2017年、ミズノが発表したフィッティングを前提としたシリーズ「ミズノプロ」は大きな話題となった。プレーヤーそれぞれに合わせたヘッド、シャフトを組み合わせ、そこに細かい調整を施すことで、ベストのセットを組み上げる。そのコンセプトは、ゴルファーから絶賛をもって迎えられた。そして2018年、ミズノは“次なる一手”を世に送り出してきた。新シリーズ「GX」。その正体は、どのようなものなのだろうか。

“トヨタ基準”をクリアしたミズノのカーボン技術の結晶、「MFUSION」シャフト

ミズノというブランドにどのようなイメージがあるだろうか。ことゴルフに関して言えば、「鉄」のイメージは非常に強いのではないかと思う。ミズノが誇る軟鉄鍛造アイアンは、同社養老工場から世界中のゴルファーの手に渡り、時に世界のトーナメントで使用者に優勝の歓喜をもたらしてきた。

ミズノといえば、アイアン。アイアン=鉄。日本が誇るモノ作りの伝統のイメージも相まって、ゴルフにおけるミズノのモノ作りには、まるで刀鍛冶のような印象を持つ人は少なくないだろう。

しかし、実はミズノには「鉄」以外にもうひとつ、極めて強力なアドバンテージを持つ素材がある。それが「カーボン」だ。ミズノの新シリーズ「GX」を語る上で、カーボンというキーワードは避けて通れない。

ミズノのカーボン。それは、ゴルフに限らずテニス、野球、スキーと言ったスポーツの用具を開発する過程で進化し、ついにはトヨタ自動車が開発した世界初のセダン型燃料電池自動車「MIRAI」を象徴する水素タンクの外殻部分に採用されるに至っている。また、カシオの有名腕時計「G-SHOCK」の時計バンドにも、ミズノのカーボンが採用されているというから重ねて驚きだ。

トヨタ、カシオといった有数のメーカーの厳しい基準をクリアすることでさらに磨き上げられた、ミズノのカーボン技術。その粋を集めたのが、GXに採用された「MFUSIONシャフト」だ。

画像: MFUSIONシャフト。GXのすべてのクラブに装着される

MFUSIONシャフト。GXのすべてのクラブに装着される

MFUSIONシャフトの特徴は、言葉にすると極めて簡単だ。まず、ドライバー用のSシャフトで49グラム、Rで39グラムと、軽い。「軽いシャフトなんていくらでもあるだろう」とゴルファーならば思うだろう。その認識は正しい。しかし、このMFUSIONシャフトのように、軽く、かつ暴れないシャフトは他にない。

これは、「カーボンナノチューブ(CNT)と炭素繊維素材(CFRP)の化学結合」というこれまで実現不可能だった技術をミズノが可能にしたことでもたらされたもの。従来、シャフトは軽くすればそれだけ柔らかくなった。結果、軽いクラブはシニア向け、あるいは女性向けといった印象を持たれがちだった。

軽くても暴れないMFUSIONシャフトは、それとは一線を画す。軽いからヘッドスピードを上げることができ、なおかつ暴れないから“叩ける”。軽くて叩けるという言葉が、この技術によって矛盾した言葉でなくなったことを意味する。

昨今のゴルフギア業界では、他とはまったく異なるイノベーションを起こしたプロダクト、いわば唯一性を持ったプロダクトが支持される傾向がある。その意味でいえば、今回の「GX」であり、「MFUSIONシャフト」は、間違いなくイノベーティブなプロダクトだ。

「やさしさ」と「カッコ良さ」の両立。ありそうで、これがない!

シャフトの話が長くなってしまった。それだけ語りがいのあるシャフトだということなのだが、ここからは、このMFUSIONシャフトを装着したミズノ「GX」のドライバーからアイアンまでのラインアップを、プロゴルファー・中村修の試打インプレッションを交えて紹介していこう。

画像: GXドライバー。シャープな形状で、反発性能も高い

GXドライバー。シャープな形状で、反発性能も高い

まずはドライバーだ。ドライバー用のMFUSION DシャフトはSで49グラム(総重量289グラム)、SRで44グラム(総重量284グラム)、Rで39グラムと軽い。それだけに、持った瞬間に感じるのはやはりその「軽さ」だ。

「手に持ってワッグルしてみると軽さを感じるのですが、振ってみてその印象は一変します。軽いのに、インパクトで当たり負けする感覚がまったくない。軽く軟らかいだけの凡百のカーボンシャフトとはひと味もふた味も違ったフィーリング。私のヘッドスピードは46メートル/秒ほどですが、頼りなさは感じませんでした」(中村)

勘違いしてもらいたくないのは、「暴れない=しならない」ではないという点だ。実際は、中間部分からゆるやかにしなり、とくに切り返し以降はヘッドに効率よくエネルギーが移動していく感覚があると中村は言う。

画像: ミズノのドライバーらしい「いい顔」だ

ミズノのドライバーらしい「いい顔」だ

そして、ミズノのドライバーといえば、伝統とも言えるのが「顔の良さ」と「打感の良さ」だ。今回のGXは革新的である一方で、このミズノの良き伝統はそのまま踏襲している。写真を見れば一目瞭然、日本人ゴルファーなら誰もが「いい顔してるね」と言いたくなる顔の良さは、それだけで所有欲をかきたてる。

「実際に打つと、打感の軟らかさとボールを跳ね返す弾き感のバランスが非常にいい。売っていて気持ちがいいクラブですね」と中村が言うように、打感も“いつも通り”好感触。

