2017年にデビューし、3モデルすべてが名器という奇跡のラインアップによって大ヒットクラブとなったミズノの「ミズノプロ」アイアン。そのミズノプロに、新たに「ミズノプロ319」「ミズノプロ719」の2モデルが追加された。果たしてどのようなアイアンに仕上がっているのか、じっくり打ち込んで評価した。

2017年を代表するアイアンはなにか。そう問われれば「ミズノプロ」と答えるのがもっとも自然だ。フィッティングを前提としたカスタムクラブという通常とは異なる販売形態を取りながら、発売直後から好調なセールスを記録。契約外のプロが使用して結果を出すなど、アマ・プロ問わない絶賛を持って迎えられたクラブだからだ。

自分にピッタリなモデル、スペックを選べるというメリット。一本一本がミズノの誇る岐阜県の養老工場で組み上げられ、迅速にカスタマーの元に届けられるという卓越した生産体制。そして何より、ミズノプロ118、ミズノプロ518、ミズノプロ918、全てが市場で売れているという、「全モデル名器」というある種の奇跡。ミズノプロのプロダクトとサービスを含めた「アイアンはやっぱりミズノ」とうならされたゴルファーも少なくないだろう。

そして2018年、満を持してミズノプロに“追加モデル”がラインアップされた。ある程度事前に予想されていた通り、その名称は「ミズノプロ319」「ミズノプロ719」となっている。マッスルバックの「118」、チタン複合の高機能マッスル「518」、そして軟鉄鍛造一体成型キャビティの「918」に対して、新たな2モデルはどのようなクラブに仕上がっているのだろうか。

画像: 「ミズノプロ 319」の7番。シャープな形状は、まるで日本刀のような切れ味の良さを予感させる

「ミズノプロ 319」の7番。シャープな形状は、まるで日本刀のような切れ味の良さを予感させる

まず「319」から見てみよう。ロフト角は7番アイアンで34度といまどきのアイアンの中ではかなり寝ているオーソドックスなロフト設定。ハーフキャビティの精悍な顔立ちは、「飛ばすクラブじゃありません。狙うクラブ、運ぶクラブですよ」と主張してくるかのようだ。

プロポーションをチェックすると、小ぶりながらソールのボリュームは意外と大きいことがわかる。118、518に比べてスコアライン1本分だけフェース高が抑えられ、その分だけ低重心化が図られている。見た目のシャープさを保ちつつ、さりげなく“やさしさ”を入れてくる。アイアンを知り抜いたミズノならではの工夫だ。

画像: シャープな形状だが、バックフェースには厚みがあり、構えたときの印象以上に低重心でボールが上がりやすい「ミズノプロ319」

シャープな形状だが、バックフェースには厚みがあり、構えたときの印象以上に低重心でボールが上がりやすい「ミズノプロ319」

ミズノプロの既存3モデルを複数回にわたって試打テストし、その性能をしっかりと把握しているプロゴルファー・中村修は、この「319」を打って驚いたことがあるという。

「非常にシャープな形状なので、ある程度上から打ち込んでターフが厚めに取れるんだろうな。そんな風に思いながら打ったんです。ところが実際は、ボールの先の芝にソール面が心地よく接触する心地良い感触こそあれ、ターフが取れることはなかった。それだけ低重心で、抜けがいいんです。これには驚かされました」

画像: 低重心でソールの抜けが抜群に良い。「ターフが取れない」ことがひとつの性能であることを教えてくれるクラブだ

低重心でソールの抜けが抜群に良い。「ターフが取れない」ことがひとつの性能であることを教えてくれるクラブだ

ターフを取らずにシャローに抜ける軌道に自然に導いてくれる。その結果として放たれる弾道は、当然ながら打ち出し角が高いにも関わらず、スピンがしっかりと入ることで上がり過ぎることはなく、意思を持つかのようにグリーンに向かう中高弾道となる。言うまでもないことだが、そのとき手に伝わるフェース面がボールに吸い付くような打感はミズノだけのものだ。

「ロングアイアンはヘッド長を長く、ショートアイアンになるに従ってコンパクトにすることで、短い番手ほど操作性と抜けの良さが高まる設定となっています。ただ、シャープな見た目のわりにフェースターンはゆるやかなので、スウィング中にややフェースターンを抑えたスウィングにマッチします。

