、日本一を目指すというスタンスは持っていこうと思います。

そこで大事なのはフィジカルです。NPBはオープン戦、レギュラーシーズン、ポストシーズンと合わせると160から170試合あります。みなさんが思っている以上に過酷なスケジュールで、そこで年間通して結果を出せる選手と言うのは高いレベルの体力を持っています。

ですから、まずは体を大きくすること。プロ野球もゴルフと同じで体重別ではなく無差別級なのでね。ボールも飛ぶし、球も速くなると思うし、しっかりと筋力をつけて体重を増やすパワーアップする。体力があればいい練習ができる、いい練習ができれば技術も上がると思いますから。

(聞き手:みんなのゴルフダイジェスト編集部)

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