いよいよ始まったPGAツアーのプレーオフ。計4試合で争われ、大会を追うごとに出場選手が絞られていく。1000万ドル(約11億円)のビッグボーナスが与えられる年間王者は誰になるかに注目が集まるが、ゴルフスウィングコンサルタントの吉田洋一郎はブルックス・ケプカを年間王者の本命として予想。その理由は?

ケプカの強さの背景に「トルク」あり

私がプレーオフで本命視するのはブルックス・ケプカです。ケプカは今季2勝を挙げていますがそのどちらともがメジャー。PGAツアーで初優勝したのが2015年のフェニックスオープンですから、ここ数年の急成長ぶりは驚愕の一言です。

ケプカの武器は何と言っても飛距離。ドライバーは平均で320ヤード近くをかっ飛ばします。2017年に来日しダンロップフェニックスに出場した際には、ドライバーを使用しない場面が多く見られたものの他を圧倒する飛距離で4日間すべて60台でまわり20アンダーというスコアを叩き出してぶっちぎりの優勝を果たしました。

画像: 2018年、メジャー2勝を果たしたブルックス・ケプカ(写真は2018年の全米プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

2018年、メジャー2勝を果たしたブルックス・ケプカ(写真は2018年の全米プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

プレーオフ初戦のノーザントラストでは優勝こそなりませんでしたが、一時は首位に立つなど今季2勝目となった全米プロからの好調を維持しているようです。最終戦までチャンピオン争いに加わってくるとみて間違いないでしょう。

そんなケプカの飛ばしの要素になっているのが「トルク」です。

竹とんぼのようにクラブを使っている

ケプカはピート・コーウェンというヘンリク・ステンソンなど欧州ツアー選手を多く指導するコーチにショートゲームを教わっています。コーウェンが教えるアプローチでは、ダウンスウィングで右手の平を地面に押し込むように使います。この動きで発生したトルクがクラブを適切にポジショニングさせ、クラブにエネルギーを与えています。

ピッチショットの際、ケプカはダウンスウィングで左腕が地面と平行になったポジションから右手の平を地面に向け、左手を引き上げるように使います。このような手の使い方をすると、ミッドハンドフォース(右手と左手の合力)によって生まれるトルクを使うことができます。

ゴルフバイオメカニストのクォン教授やマイケル・ジェイコブスなどはこのミッドハンドフォースの向きやトルクが発生するタイミングを研究機関で実験してデータ分析を行い欧米のティーチング界に影響を与えています。

画像: 右手を押し込み、左手を引き上げる「竹とんぼ」と同じ原理でケプカはクラブを加速させていると吉田は言う(写真は2017年のダンロップフェニックス、撮影/有原裕晶 )

右手を押し込み、左手を引き上げる「竹とんぼ」と同じ原理でケプカはクラブを加速させていると吉田は言う(写真は2017年のダンロップフェニックス、撮影/有原裕晶 )

ここで生まれるトルクとは竹とんぼを回すときに両手をこすり合わせて羽の回転を加速させるのと同じ原理です。ハーフウェイダウンで右手を押し込み左手を引っ張り上げる事で、クラブが加速していくのです。こういった動きはドライバーショットでも見ることができます。自分の筋力だけでなくクラブの生み出す力を最大化することで、ケプカは飛距離を得ているのです。

プレーオフでの活躍とともに、ケプカの手元の動きにも注目してみてください。

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