アイアンづくりに定評のあるメーカーといえば、日本では「伝統のミズノ」、そして外ブラなら「革新のピン」の名前が真っ先に挙がるだろう。その両メーカーがこのほど、それぞれ2タイプのニューモデルを発表した。そこで、プロゴルファー・中村修と、「ミズノ認定クラブフィッター」であり「ピン公認フィッター」でもあるゴルフ5世田谷店の久保貴史クラフトマンが、4モデルを実際に打って比較した!

4モデルそれぞれどんなモデルなのか。まずミズノからは「ミズノプロ319」と「ミズノプロ719」の2モデル。昨年発売され年度を代表するアイアンとなった「ミズノプロ」の追加モデルで、319は小顔のハーフキャビティ。719は飛び性能が非常に高い軟鉄鍛造ポケットキャビティだ。

どちらもミズノのトレードマークともいえる軟鉄鍛造製法という共通点こそあるものの、その性能は大きく異なる2モデルとなっている。

画像: 左からピン「i500」、「ミズノプロ719」、「ピンi210」、「ミズノプロ319」の4機種をゴルフ5世田谷店で試打した

左からピン「i500」、「ミズノプロ719」、「ピンi210」、「ミズノプロ319」の4機種をゴルフ5世田谷店で試打した

一方のピンはといえば、これはミズノ以上に性格の異なる2モデルを同時に投入してきた。まずi210は、多くのプロの愛器となった「i200」の進化版。打感や飛距離性能などに進化が見られる、ピンの王道・主力アイアンだ。

そして注目はi500。見た目には小顔のマッスルバックだが、実は中空になっており、見た目と大いに反比例したやさしさと飛距離性能がウリのモデル。

見た目も性格も大きく異なる以上4モデル、打った感想は果たしてどうか?

ヘッドはコンパクト&シャープなのにやさしい「ミズノプロ319」

まずは、ハーフキャビティのミズノプロ319から。

画像: やさしく扱いやすいハーフキャビティの「ミズノプロ319」

やさしく扱いやすいハーフキャビティの「ミズノプロ319」

「構えるとすっきりしていて、コンパクトに見えます。ただ、トップブレードはやや厚めでやさしさも感じられます。そしてバックフェース下部がかなり厚くネックも短めで、低重心になっているぶん、そんなに打ち込まなくても球が上がってくれそう。形状のわりに十分やさしく感じられると思います」(中村)

画像: 「ミズノプロ319」はコンパクトだがネックが短くヘッド下部が肉厚で低重心

「ミズノプロ319」はコンパクトだがネックが短くヘッド下部が肉厚で低重心

「前作のMP-66に近く、見た目はシャープで操作性がいいんですけど、より低重心になっていて芯も広い。キャビティが思ったより深いので非常にやさしく、寛容性があるのに、構えたときに違和感はありません」(久保クラフトマン)

二人の意見が一致したのが「打感がめちゃくちゃやわらかい!」という点。フェースにボールがくっつくような、ミズノらしいやわらかい打感がなんといっても魅力だ。

「グレインフローフォージドHDというフォージドの新しい製法もそうですし、銅下メッキという、やわらかい打感になるようなメッキ工法の効果もあると思います」(久保クラフトマン)

ロフトがストロングでないこともあり、飛ばすというよりは正確な飛距離を打ち分けるためのクラブ。もちろん、ロフトがある分打ち出し角は非常に高い。グリーンで止めるためのスピンもしっかりと入るアイアンだ。

「つかまったフェードボールで、ピンを狙っていきやすい弾道になっていますね。今までマッスルバックを使っていて、しんどくなってきた方とか、『やさしいモデルを使っていたけど、ちょっとランクアップしてアスリートモデルを使ってみたい。でも難しすぎると……』という方には非常にいいですね。見た目以上のやさしさを持ったクラブになっています」(久保クラフトマン)

画像: 「ミズノプロ319」をサイエンスアイで計測したデータ

「ミズノプロ319」をサイエンスアイで計測したデータ

試打は7番アイアン
ヘッドスピード 36.2m/s
ボールスピード 45.1m/s
打ち出し角 21.0度
バックスピン 5750rpm
トータル飛距離 146ヤード

