宮里藍サントリーレディスで惜しくも敗れた岩橋里衣。実は岩橋、今季は大会前まで10戦して予選落ち8回と好調とは言える状態ではなかった。彼女はなぜ急に優勝争いに絡めたのか? コーチであるプロゴルファー・関雅史に聞いた。

宮里藍サントリーレディスまで、岩橋は5戦連続で予選落ちを喫していた。それが、成田美寿々、有村智恵、アン・ソンジュ、比嘉真美子といった実力者を相手に最後まで優勝を争っての3位タイ。今回の大活躍は一体なにがきっかけだったのだろうか? 関は言う。

「去年も1試合だけ優勝争いをしているのですが(サマンサタバサガールズコレクション・レディースで2位タイ)、岩橋はギアがマッチすると力を出す選手なんです。サマンサのときは、マルマンの『ロイヤルSP』というドライバーを投入した翌々週。ドライバーを替えたことで安定感が出て、フェアウェイヒットが多くなったことで一気に調子を上げ、優勝争いにつながったんです。今回の場合、直前にパターを変えたのが、ハマったようです」(関)

岩橋が手にしたのはテキサスに本拠地を置く高級パターブランド「ピレッティ」。大会直前に8年ぶりにパターを替え、それによって劇的にパットが復調したことが今回の活躍につながっている。

実は大会前、岩橋は「ショートパットを打つのが怖い」と関に漏らすほど、パットに苦慮していた。

画像: パターを替えたことで劇的にパットが良くなったという(写真/2018年の宮里藍サントリーレディス)

パターを替えたことで劇的にパットが良くなったという(写真/2018年の宮里藍サントリーレディス)

「テレビで見る限り、(サントリーの最終日は)パターの打ち方がかなり良くなっていました。大会前に動画を送ってきたりもしていましたが、そのときとは異なり、構えから入れる気になっている。そして、自信を持って打っていました。道具をチェンジしたことで『入る』という期待感が持てたことから、ターゲットに集中できるようになったのだと思います」(関)

関は「ボールと会話せず、ターゲットと会話しなさい」と岩橋を指導しているという。ボールに向かって、真っすぐ行くかな、入るかなと考えると体はスムーズに動かない。一方、ターゲットに向けて、あそこに向かって打つんだ! と思いながらプレーすることができれば、自ずと“狙う”“入れる”といった雰囲気が出てくるのだという。

最後に、ひとつエピソードを紹介しよう。最終日最終ホール、岩橋は入れればプレーオフというバンカーショットを外した瞬間に笑顔を見せた。岩橋の人柄を表すあの笑顔に感銘を受けたゴルファーは少なくないはずだ。あの笑顔を、関はこう語る。

画像: 入れればプレーオフに突入するという場面でのバンカーショット(写真/2018年の宮里藍サントリーレディス)

入れればプレーオフに突入するという場面でのバンカーショット(写真/2018年の宮里藍サントリーレディス)

「試合が終わってすぐ連絡し、私は『惜しかったね』と言いました。すると岩橋は『でも、私はできることを全部やってきました』と答えたんです。優勝争いのクライマックスでバンカーに入れてしまった。上手く打ったけど、入らなかった。でも、今のはいいバンカーショットだった……できることを全部やったからこその、あの笑顔だったようです。もしかしたら、もっと勝利に向けてガツガツした姿勢を見せたほうがいいのかもしれませんが、私としては、あの笑顔は彼女の精神的成長を示すいい笑顔だったと思います」(関)

敗れはしたものの、ナイスファイトを見せてくれた岩橋。次こそは、“勝って笑顔”を見せてもらいたい。

写真/姉崎正

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