勝みなみ、畑岡奈紗に続いて新垣比菜も勝利をつかみ、早くも3人がツアー優勝を遂げた1998-99年早生まれの通称「黄金世代」。10代のうちから続々と勝利をつかみ、その団結力も高いと言われているが、新垣比菜の優勝は他の黄金世代の選手たちの目にはどう映ったのだろうか。

2018年4月27日~29日に行われたサイバーエージェントレディスで昨年プロテストを通ったばかりのルーキー、新垣比菜が初優勝を飾った。今年「二十歳になる学年」の女子プロたちは今回優勝した新垣比菜を始め、アマチュア優勝を達成している勝みなみ、畑岡奈紗など実力者が多く“黄金世代”とも言われている。

画像: ルーキーイヤーで初優勝を飾った新垣比菜

ルーキーイヤーで初優勝を飾った新垣比菜

そんな彼女たちのことを、ツアーのライバルたちはどのように見ているのだろうか。黄金世代とプロ入り同期(89期生)で、QTランキング28位の資格でレギュラーツアーに出場している金澤志奈に話を聞いた。

「同じ89期生でも、私は(新垣)比菜ちゃん、勝(みなみ)ちゃんよりも3学年上なんですが、ジュニアの頃からとくに2人には刺激を受けてプレーをしていたのが思い出されます。同じタイミングでプロ入りをした比菜ちゃんの優勝を聞いて、私もさらに頑張らなきゃいけないと奮い立ちますし、やはり昔から切磋琢磨しながらプロを目指してきていますから、負けられないなという思いもあります」(金澤)

画像: リランキング上位に食い込み、後半戦の出場資格も確保したい金澤志奈

リランキング上位に食い込み、後半戦の出場資格も確保したい金澤志奈

3歳違いということは、中学・高校では「かぶらない」世代となるが、高校1年、2年という若さでプロの試合で勝利を収めた勝・新垣らの存在は、つねに念頭にあったようだ。

続いて、QTランキング49位の資格でレギュラーツアーに出場し、4試合中3試合予選を突破している吉川桃に話を聞いた。彼女も昨年プロテストに合格し、新垣や勝と学年も同じ「黄金世代」だ。

画像: 新垣の優勝に悔しさよりおめでとうという気持ちが勝ったという吉川桃

新垣の優勝に悔しさよりおめでとうという気持ちが勝ったという吉川桃

「同期(新垣比菜)の優勝を聞いて、悔しい気持ちが一番にくるかなと思っていたんですが、悔しい気持ちよりも『おめでとう!』という気持ちが第一でした。昔から知っている仲ですし自分のことのように嬉しかったですね。もちろん私もあとに続かなきゃという気持ちにもなりました。次は私が勝つぞって」(吉川)

と、新垣の優勝を受けてさらに闘志に火がついたという。新垣の初優勝の瞬間、グリーン上で祝福したのは勝、同じく黄金世代の吉本ひかるといったプロたちだった。バチバチのライバル関係ではなく、お互いに祝福し合える関係であることが、“いまどき”だ。

同じく同学年で、昨年のプロテストをトップ通過した松田鈴英は、この黄金世代の「仲の良さ」について、こうコメントしてくれた。

画像: 同期の優勝に感動したと話す松田鈴英

同期の優勝に感動したと話す松田鈴英

「同期の中でこんなに早く優勝するなんてって、一番は感動しました。89期生って本当に仲が良くて、プロテスト受かったときから、新人研修でも一緒に頑張ってきたし、ライバルでもあるんだけど心おきなく話せる仲間という感じ。同期の優勝が本当にいい刺激にもなりました。私も優勝といきたいところですが、まずは確実にシードをとること。ひとつずつ楽しんで、自分のゴルフができるように頑張ろうと思います」(松田)

3日目の朝、新垣は勝に相談していた

さて、黄金世代の活躍に先鞭をつけたのは、2014年にKKT杯バンテリンレディスオープンを高校入学直後に勝った勝みなみだ。彼女は、今回の新垣の優勝をどう思っているのだろうか?

「小学生の頃から知っていてずっと一緒にやってきているので、自分のことのように嬉しいという気持ちが一番です。3日目の朝、『緊張するんだけどどうしたらいい?』って相談を受けたときに『何かモノ食べるといいよー』なんてアドバイスをしたりして、余計なこと言っちゃったかななんて思ったりして心配だったんですが、本当に優勝してくれてよかったって思っています」(勝)

と、優勝前にアドバイスを送っていたことを告白。

画像: プロ入り前にアマチュア優勝をしている勝みなみ

プロ入り前にアマチュア優勝をしている勝みなみ

「自分も優勝したいし悔しいって気持ちもあるんですけど、素直に嬉しい気持ちが大きいです。(新垣に先を越された形の)プロ入り後のレギュラーツアー優勝を受けてですが、私は変わらずに、自分のプレーに集中して1打1打大切にすれば結果はついてくると思うし、優勝もできると思うので、そこは変えずにしっかり焦らず地道にやっていこうと思っています」(勝)

また、89期生についてこんなことも話した。

「89期生でよかったなって思うくらいみんな仲が良くて、最高ですね。同期の活躍があることでみんなどんどん伸びていって刺激ももらえます。この世代ってジュニアの頃からそうやって強くなってきたと思うので、それをもっとプロの世界でも『先週は比菜ちゃんが活躍したから今週は私が活躍する』って思いながらやっていければと思います。私たち負けず嫌いが多いので、それでどんどん上手くなって、『次は私が!』って強くなっていくんだと思います」(勝)

とお互いに仲間であり最高のライバルである関係をまとめた。

コーチの目からみた黄金世代は?

この黄金世代について、青木瀬令奈のコーチ・大西翔太はこう話す。

「89期生のみなさんは、宮里藍さんに憧れてプロになったという選手も多いと聞きますが、明確に目標にする選手がいることで、自分のモチベーションや志、意識する部分が高いように感じます。宮里藍さんのように、日本でも世界でも活躍した明確なビジョンがあったことで、光ってる部分をただひたすらにがむしゃらに追い続けてきたっていうのが黄金世代に共通するんじゃないかと思います」(大西)

と、宮里藍という明確な目標があったことも、黄金世代が作られた大きな要因のひとつだと話す。さらに続ける。

画像: 黄金世代のさらなる活躍に期待できそうだ

黄金世代のさらなる活躍に期待できそうだ

「他の年代って、ひとりずば抜けてたり、2人ずば抜けてたりとピンポイントが多かった思うんですけど、89期生はみんながみんな高いレベルの持ち主で、『あの子に負けたくないから私ももっと頑張んなきゃ、見えないところでも努力しなきゃ』というがむしゃらな気持ちが大きいと思いますね。みんなでゴルフ界のレベルの基礎を上げたっていうのを感じます」(大西)

他の世代にはない団結力と、その団結力の強さ故の「次は私が」というがむしゃらな思い。これからの女子ツアーの世代交代には十分すぎる要素かもしれない。

写真/矢田部裕

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