試打データは以上の通り。ロフトが寝ていることもあり、弾道は非常に高い。それでいて、吹き上がるわけではないのがいい。

ポケットキャビティで打点のブレに強い「ミズノプロ719」

続いてはミズノプロ719。こちらはいわゆるポケットキャビティだ。ヘッドサイズも319よりも長く、トウとヒール、とくにトウ側が厚めになっているV字状のバックフェースからも、打点のブレへの強さが見てとれる。

画像: 軟鉄鍛造でポケットキャビティの「ミズノプロ719」

軟鉄鍛造でポケットキャビティの「ミズノプロ719」

7番アイアンのロフト角は319が34度に対し、719は32度。それもあって、やさしさだけでなく、ある程度の飛距離性能も兼ね備えたモデルとなっている。

「全体にしっかり反発があるのを実感します。昔の薄いマッスルバックは、ちょっと芯を外すと、ペチッとなって弱々しい球になったんですが、トウ側に重量が配分されているので、打点を外してもしっかりボールを押して行ってくれて、それなりに前に運んでくれます。左右・上下の打点に強くなっていて、直進性が高いのが最大の特徴ではないでしょうか」(中村)

画像: 「ミズノプロ719」は飛距離性能と打感のよさを兼ね備える

「ミズノプロ719」は飛距離性能と打感のよさを兼ね備える

気になる飛距離だが、319より2度ストロングロフトになっているぶん、719が10ヤード上回った。番手間のロフト差が4度前後であることを思えば、半番手分ストロングで、1番手分飛んでいることになる。

「飛距離性能もあって、『やさしいクラブがいい、でも大きすぎるのはイヤ』『見た目にはこだわりたいけど、距離もやさしさもほしい』という方におすすめです。適正スピン量になっているので、弾道がブレてしまうようなタテブレが少ない。なので、上級者にも使っていただけます」(久保クラフトマン)

 

画像: 「ミズノプロ719」をサイエンスアイで計測したデータ、「319」よりも10や―ド飛んでいる

「ミズノプロ719」をサイエンスアイで計測したデータ、「319」よりも10や―ド飛んでいる

試打は7番アイアン
ヘッドスピード 37.7m/s
ボールスピード 48.3m/s
打ち出し角 19.9度
バックスピン 6210rpm
トータル飛距離 156ヤード

319よりもボール初速が速く、飛距離も約10ヤードアップしている。軟鉄鍛造で飛び系が欲しいとなったら、選択肢には確実に入れたいアイアンだ。

女子プロに大人気のi200がさらに進化した「i210」

続いては、ピンの2モデルを見ていこう。まずi210は、i200の後継モデル。

画像: 「i200」から衝撃吸収材が大きくなって打感と飛びが進化した「i210」

「i200」から衝撃吸収材が大きくなって打感と飛びが進化した「i210」

「この間、ツアー会場でi200を使っている比嘉真美子プロが練習日にテストしているのを見てたら、『明日のプロアマ、このi210使います』と言っているのを耳にしました。高さが出て、スピンは入ってるのにキャリーが伸びていたから『替えるのに何も悪いことはありません』って。見た目も含めて、移行する際の違和感がないんだと思う。だからボクも打つのを楽しみにしていました」(中村)

初ショットを終えた中村の第一声は「(打感が)柔らかくなった、それだけでなく余計な振動がおさえられていますね」というもの。

画像: 衝撃吸収材が前作のピン「i200」よりも増えさらに打感が柔らかくなった「i210」

衝撃吸収材が前作のピン「i200」よりも増えさらに打感が柔らかくなった「i210」

「ミズノの打感が素材のやわらかさからきているとすると、ピンのやわらかい打感は、打った瞬間のヘッドのブレのなさ、振動の少なさからきているような感覚があります。これは、深いキャビティに注入された衝撃吸収材の影響が大きいんだと思います。性能面でいうと、ピンのアイアンらしくソールにバウンスがしっかりとついているから、土の中に深く潜っていかない。多少ダフってもすべって抜けてくれるし、結果的にナイスショットに近い球が出てくれるはずです」(中村)

