PGAツアーのメンバーになった今シーズンはさておき、昨年の日本ツアーでは「トータルドライビング」でトップになった、屈指の“ドライバー上手”小平智。その打ち方を浦はこう分析する。
「完全に、というか世界一といっていいくらい、体の右サイドでクラブをさばいて球を打つ選手ですね。それが証拠に、フィニッシュを後方から見ると、右足のカカトが左に傾いてます」(浦、以下同)
たしかに、右足のかかとが左に傾いている。左サイドに体重移動するタイプのスウィングだと、右足かかとは右に傾く。小平の場合、左に体重移動するのではなく、体の右サイドでクラブをさばいてインパクトを迎えるので、右かかとが左に傾くのだ。
そして左に体重移動しない代わりに、小平はその場でジャンプするようにスウィングする。インパクトで左足は浮いて、右足のつま先だけで立っている。この「つま先で立つ」ことを真似して欲しいと力説する。
「インパクトのときに左足をパーンと浮かせています。いわゆる“飛んでる”んです。実はアメリカのドラコン選手はほぼみんな、クラブを右サイドでさばいた結果、インパクトで左足が浮くんです。小平プロは、体が大きくはないしこれだけ精密なショットをするプレーヤーなのに、打ち方がちょっとドラコン選手っぽいんです」
インパクトで左足は浮いて、右足のつま先だけで立っている。この「つま先で立つ」ことは、誰もが真似して欲しいポイントだという。
「体重を乗せるのは、かかとではなくつま先です。小平プロは気持ちいいくらいのつま先体重。体重をつま先に乗せて振ることで、体の前面にある筋肉がたくさん使えて、大きなエネルギーをボールに伝えて力強く“押せる”んです。それがかかと体重になると体を骨格で支えることになるので、前面の押す筋肉が使えなくなってしまう。プロがアドレスするときに、足のつま先側で足踏みをするシーンをよく見ると思いますが、それもつま先を意識したものだと思います」
世界に誇る日本期待のショットメーカーのスウィングから、われわれアマチュアが学ぶべき点は多いようだ。
撮影/姉崎正