「アッタス」シリーズでおなじみのシャフトメーカー・USTマミヤから、アイアン用カーボンシャフト、「アッタスFF」がデビューした。FFはFlex Free(フレックスフリー)の頭文字。従来の硬さを表すRやSといったフレックス設定をなくした新発想のモデルで、アイアン用カーボンシャフトの常識を覆す新次元のコントロール性を可能にしたというのが売り。フレックスがなかったら、ゴルファーは何を基準に選んだらいいのか、そしてそのパフォーマンスは? みんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファーでもある中村修が徹底的にテスト。キーワードは“番手ずらし”だ!

重さと硬さを自分好みに細かくチューンできる

アッタスFFのラインナップは重量別に65、75、85、95の4機種。いずれもフレックス設定はない。では何を基準に硬さを選んだらいいのかといえば、まず重量を決めたうえで“番手ずらし”で調整していくというのだ

同じフレックスのシャフトでも、たとえば7番用のシャフトを5番アイアンに挿すとXフレックス相当の硬さになる。逆に7番用のシャフト9番に挿すとRフレックス相当の軟らかさになる。これが番手ずらしで、重さと硬さ、そして振り心地を細かく調整したいこだわり派のあいだでは決して珍しくないチューンナップ法だが、アッタスFFはこの番手ずらしを“前提”にして開発されたという点で画期的なシャフトだ。

中村が最初に手にしたのは、7番アイアンに85グラムの7番アイアン用シャフトを組み合わせたもの。一般的なアイアン用カーボンシャフトのフレックスでいえば、ほぼSに相当するように組んであるものだ。

「挙動としては、手元と先端が締まっていて、一般的なアイアン用カーボンシャフトとはまったく違う感じですね。もちろん、スチールに比べれば重量的には軽くて、その意味ではカーボンらしいのですが、打ってみるとスチール的なよさを感じられます。カーボンならではの弾き過ぎがないし、手元がしっかりしていて、球を押してインパクトしていける感覚がいいですね」(中村)

画像: 試打を担当したプロゴルファー・中村修。アイアン用カーボンシャフトは実は初体験「打感が軟らかく感じられ、ミスヒットにも強い。ここまで進化していたとは……」

試打を担当したプロゴルファー・中村修。アイアン用カーボンシャフトは実は初体験「打感が軟らかく感じられ、ミスヒットにも強い。ここまで進化していたとは……」

カーボンシャフトでよく言われる頼りなさも全然なくて先端も暴れないし、しっかりしているので、抑えて打ったりしても、打ち手の意図に的確に反応してくれるという。

「ショートアイアンでは飛びすぎないコントロール性、ミドルからロングアイアンでは振りやすさが生む飛距離アップが期待できそうですね」(中村)

さて、ではこの同じ7番のヘッドから7番用のシャフトを抜き、5番用のシャフトを挿したらどうなるのだろうか。2番手ずらしで、一般的に言えばSがRになった程度の違いが出るはずだが……。

画像: 同じ「ATTAS FF85」のシャフトながら、フローした5番用、7番用、9番用をそれぞれ同じ7番アイアンに装着してテストした

同じ「ATTAS FF85」のシャフトながら、フローした5番用、7番用、9番用をそれぞれ同じ7番アイアンに装着してテストした

「番手をずらさないS相当のものと比べると、明らかに切り返しでしなる感じがあり、すごくやさしい。同じヘッドでも球の上がりやすさがまるで違う。これなら、飛距離が欲しくてロフトが立っているアイアンを使っているんだけど球が上がらなくて……、といった人にはピッタリだと思います。つかまりやすくなるからスライサーにも効果てきめん。ドライバーのヘッドスピードでいえば40m/s前後の人でも十分いけるし、ドライバーをシャフトのしなりで打っている人なんかズバリ合うと思います」(中村)

番手ずらしのいきなりの効果にビックリの中村だが、番手をずらしても手元の太さの違和感がまったくないことも敏感に感じ取っていた。これにはワケがある。というのも一般的なシャフトで番手ずらしを行うと、どうしてもグリップの右手部分が細くなってしまうのだが、ATTAS FFはテーパー(先細り)の度合いがゆるく、寸胴に近い形状にデザインされているためだ。このあたりにも、番手ずらしを前提に開発されたモデルらしい細かい配慮が感じられる。

逆に、硬くなる方向に2番手ずらしてみたらどうなるだろうか。9番アイアン用シャフトを、同じ7番アイアンに差してみた。

「持っただけで重量感を感じるし、ワッグルするとしっかり感が伝わってきます。打ってみると振った分だけ飛ぶという印象。カーボンらしい弾き感が増して飛距離も期待できます。距離を合わせようとすると先端が走り過ぎてビュッといくことがないので安心して振れますね」

自分でボールを上げられるクラスの人には最高という。ちなみに中村のヘッドスピードはドライバーで45~46m/sだが、「43~44m/sくらいの人でも楽に打てそう」とも。