久保クラフトマンも、打感に関しては「軟鉄鍛造とほぼ変わりません」と太鼓判を押し、その上で弾道について言及してくれた。

「i200と打ち出し角はほぼ同じなんですけど、スピンがしっかりかかって、なおかつ距離も伸びています。i200は少し丸みがあったんですけど、そこをシャープにして、上級者でも構えやすく、より幅広い人が使えるようになったという印象があります。アマチュアゴルファーには女子プロのセッティングが非常に参考になる部分が多いので、アベレージの方にも使っていただきたいですね」(久保クラフトマン)

乾いた雑巾を絞るように、すでに完成の域に達していたi200を、さらにもう1段階進化させたクラブ。i210はそんなアイアンという印象だ。

画像: 「ピンi210」をサイエンスアイで計測したデータ

「ピンi210」をサイエンスアイで計測したデータ

試打は7番アイアン
ヘッドスピード 37.0m/s
ボールスピード 47.3m/s
打ち出し角 21.0度
バックスピン 6060rpm
トータル飛距離 152ヤード

7番アイアンのロフト角は33度。ちょうどミズノの2モデルの中間に位置し、飛距離的にも2モデルの間。打ち出し角はミズノプロ319と同等と、非常に高いのも特徴だ。

見た目はすっきり、実は中空のi500は飛距離特化型

最後は、今回試打した中でもっとも革新的だと断言していい、ピンのi500。なにしろ、見た目はブレードタイプのi500だが、実は中空構造。しかも7番のロフト角が30度を下回る(29度)の飛び系アイアンだというのだから驚く。

画像: 中空構造で反発がとにかく強い飛距離性能に優れる「i500」

中空構造で反発がとにかく強い飛距離性能に優れる「i500」

「見た目はほんとにすっきりシャープな感じで、ピンのラインアップの中でもっとも小ぶりな“iブレード”とほとんど変わらない感じに見えます。打ってみて驚くのはその初速。飛び系には見えないのに、ちゃんと飛んでくれます。打感は、中空らしい弾く感じで、反発が強い。ミスヒットにも相当強そうです」(中村)

画像: 中空構造で反発が強く飛距離性能が高い「i500」

中空構造で反発が強く飛距離性能が高い「i500」

「i500のすごいところは、構えるとシャープなんですけど、ソールを見ると広いんですよ。ソールを見るとそのクラブのやさしさというのが十分わかるクラブになってますね」(久保クラフトマン)

中村によれば、PGA(米男子)ツアーの選手の中には、ロングアイアンだけi500を入れ、アイアン型ユーティリティ的に用いるケースもあるとか。見た目はマッスルバック、性能はユーティリティという、ちょっと信じられないモデルだ。

「i500はとにかく飛ぶ。飛ぶんですけどシャープさがほしいとか、こういうかっこいいクラブを使ってみたいという方にいいと思います」(久保クラフトマン)

画像: 「ピンi500」をサイエンスアイで計測したデータ

「ピンi500」をサイエンスアイで計測したデータ

試打は7番アイアン
ヘッドスピード 37.3m/s
ボールスピード 49.3m/s
打ち出し角 19.9度
バックスピン 5250rpm
トータル飛距離 166ヤード

飛距離は4モデルの中で文句なしの一等賞。ミズノプロ319と比較してロフトが5度立っており、約2番手分違うので当然だが、ミズノプロ319より20ヤード飛んでいる。アイアンでも飛ばしたいと考えるゴルファーにとって、この飛距離は魅力的だろう。しかも、見た目はシャープでカッコいいのだ。

最後に、アイアンに求められる3要素ともいえる「飛距離」「打感」「操作性」について、中村と久保クラフトマンがランクづけを行った。

画像: ピンとミズノのクラブフィッターの資格を持つクラフトマン久保貴史さん(写真右)

ピンとミズノのクラブフィッターの資格を持つクラフトマン久保貴史さん(写真右)

【飛距離性能】
i500>ミズノプロ719>i210>ミズノプロ319

【操作性】
ミズノプロ319>i210>i500>ミズノプロ719

【打感】
ミズノプロ319=i210>ミズノプロ719>i500

飛距離のi500、操作性の319、総合力に秀でるのがi210(中上級者向け)とミズノプロ719(アベレージゴルファー向け)、という感じだ。4モデルとも特徴がはっきりしていて、それぞれ違った明確な良さがある。アイアン選びの参考にしていただきたい。

ミズノはゴルフ5の大誌打会でも打てる!!

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