2018年国内女子ツアーの第9戦のサイバーエージェント レディスを制したのは、勝みなみ、畑岡奈紗など“黄金世代”の一人である新垣比菜。プロゴルファーの中村修がスウィングを分析した。

「腹筋」を使ってクラブをあげるからリズムが崩れない

2015年、高校2年生のときに女子2部ツアーのステップ・アップ・ツアーで優勝するなど、早くから頭角をあらわしていた新垣選手。優勝は同学年の勝みなみ選手、畑岡奈紗選手に先を越されましたが、19歳、プロ入り2年目のシーズンでの初優勝は見事の一言です。

最終日にスコアを崩す展開ながら、女子ツアー最強選手と言っていい鈴木愛選手と競り合う中で、勝利をつかんだ新垣選手のスウィングを、まずはじっくり見てみたいと思います。

その特徴は、なんといってもしなやかで躍動感のある“ダウンスウィング”にあります(写真1参照)。肩が深く入ったトップから、下半身リードで切り返すことで、まるでクラブが体に巻きつくようにスウィングしています。この段階でクラブがスウィングプレーンに乗っており、飛距離、方向性を兼ね備えたスウィングと言えます。

画像: 写真1.下半身主導のスウィングが安定したインパクトを支えている。平均ドライビングディスタンスは246.26ヤードで15位だ(写真/2018年のフジサンケイレディスクラシック、撮影/岡沢裕行)

写真1.下半身主導のスウィングが安定したインパクトを支えている。平均ドライビングディスタンスは246.26ヤードで15位だ(写真/2018年のフジサンケイレディスクラシック、撮影/岡沢裕行)

ただ、今回の試合では、最終日にほんのわずかにダウンスウィングで左腰が伸び、そのことによって引っかけのミスが出る場面も見られました。このあたりは、やはり初優勝の緊張感があったのでしょうか。それでも、スウィングのリズムを崩すことなく勝ち切ったことに価値があります。

さて、緊張感の中でスウィングを守ったのが、テークバックです。「写真2」を見てください。体と腕が一体となり、体が動いた分だけ手が動いているのがわかります。すなわち、体の回転と腕の動きがしっかりと同調しているということ。

画像: 写真2.クラブと体の同調。基本的なことだがスウィングを安定させる上で必要不可欠なことである(写真/2018年のフジサンケイレディスクラシック、撮影/岡沢裕行)

写真2.クラブと体の同調。基本的なことだがスウィングを安定させる上で必要不可欠なことである(写真/2018年のフジサンケイレディスクラシック、撮影/岡沢裕行)

手先でクラブを動かすのではなく、しっかりと腹筋を使わないとこのようにテークバックはできません。手の動きと体の動きが連動しているので手打ちになることなく、崩れかけた緊張した場面で持ち直すことができたのだと思います。このように、クラブをおへその前にキープしながら、腹筋を使って始動するのはアマチュアゴルファーにも大いにオススメです。

勝選手、畑岡選手に勝利という意味では遅れをとったとはいえ、まだ19歳の新垣選手。お手本のようなテークバックと、躍動感あふれるダウンスウィングで、これからどんどん勝ち星を重ねていくのではないでしょうか。

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