アベレージゴルファー向けでありながら、まるでプロモデルのような精悍さを持つその外見のカッコ良さ、そして打感の良さもまた、GXドライバーのひとつの機能と言えるだろう。

FW&UTの共通点は「ボールの上がりやすさ」

つづいては、ドライバーとアイアンをつなぐフェアウェイウッド、そしてユーティリティだ。まずはフェアウェイウッドだが、写真を見るとわかるように、ドライバーと良く似ている。ドライバーに上から圧をかけ、小さく・薄くしたような形状で、シリーズとしての流れの良さ、顔の統一感を強く感じる。

画像: GXのフェアウェイウッドは、形状的にはドライバーによく似ている

GXのフェアウェイウッドは、形状的にはドライバーによく似ている

「構えた段階で打ち込む必要を感じさせないシャローな形状。いかにもボールを上げてくれるように感じられますが、打つとまさしくその通り。地面から打ってもボールを上げやすく、上げやすい分だけ飛距離も出ます」(中村)

画像: シャローな形状は、ボールの上がりやすさを予感させる

シャローな形状は、ボールの上がりやすさを予感させる

フェアウェイウッドは、ロフトが少ないにも関わらず、パー5の2打目など、地面の上から使う機会の多いクラブ。それだけに、上がりやすさは飛距離にも直結する大きな武器なのだ。

画像: ユーティリティも締まった印象

ユーティリティも締まった印象

お次はユーティリティ。このあたりから、MFUSIONシャフトはまた別の真価を発揮する。ユーティリティは、やや打ち込み気味に使いたいクラブだが、軽くて暴れないシャフトは打ち込んでも物足りなさを感じさせない。

「ラフや悪いライなど、ユーティリティの想定使用状況はしっかり最後まで振り抜きたい場面。そのような難しい状況でしっかりと打ち込んでいけるのは大きなメリット。軽量でそれを実現しているというのは、特筆ものではないでしょうか。また、シャキッとしたシャープな打感で、高さで止められる点も好印象です」(中村)

画像: シャープさとつかまりの良さ。両者をバランス良く感じさせる形状

シャープさとつかまりの良さ。両者をバランス良く感じさせる形状

何度も同じ表現の繰り返しになるが、形状の良さはユーティリティも同じ。ほんのわずかにグースに見えるネック形状はつかまりの良さを予感させ、それでいてトウ側の絶妙のラウンドによって、左に引っかけるイメージはない。

つかまらないと困るし、つかまり過ぎるのも困る。ゴルファーがユーティリティに求めるものは常にワガママだが、ミズノGXは形状でそのワガママに満額回答している。

ストロングロフトでも上がる! アイアン

最後はアイアンだ。ミズノといえばアイアン。アイアンといえばミズノ。卓越したカーボン技術を生かした革新的シャフト「MFUSION」が装着されているGXのアイアンは、いわばミズノの伝統と革新の交差点。その性能はいかなるものなのだろうか?

画像: ミズノといえば、アイアン作りに定評があるメーカー。それは新シリーズGXでも変わらない

ミズノといえば、アイアン作りに定評があるメーカー。それは新シリーズGXでも変わらない

「驚くべきは球の高さです。ロフトは7番アイアンで29度とストロングロフトで、印象としては普段使っているクラブより1番手飛ぶ。それでありながら、球の高さは変わらないんです。強い球で左右へのブレも少なく、大型ヘッドな分だけ直進性も非常に高い。スコアを作れるアイアンですね」(中村)

画像: 構えたときの安心感と構えやすさの両立は、ミズノならでは

構えたときの安心感と構えやすさの両立は、ミズノならでは

アイアンの形状は、もはや説明するまでもないと思えるほど、ミズノらしいシャープさとやさしさが違和感なく同居した形状だ。セミグースのネック形状でつかまりを担保し、ストロングロフトで飛び性能がありながら、構えたときにトップラインからソールがはみ出して見えるような野暮はしない。

もちろん、MFUSIONシャフトの重量は番手ごとに適正にフローしているため、GXで揃えれば、ドライバーからアイアンまでスムーズに重量が重くなっていく。パターを除いた13本の振り心地を揃えることは苦もなくできる(アイアンは軽量スチールシャフトも選択可)。

こうして番手ごとに見てみると、GXというシリーズすべてに共通のワードとして「顔の良さ」「打感の良さ」「飛び」「つかまり」「上がりやすさ」という5つがあることがわかる。つまりそれは、ミズノがアベレージゴルファー向けクラブで今まで実現しようとしてきたこと。それが、高い次元で結実したのが今回のGXであり、シリーズすべてのクラブに振り心地やフィーリング面で統一感を与えているのがMFUSIONシャフトということになる。

ドライバーは、純正シャフトとは別に複数のカスタムシャフトを選べるのがいつの間にか当たり前になってしまった。中には、純正シャフト自体が複数あるものもある。選択肢が広がった一方で、ミズノプロのようにフィッティングを前提にしない限り、どれを選べばいいかわからないということにもつながってはいないだろうか。

GXの場合は違う。たとえばドライバーなら、選べるのは絶対の自信を持つMFUSIONシャフトだけ。ロフトは9.5度か、10.5度か。シャフトはSか、Rか、SRか。決めるのはそれだけだ。それだけの自信作ができた、つまりはそういうことなのだ。

やさしいヘッドに、軽くて暴れないシャフト。この組み合わせが次世代の“定番”となる。その可能性は、大いにあると言えそうだ。

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