この性能を完全に引き出せるのは中上級者なのは間違いありませんが、個人的には100を切ったレベルの人が、ちょっと背伸びしてこのアイアンを手にしたときに、もっとも“楽しめる”気もします。持っていてカッコよく、見た目の割に難しくないですから」(中村)

ユーティリティの機能とミズノの打感が融合。「ミズノプロ719」

見た目に反したやさしさ。「319」の驚きがそこだとしたら、「719」の驚きはまた違うところにある。この性能が軟鉄鍛造一体成型で実現できるのか! という純粋なテクノロジーに対する驚愕だ。

画像: 「ミズノプロ 719」の7番。軟鉄鍛造一体成型にもかかわらず、異素材複合系アイアン的な性能を実現している

「ミズノプロ 719」の7番。軟鉄鍛造一体成型にもかかわらず、異素材複合系アイアン的な性能を実現している

「ロフト角32度と、ミズノプロ319より2度ストロングな設定なんですが、球の高さがまったく変わりません。違うのは弾道の強さ。319と比較した場合にスピン量が少なめになることで飛距離性能が増し、サイドスピンも減ることから非常に真っすぐ飛ぶんです。たとえるならならば、ソールにタングステンが入リ、ソールの分厚いチタンフェースのアイアン。この性能が軟鉄鍛造で作れるというのには、少々驚かされました」(中村)

画像: 「ミズノプロ719」の魅力は飛距離性能と直進性。やさしく飛ばせる性能がありながら、軟鉄鍛造の打感も犠牲になっていない

「ミズノプロ719」の魅力は飛距離性能と直進性。やさしく飛ばせる性能がありながら、軟鉄鍛造の打感も犠牲になっていない

現在、異素材を複合させることでアイアンの性能の設計自由度はかなり高まっている。シャープな顔ながらやさしくて打感も良く、かつ飛ぶ。そういった、見た目と性能のギャップが激しいアイアンが昨今多く見られるのもそこに理由がある。

それ自体は悪いことではないが、ミズノプロ719の場合は、どうしても打感に違和感が生じやすい異素材複合を良しとせず、軟鉄鍛造という設計上の“縛り”で自らを縛った上で、複合系アイアン的な性能を実現してしまっている。ミズノのちょっとどうかしているほどのアイアンにかける執念がなければ、そもそも「作ろう」とすら思わないだろう。

「フェース薄肉部を拡大させたポケットキャビティ。構えた感じはシャープさを残しつつもバックフェースのトウ側にボリュームを持たせ、直進性の高さを予感させます。実際に飛んで曲がらないアイアンですが、評価したいのがその打感。マッスルやセミキャビが打感がいいのは当たり前ですが、このアイアンはまるでユーティリティを打っているようなやさしい性能に反して、“ミズノのアイアンの打感”なんです。製造技術だけじゃなくて、軟鉄鍛造へのメーカーのこだわり、思いも込められている印象です」(中村)

画像: あくまでも軟鉄鋳造にこだわるミズノだからこそ生み出せた「ミズノプロ719」。機能性がありながら、打感の良さ、形状のシャープさは微塵も失われていない

あくまでも軟鉄鋳造にこだわるミズノだからこそ生み出せた「ミズノプロ719」。機能性がありながら、打感の良さ、形状のシャープさは微塵も失われていない

ミズノのアイアンは打感がいい。ゴルファーならば、そういう印象を持つ人は多いだろう。今回の2モデルは「打感がいい」という評価に甘んじず、打感の良さを追求しつつどこまで性能を高められるかの現時点での到達点を示している。ミズノプロ319。ミズノプロ719。この2つのアイアンは、軟鉄鍛造という昔からある技術で作られた、間違いなく世界最先端のアイアンだ。

画像: 「319」と「719」、軟鉄鋳造で作られた世界最先端のアイアンだ

「319」と「719」、軟鉄鋳造で作られた世界最先端のアイアンだ

アイアンは飛ばすクラブではない。しかし、飛ばないのは困る。そして、力まず振ったときに気持ち良く飛んで、なおかつ狙えるならば、それは歓迎すべきことだろう。普段7番アイアンで165ヤードを打つ中村が打って、「319」は168ヤード、「719」は179ヤードそれぞれ平均で飛んだ。「飛んじゃった」わけではなく、しっかりとコントロールした弾道で、遠くに運ぶことができた。手に残る極上の打感とともに。

それが、ミズノプロの性能なのだ。

撮影/小林司 取材協力/太平洋クラブ成田コース

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