全英オープン2日目、予選通過確実と思われた松山英樹だが、18番ホールでセカンドショットをOBとするなどトリプルボギーを叩き、予選落ち。名手をも呑み込む18番の難しさの秘密を、現地で取材するプロゴルファー・中村修が解説。

14番でイーグル、難しい16番でバーディを奪い、スコアを1オーバーまで伸ばして予選通過は確実と思われた松山英樹選手。18番でセカンドをグリーン手前のOBゾーンに打ち込み、打ち直しもグリーン左にわずかに外すと、そこからパターで寄せきれずに3パット。このホールをトリプルボギーとし、予選落ちを喫してしまいました。

画像: 数々のドラマを生んできた18番ホール。今年も最後までなにが起こるかわからない

数々のドラマを生んできた18番ホール。今年も最後までなにが起こるかわからない

カーヌスティの18番といえば1999年の全英オープン。ダブルボギーでも優勝という状況からまさかのトリプルボギーを叩き、結果優勝を逃すことになったジャン・バンデベルデのいわゆるバンデベルデの悲劇が有名ですが。その18番の罠に、今年は松山選手が捕まってしまった格好です。松山選手だけでなく、池田勇太選手はこのホールでダブルボギー、宮里優作選手はトリプルボギーを打っています。

18番には魔物が住んでいるかのようですが、その魔物の正体は単純で、このホール、極めて難しいんです。

「ドライバーだとセカンドはショートアイアンになるけど、右も左にも川がある状態で、右のバンカーと左のOBゾーンが気になります。右バンカーに入らないように刻むと200ヤードくらい残るんですが、バンカーまで入らない刻むクラブを持つと右の川が気になる。

ティショットがフェアウェイに行けば2打目でグリーンに乗せて止められますが、ラフからだと手前のバリーバーンを超えるように大きめの番手を持ちたくなる。そうすると今度は奥のOBが気になるし、グリーンの左サイドは左に傾斜しているから跳ねると左のOBにもいく可能性がある……本当に難しいホールです」

そう解説してくれたのは残念ながら予選ラウンドでコースを去ることになってしまった小林正則選手。このホールは有名な小川の「バリーバーン」がホールを蛇行しており、右にも左にも川がある状態。ドライバーを持つと左の小川とOBゾーン、そして右バンカーが気になります。

じゃあアイアンで刻めばいいかというと、ことはそうカンタンではありません。セカンドで200ヤードほどのバリーバーン越えのショットが残るため、松山選手がつかまったように、グリーン奥のOBが気になってくる。ティショットをスッとフェアウェイに置いておければいいのですが、このコースではフェアウェイに置くのは超一流選手でもカンタンなことではありません。ですので、このホールで2日連続バーディを奪った小平智選手は、まさにアッパレです。

画像: 18番のセカンドがまさかのOB。松山は2日間でカーヌスティを去ることに

18番のセカンドがまさかのOB。松山は2日間でカーヌスティを去ることに

全英オープンは予選ラウンドを終え、156名の参加選手のうち77名がコースを去ることになりました。残念ながら松山選手はいなくなってしまいましたが、まだ池田、小平、宮里、そして川村昌弘の日本人4選手がフィールドに残っています。彼らの活躍に、期待したいですね。

さて、優勝争いでいうと、私が注目しているのは初日から変わらずロリー・マキロイ、そしてトミー・フリートウッドの2選手。北アイルランドとイングランド出身の地の利を生かした二人が本命と言えそうです。そして2日目に急浮上したのが昨年王者のジョーダン・スピース。練習ラウンドでは正直パッとしない印象だったのですが、本番で力を発揮してくるあたり、さすがです。

いよいよ決勝ラウンドを迎える全英オープン。今回も、最終日の最終ホールまで、ドラマが待ち受けている予感がします。

写真/姉崎正

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