賞金ランク92位(9月25日現在)と苦戦が続く今シーズンのイ・ボミ。コーチを変え、キャディを変え、クラブを変え、絶不調から抜け出そうとしているが、「日本女子オープン」の練習ラウンドをチェックしたプロゴルファー・中村修は「復活は近い」と断言。その理由は?

イ・ボミに笑顔が戻った

2015年、2016年との2年連続賞金王に輝いたイ・ボミ。やはり、それは想像以上に心技体を消耗したのでしょう。2017年は優勝1回で賞金ランクは23位。今シーズンは18試合に出場し予選落ち8回、棄権1回。賞金ランクは92位で、トップ10には一度も入っていません。

今シーズンはコーチを変えて開幕戦から予選落ち、シーズン途中で別のコーチに変え、そして今は高校時代から指導を受けたチョ・ボムスコーチの元に戻り再起を図っています。その間、6年間にわたり最強タッグとして連れ添った清水重憲キャディともコンビを解消しています。

画像: 笑顔が戻ってきたイ・ボミ選手

笑顔が戻ってきたイ・ボミ選手

今週の練習ラウンドを見た一番の印象は、“笑顔が戻っているな”というものでした。ファン・アルム、キム・ヒョージュ両選手と3人で和気あいあいの雰囲気の中、笑顔のイ・ボミ選手がその中心にいました。

その雰囲気作りの立役者は大溝雅教キャディではないかと見えました。小平智のキャディとして米ツアー優勝にも尽力したことで注目を浴びましたが、もともとは女子ツアーのキャディ歴の方が長く優勝回数も多いプロ中のプロです。

画像: 大ベテランの大溝キャディと和気あいあいの雰囲気で練習ラウンドをプレーするボミ

大ベテランの大溝キャディと和気あいあいの雰囲気で練習ラウンドをプレーするボミ

今週の「日本女子オープン」までの限定コンビになるそうですが“大溝効果”について大溝キャディ本人に尋ねてみました。

「いやあ誰がやっても一緒ですよ。たまたまタイミングがあったのでね。ボミさんは、もともと実力がある選手なので、浮上のきっかけになってくれればね」(大溝キャディ)

周りのスタッフも含めて一時の沈んだ雰囲気から脱却した様子。そうなると気になるのはショットの状態です。

もうひとつ取り戻したのはアイアンのインパクト音

ショットにも復調の気配が濃く漂っています。春頃のボミ選手はポジションごとのスウィングの形を気にしていてスムーズに振れていない印象を持ちましたが、今週はアイアンのインパクトの音が2年前の好調だった頃の音に近づいていると感じました。

カシーン! というボールを直接とらえ、前のターフをしっかりとる乾いた音。それがどのアイアンショットでも聞くことができたんです。調子の悪いときは、その音が一定していませんでした。

インパクトの音が戻ってきているということは、データ的にはスウィングの軌道や入射角、スピードが戻ってきているということですが、何よりボールをとらえる感覚が戻ってきていることが大きいです。ボールをとらえる感覚が戻ってくれば、弾道をコントロールすることができ、ピンに対して積極的に攻めるゴルフにつながっていきます。ピンを積極的に責めるゴルフは、ボミ選手本来のゴルフの姿です。

画像: アイアンショットの“音”が高いレベルで安定していた

アイアンショットの“音”が高いレベルで安定していた

関係者によれば「今は練習するのが楽しい」と口にしているそう。これも、言うまでもなく良い傾向でしょう。ゴルフはメンタル、技術、体力の3つがそろって初めて戦える競技。今のボミ選手は、その3つがもう少しで揃うところまで来ているように見えました。

今週の日本女子オープンの会場である千葉カントリークラブ野田コースはラフも深くタフなセッティングですが、唯一足りていないメンタル面の”自信”を取り戻すには最適な舞台。タフなセッティングでしっかりドライバーを振り、ピンを攻めることで復活に向けた自信という名の最後のピースがそろう気がします。

優勝カップを手にした笑顔の“スマイルキャンディ”が見られる日もそう遠くはないのではないでしょうか。

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