ウォルマートNWアーカンソー選手権で待望の米女子ツアー初勝利を挙げた畑岡奈紗。苦しんだ去年とは一転、今年は何度も優勝争いをするなど充実したシーズンを送っているが、一体どこに理由があるのか、テレビ解説者で、畑岡をよく知る米国在住のプロゴルファー・レックス倉本に聞いた。

凄い勢いで強くなっている

みんなのゴルフダイジェスト編集部(以下編集部):畑岡選手、見事な勝利でしたね。

レックス倉本(以下、倉本):(レキシー・トンプソンや、ミンジー・リーら)トップランカーたちを前にして素晴らしいゴルフだったと思います。一緒に回ったトンプソンやリーは畑岡選手に圧倒されて、最後まで彼女たちの実力が出せなかった感じでした。非の打ち所がない、完璧なゴルフでしたね。

編集部:今回、調子は良かったのでしょうか?

倉本:(58位タイだった)先週の試合が終わったあと、ドライバーの調子がいまいちと思っていたみたいなんですね。そこを自分なりに調整して今週に臨んだと、試合の前のインタビューでは語っていました。

編集部:今後、さらなる活躍が期待されます。

倉本:今はすべてが上手いこといっている状況ですから、この勢いでどこまでできるかが、凄い重要になってくると思いますね。

編集部:今シーズンの残りが勝負?

倉本:そうですよね。去年から今年にかけて、凄い勢いで彼女自身も強くなっているし、体も大きくなっているし、ゴルフの技術ももちろん凄く良くなっているので、右肩上がりの凄い状況です。でも、まだ19歳。体力的な面だけを見ても、去年一年間の反省点を踏まえて、無理をせずに自分の体調をコントロールすることを今年(目標にすると)言っていました。

画像: 待望の米女子ツアー優勝を手にした畑岡奈紗(写真/2018年のワールドレディスサロンパスカップ)

待望の米女子ツアー優勝を手にした畑岡奈紗(写真/2018年のワールドレディスサロンパスカップ)

それ(体調面)だけを守っていれば「明日はもっと強くなる」っていう時期だと思います。しっかりした目標意識があって、モチベーションにも満ち溢れていると思いますし、やる気があればどこまでも伸びていくと感じるんですよね。だから、(勢いのある今)ガーッと上手くなれるところでとことん行ってほしいですよね。

編集部:キャリアの最初から米国にわたり、ルーキーイヤーの昨年は苦戦もしました。それでも結果を出せたのは、本人の目標の高さでしょうか。

倉本:底知れぬ彼女なりの目標っていうのがあるんでしょうね。で、プロ入りしてから松山(英樹)君との交流も始まっているから、いい見本を見ているんでしょうね。世界ランキングを上り詰めるのに、世界のトップがどれだけ努力しているのかっていうのを目の当たりにしている彼女だから、逆に自分が置かれている立場っているのも明確に分かって、また上を目指すためにも必要なことっていうのも見えているんじゃないでしょうかね。

編集部:これからが楽しみですね。

倉本:まだ19歳っていうのが一つのポイントだと思うんです。生きている中で今一番ゴルフが楽しいと思うんですよ。結果も出ているし自分も上手くなっている。今から大人になっていって、ゴルフのプライオリティ(優先度)も一番から1位タイや2位になるときもあるけれど、彼女の場合は当分ゴルフが一番心底楽しめてやれる時期なんですよね。そういうときに溢れ出てくる自分の力というのはすさまじいものがあると思うんです。ですからまだ当分、純粋にゴルフのために一日を考えてやれる、それが苦にならない時間が続いていくんじゃないでしょうか。

編集部:もっともっと上手くなっていけるように、やり続けることが大事なんですね。

倉本:(勝ったら)一休みして遊びに行こうってタイプの子じゃないんですよね。1回勝ったら2回目勝ちたい。3回目勝ちたい、メジャー勝ちたいって自分で楽しく目標設定を変えていけるタイプだと思うから楽しみですよね。

ウォルマートNWアーカンソー選手権は、実は2012年に宮里藍が最後に勝った試合でもある。藍がツアーから去り、そのあとを継ぐように畑岡が勝利を挙げたのは、なにか偶然はないものを感じる。藍のように世界1位になれるか。19歳のこれからに、ますます注目だ。

撮影/大澤進二

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