「~全英への道~ミズノオープン at ザ・ロイヤル ゴルフクラブ」でツアー初優勝を挙げた秋吉翔太。全米オープン最終予選を同じ週の月曜日にトップ通過し、そして全長8000ヤードを超えるセッティングの今大会を制して全英オープンの切符も手にした。全米・全英の切符、そして初優勝の栄冠を一週間のうちに手にしたシンデレラボーイの強さを、みんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファー中村修が解説する。

フェードヒッターで球筋を自在に操る

全長8000ヤードを超えるモンスターコースを制した秋吉翔太選手は、やや上からボールをとらえ、スピンの利いた打ち出しの高いフェードボールでコースを攻めるプレーヤーです。飛距離も平均291.53ヤードと十分。フェードボールはスピン量が多くなりやすく、風に弱いというデメリットが一般的にはありますが、そのフェードボールで風も強く吹いた今大会を制し、全米オープンの予選会突破がまぐれではなく、実力であったことを示しました。

画像: 8000ヤード超えるコースセッティングの「ミズノオープン」を制し全英オープンへの切符を手にした秋吉翔太

8000ヤード超えるコースセッティングの「ミズノオープン」を制し全英オープンへの切符を手にした秋吉翔太

そのスウィングを見てみると、クラブフェースをボールに向けながらシャットに(閉じた状態で)使い、クラブを立てるようにテークバックを始動しています。よく、フェースは開きながら上げるのがセオリーとされますが、最近では長く世界ランク1位にとどまったダスティン・ジョンソンがそうであるように、フェースを開かずに上げるフェードヒッターは少なくありません。

秋吉選手の場合、トップからの切り返しできれいにプレーン上にクラブが乗り、アイアンでは上からボールをしっかりととらえ、ドライバーではやや上目からレベルブローの軌道でコントロールの利いたフェードボールを打っていました。

まだ27歳と若い秋吉選手ですが、大型ヘッド時代ならではの「いつも同じ」打ち方というわけではなく、入射角やインパクト時のロフトなどを微妙に調整することで、フェードの曲がり幅を調整したり、スピン量をコントロールしてボールの高い・低いを打ち分けるなど、ボールをコントロールする感覚に長けているのが印象的でした。これは、フェードヒッターならではの技術です。

これは、その時のライや風向き、ピン位置によって選ぶショットの引き出しが多いということ。長いコースセッティング、アンジュレーションの強く硬いグリーン、深いラフのタフなコンディションで持てる力を駆使し勝ち取った勝利と言えるでしょう。

6月の「全米オープン」、7月の「全英オープン」の2つのメジャーの切符を自らつかんだ27歳の秋吉翔太選手。初優勝を挙げたばかりの、まだまだこれからの選手ですが、その球筋をコントロールする技術には、世界の舞台で見てみたいと思わせるものがあります。国内屈指の我慢比べを制したその忍耐力とボールコントロールで、“タフガイ世界一決定戦”とも言われる全米オープンで、まずは活躍を期待したいです。

写真/岡沢裕行  

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