千葉CC野田Cを舞台に、いよいよ本日幕を開けた2018年の日本女子オープン。畑岡奈紗を始めとした米女子ツアーで活躍する世界レベルの選手も集まるとあって、一般公開されている練習日には多くのギャラリーが集まった。そんな中ひときわ長いサイン待ちの列を作っていたのが、同大会2015年の覇者チョン・インジだ。その人気に迫る。

「目指すのは、優勝です」

クラブハウスから出てきた途端、人だかりができる。マネージャーをカメラマンにし、ひとりひとりに笑顔で対応する。この光景には見覚えがあったので、その中心にいる選手は容易に想像がついた。今年もチョン・インジがやってきた。

日本女子オープンの練習日は一般公開されており、試合中に禁止されている写真撮影もこの日ばかりは解禁される。プロとの距離が近いためこの日を楽しみにしているゴルフファンも多く、プロカメラマン並みの装備でお目当てのプロを嬉しそうに撮影するゴルフファンの姿が並ぶ。国内外からのプロが集まるということもあり、この日のために遠方から駆け付ける人も少なくない。

そんな中、チョン・インジは相変わらずの人気ぶりで練習場に向かうことすらできない様子。「自分だったら」と考えると、途中で切り上げて自分のスウィングチェックに時間を割きたいところだが、ファンひとりひとりの目を見てサインや記念撮影に対応する姿はさすがの「神対応」だ。チョン・インジはファンを大切にする選手としても知られている。

画像: 雨ということもありギャラリー自体が少なかったがチョン・インジが出てきた途端に行列ができた

雨ということもありギャラリー自体が少なかったがチョン・インジが出てきた途端に行列ができた

プロアマの後の囲みでの「今日のプレーはどうでしたか?」という質問に、「今日はプロアマ。コース設定というよりはお客様とのコミュニケーションを大事にしていたので、そこまで自分のプレーというところは意識していませんでした」と答えたチョン・インジ。プロアマでもその神対応は健在だったようだ。

2015年に優勝カップを手にしてから、2016年は4位タイ、2017年は5位タイと日本女子オープンでは安定して上位でフィニッシュしているが、今年の目標は優勝だと話す。実はチョン・インジ、2018年の米女子ツアーの賞金ランキングは44位(9月27日現在)と、満足のいくシーズンを過ごせていない。

「今年はまだ(米女子ツアーでも)優勝がなくて、頑張っているのに成績が出ないという焦りと失望感を抱えながらやってきましたが、先週のエビアンを良い形(16位タイ)で終えることができてやっとホッとできた。ある程度形もつかめてきた中での今週なので、自分の中でも楽しみな気持ちがあります。優勝することが一番の目標です」

薄暮のプレーオフを制した2015年。コースは違えどその時の良いイメージはあると話したチョン・インジ。彼女のファン対応を見ていると、ふと彼女の言葉を思い出す。

画像: 2015年の優勝時。この笑顔をもう一度見たいと望むゴルフファンも多いに違いない

2015年の優勝時。この笑顔をもう一度見たいと望むゴルフファンも多いに違いない

「異国の選手なのに、自分に対して興味と関心を持ってくれて、応援してくれる気持ちを表してくれる日本のファンに感謝の気持ちがいっぱいです。自分の調子が悪い時こそファンの声援は大きな力になるのでファンへの感謝を忘れない」

今年も健在だった神対応に、ファンからの声援はよりいっそう大きなものになるかもしれない。優勝を目指すと明言した彼女は、最終日にどの位置にいるのだろうか。

撮影/矢田部裕 取材大会/日本女子オープンゴルフ選手権

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