今平周吾を下したタンヤゴーン・クロンパの優勝で幕を閉じたISPSハンダマッチプレー選手権。そのコースセッティングを担当したのがプロゴルファーの佐藤信人だ。セッティング意図の通りに試合は運んだのか、否か!? 試合を終えての感想を聞いた。

バミューダに対応した池田勇太、今平周吾、クロンパが上位に

開催コースとなった鳩山カントリークラブは、日本の試合では数少ないバミューダグリーンを採用したコース。(一般的な)ベントグリーンとは違う独特の硬さや順目と逆目があります。

普段の試合ではコンパクションが23から24でグリーンの速さが11~12フィートくらいのグリーンが多いです。今回はもっと速くすることもできたのですが、グリーンの傾斜が強く、(速いと)カップを切る場所が限られてしまうので、スピードを出し過ぎないようにしてほしいとお願いしてありました。

バミューダグリーンのいいところっていうのは、順目と逆目がはっきりしていて、ピンに対してつけてもいいサイドと悪いサイドがはっきりするので、選手もどっちに打ったほうがいいというのがわかりやすいところ。いいラインにつけるショット力が試されます。

もうひとつ、視聴者にもメリットがあります。画面で見ても白く見えたり黒く暗く見えたりすることで、順目につけたな、逆目になってしまったなと見ている人にもわかりやすかった。そういう意味でもテレビ向きだなと感じました。

バーディ量産の展開にするつもりが……

風に関しては、やはり予報と違う風に苦労しました。土曜日は風が強く吹く予報ではなく、カップを切る位置はそこまで左右に振ったつもりはなかったのですが、北風が強く吹き、奥に切ったホールに限ってアゲンスト、手前に切ったホールがフォローになったりして、想定以上に難しくなってしまいました。そんな中で池田(勇太)、今平(周吾)はショットのレベルが高いので、アンダー(パー)でプレーしていました。

最終日はギャラリーにフェアウェイにまで入ってもらって近くで見てもらうことと、南風がそこそこ強く吹くという予報を加味して、バーディの取り合いになるようにカップ位置を設定しました。アゲンストになるホールでは手前目に、フォローになるホールには奥目のピンといったように。もちろんその中でもつけていいサイドと悪いサイドをイメージしながら決めました。

画像: 今平は持ち前のショット力でバーディチャンスにつけつづけたが、パットに泣いた

今平は持ち前のショット力でバーディチャンスにつけつづけたが、パットに泣いた

ところがまったく予報と逆の風になって北西寄りの風になってしまいました。そんな中で今平は、バーディチャンスにはつけるもののパットが中々入らないこともあって、バーディの中々出ない展開になってしまいました。ホールロケーションを決めるのは天候や風に左右されるので難しさを改めて感じました。

昨年のプロアマで、ジャンボさんがマッチプレーに強い選手はどういう選手ですかと聞かれて、「結局はパットのうまいやつだ」と言ったんです。決勝戦、今平はショット力では圧倒的に上回っていてクロンパはパットで我慢する展開でした。

しかし、ホールが進むにつれてじわじわとクロンパのショットが回復してきてグリーン上での違いが勝利に結びつきました。

バミューダグリーンが日本ツアーのレベルを上げる!?

クロンパもそうですが、沖縄や東南アジアのプレーヤーはバミューダ芝に慣れていると思いますね。日本ではベントグリーンばかりなので、コーライ芝の芥屋CCで開催されるRIZAP KBCオーガスタ、バミューダ芝のPGMゴルフリゾート沖縄で開催される平和PGMといった試合は貴重です。世界に出て行こうとするする中で、バミューダをまったく経験しないでPGAツアーで戦おうと思ったら違和感があると思います。

画像: 今平を下し優勝を果たしたタイ人選手、タンヤゴーン・クロンパ

今平を下し優勝を果たしたタイ人選手、タンヤゴーン・クロンパ

今回もいろんなゴルフ場の方が見学しにいらしてました。夏場の試合はバミューダのグリーンであればコース管理もしやすい、選手もいい状態でできる。夏場は夏に適した芝で試合ができるといいですよね。PGAツアーでは、寒い時期に開催するところはライグラスにしたり、芝を張り替えたりすることもあります。

昔はコーライ芝のグリーンは重くてバリバリだったこともありますが、芥屋のグリーンは高速で他コースのキーパーが視察に行ったりしているのも聞いています。バミューダもいろんな品種が開発されていると聞いています。2グリーンのコースはベントとバミューダになるコースが増えるのではないでしょうか。それがひいては日本ツアーのレベルを上げて世界で活躍できるようになるといいですね。(談)

撮影/岡沢裕行

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