「日本プロゴルフ選手権」で6年ぶりのツアー20勝目を手にした谷口徹。飛距離では若手に遅れをとる谷口はなぜ50歳の今でも勝てるのか、同い年でプロゴルファーの中村修が強さの秘密を解説した。

「集中力の無駄遣い」をしないから、バーディパットにMAX集中できる

谷口徹選手のことを誰に聞いても、「ゴルフが上手い」「スコアを作るのが上手い」という話が出てきます。もちろん、この場合の「ゴルフが上手い」という言葉には、ボールを打つ技術以外のことが非常に多く含まれます。

いかにプロといえども、ラウンド中ナイスショットばかり打てるわけではありません。ましてや、日本プロのようなメジャーのセッティングではなおさらです。昨日は、その上悪天候までもが加わりました。

普通の選手ならば、ティショットをラフに入れると難しいから、フェアウェイに置きたくなります。だからこそ、ティショットから集中力を使う。しかし、雨も吹けば風も吹く環境では、それでもラフに外すのは防げません。そこからパーオンできればいいですが、なかなかそうもいきません。

画像: 飛距離では若手に負けるが、これぞ勝負師! というプレーで勝利をつかんだ谷口徹

飛距離では若手に負けるが、これぞ勝負師! というプレーで勝利をつかんだ谷口徹

パーオンできなければ、なんとかパーでしのごうと、アプローチでも、パターでも集中力を使います。こうして、少しずつ脳も体も疲れてきて、気づけばズルズルとスコアを崩してしまいます。昨日の最終日を見ても、何人かの選手が激闘の果てに力尽きるように、優勝争いから脱落していきました。

谷口選手のゴルフは、その中でいい意味で異質に見えました。たとえば、ティショットはセカンドが打ちやすければラフでもいい、グリーンを狙うショットでも次が寄せやすい場所なら乗らなくてもやむなしといったように、コースの細かいところまでを見た上で、パーオンしなくてもさらっとパーでしのげるゴルフを展開していました。その結果、4日間を通してダブルボギー以上のスコアも、連続ボギーも1度もありませんでした。

すごいのは、この絶妙な集中力のマネジメントを1ラウンドだけでなく4日間通してやっているところです。たとえば今大会72ホール目の18番パー5のティショットは、もちろんフェアウェイに置くにこしたことはありませんが、ラフでもOKでした。なぜなら雨が強くなったコンディションで無理して2オンを狙う必要がないからです。

さらに、2打目もグリーンに1ヤードでも近づけるというショットではなく、ある程度フルショットで打ててしっかりボールを止められる距離を残していました。そして、そこからピンを狙うショット、そしてなによりその次のバーディパットに全集中力を総動員するようなゴルフを見せていました。

画像: 集中力を総動員しているからこそ、このガッツポーズが出る

集中力を総動員しているからこそ、このガッツポーズが出る

つまり、集中力の無駄遣いが少ない。反面、ここぞという肝心なパットのときの集中力はズバ抜けていて、集中力が高まっているからこそ、入れたときにド派手なガッツポーズが出ます。最終日17番のパーパット、18番のバーディパット、そして勝利を決めたプレーオフのパットはすべて劇的なパットでしたが、しっかりと集中力を発揮できるだけの心のスタミナを残していなければ、あのパットは打てません。

画像: 左ひじがピーンと張らない余裕のあるスウィング。シニア世代は是非参考にしたい

左ひじがピーンと張らない余裕のあるスウィング。シニア世代は是非参考にしたい

トレーニングを強化して飛距離を伸ばそうとした時期もあったそうですが、昨年トーナメント取材の際「トレーニングをやめたら真っすぐしか行かなくなった」なんて笑顔で話しているのを聞きました。現在は筋力を落とさない程度に適度にトレーニングを行い、自分のゴルフをキープしているようです。

普段、飛距離の出る若手に対して自虐的な発言をすることもあるのも、ストレスをためないためのベテランならではのメンタルコントロールだと思います。そして逆に、飛ばし屋有利ではないコースセッティングやレイアウトのコースではチャンスがあることを予測してもいたはず。そのチャンスをしっかりつかむ、逃がさないところが谷口徹の強さでしょう。50歳での優勝、お見事でした。

撮影/姉崎正

キャロウェイ

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