同じシャフトでも、番手をずらしただけで明らかに違う結果になることがわかったが、このことからもやはり、番手ずらしを前提に開発されたモデルならではの性能がそのまま生かされていると言っていいのでは。これをさらに突き詰めていくと、それぞれのゴルファーにベストな硬さに調整できて、結果もよくなることは容易に想像できる。

中村はまた、カーボンシャフトは衝撃が少ないと言われているがFFはさらに打感が気持ちいいという。それは先端部に新素材の衝撃吸収材を採用したことで、従来のモデルに比べてインパクト時の衝撃を約11%(同社調べ)軽減させたという成果をそのまま実感できるということか。

「芯を外しても手に伝わる振動が少なく、肘や肩にもやさしいシャフトですね。振動が軟らかいから押せる感覚になるのもいいですね。少し硬めの飛び系のボールでも気持ちよく打てそうです」

良い意味でカーボンらしくない操作性

アッタスFFは重量的にも特徴があって、なおかつ精度も高い。アッタスシリーズとしては初のウェートフロー設計が採用されていて、番手間のピッチは2グラム。これにより、全番手同じフィーリングで振れながら、なおかつ長い番手は振りやすさと球の上がりやすさが、短い番手はコントロール性がより高まったというもの。このウェートフローの実力を検証するため、85グラムのモデルで5番アイアンと9番アイアンを、それぞれの番手用のシャフトで(番手ずらしをせずに)打ってみた。重量は最初に打った7番に比べると、5番は4グラム軽く、9番は4グラム重くなっている。

画像1: 良い意味でカーボンらしくない操作性

「7番も振りやすかったですが、5番の振り抜きの良さも出色ですね。一般的な5番アイアン用のシャフトよりも軽く振り切れるので飛距離も出ます。これまでのカーボンにはないしなやかさと弾き感が感じられ、スチールを使っている人でも違和感はまったくないでしょうね」(中村)

弾き感といい、しなり感といいスチールに近く、しかも振りやすさという点でも7番よりもさらに良い。逆にショートアイアンはどうだろうか。

「打ち味は5番、7番と変わらない。ただ、9番はしっかり感が増してコントロール性が高く、カーボン特有の飛びすぎる不安がないのがいいですね。球を押しながら距離をコントロールしていけるので、思い切って狙っていける。球を押せないと方向性が出しにくく、カーボンシャフトのショートアイアンではそこに大きな不安があったけど、それがなくなっている」(中村)

また中村は、ある意味カーボンらしくない操作性のよさにも舌を巻く。

「5番にしても9番にしても、全番手共通にいえることは、手元がしっかりしていて先端のブレも少ないこと。そのため、高い球も低い球もドローもフェードも打ちやすい。競技に出るクラスでもこれだったら不満はないだろうし、シニアクラスでも距離が落ちてきてしまったという人には即効性があるんじゃないかな。シニアで『やっぱりスチールじゃないと』とスチールにこだわり続ける人でも、ぜひ一度試してほしいですね。きっと、目からウロコだと思います。僕がそうでしたから(笑)」

初めにあげたように重量帯が4タイプあるので、最後に最も軽い「65」と最も重い「95」も打ってみた。

画像2: 良い意味でカーボンらしくない操作性

「65はいわゆる『カル(軽)・カタ(硬)』ですね。ただし、だからといって一般的な純正カーボンのような頼りなさがないのが驚き。楽に上がるし、軽い分ヘッドスピードも上がるので飛びます。軽いクラブでスパーンと打ちたい人なんか最高でしょう。対して、重めのクラブでドーンと打ちたい人には95がおすすめですね」

95グラムといえば軽量スチールとほぼ同じ。となるとスチール愛用者には魅力がなさそうに見えるかもしれない。

「ところが、どうしてどうして。粘りという点ではスチールに及ばないかもしれないですが、しっかりしているし、上がりやすさは群を抜いている。特に、ずっとスチールを使っているからという理由だけで110グラムとか120グラムくらいのスチールを使っている人にとっては、飛距離と球の上がりやすさは相当違ってくると思います」

番手ずらしでピンポイントのチューニングができるのが、フレックスフリーならではのワザだが、それをさらに追求していくと、より高精度の調整が可能になるというバリエーションの広さ、深さも、これまでのカーボンシャフトではあり得なかったことだ。

「たとえば、ミドル番手までを85のS相当にして、8番・9番は95で合わせるといったこともありですね。そうすれば、ウェッジだけはスチールのままでも違和感はまったくない。それぞれのフィーリングに合わせていろいろな組み合わせが考えられ、それもまたフィッティングの楽しみなのでは。」(中村)

画像3: 良い意味でカーボンらしくない操作性

番手ずらしというといかにもマニアックといったイメージで、「オレにはちょっと」と尻込みするゴルファーも少なくないかもしれないが、クラブの精度=ショットの精度を高めたかったら、フレックスフリーのアッタスFFを試してみてはどうだろう。中村も、「番手ずらしの効果で、アイアンショットがキレッキレになる期待は大ですね」とタイコ判を押していた。

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