LPGA(日本女子プロゴルフ協会)がプロたちのドライビングディスタンス(ティショットの平均飛距離)のスタッツを公開するようになったのは2017年だが、今年の現時点までを含めて1位の座を独占しているのが葭葉ルミだ。そんな葭葉に関してこんな話を耳に挟んだ。「女子プロの中で唯一ロングタイプのティを使っている」と。これって本当!? 本人に聞いてみた。

普通のプロは「69ミリ」

10月5日から7日の日程で行われたスタンレーレディスの練習日。プロ御用達のティーペグ「チャンプティー」を取り扱うテイクスインクの担当者がこんなことを教えてくれた。

「そういえば、女子プロの中で葭葉ルミプロだけ長いティを使っているんですよね。普通のティは69ミリなんですが、葭葉プロが使っているのは83ミリのロングタイプなんです。練習のためにこの長いティを使う選手はいますが、試合でも愛用しているのは葭葉プロだけ。男子でさえ日本人選手はあまり使っていなくて、男子は男子でも屈強な海外選手の中で使っている人がいるくらいで。珍しいですよね」(テイクスインク・竹澤俊治)

画像: 並べてみるとこんなに違う

並べてみるとこんなに違う

こんな面白い話、本人に聞くしかない! ということで、その理由を聞いてみた。以下、葭葉との一問一答形式でお伝えしよう。

ロングタイプのティを使うのは「飛ぶから」だった!

ツアー担当:先日チャンプティの竹澤さんに葭葉プロが試合でも長いタイプのティを使っていると聞いたのですが、その理由は?

画像: 実際に使っている理由を葭葉ルミ本人に聞いてみた

実際に使っている理由を葭葉ルミ本人に聞いてみた

葭葉:単純に高いティのほうが飛ぶから高いティにしていますね。

ツアー担当:女子ツアーでロングタイプを使っているのは葭葉プロひとりだけという話でしたが。

葭葉:そうですね。みんなあんまり使わないですよね。たしかにハイティしているのは私だけだと思います。長いほうで調節できたほうがいいかなって思って長いのにしています。

画像: 実際の葭葉のティアップ。たしかに高い!

実際の葭葉のティアップ。たしかに高い!

ツアー担当:日本の男子プロでもあまりいなくて、屈強な海外選手が使うって話でしたよ。

葭葉:あははは(笑)! 私屈強なオトコたちと一緒ですか(笑)。

ツアー担当:元々ティは高かったんですか?

葭葉:いや、もともとは普通のティを使っていたんですけど、低いと(上手く)打てなくて。「低いと打てないから高いティください」って感じで使い始めました。実際に使っているのはここ2年くらいなんです、高いティ使ってるの。

ツアー担当:やっぱり、高いと飛ぶんですね。

葭葉:距離を伸ばすために高くしているという部分はありますね。飛距離の秘密のひとつ的な感じです(笑)。

「ここ2年」といえば、LPGAがドライビングディスタンスのスタッツを公開し始めた2017年、そして今年2018年と葭葉ルミはドライビングディスタンスにおいて1位の座に君臨している。2017年は260.76ヤード、2018年の10月12日現在で259.55ヤードだ。選手によっては平均飛距離は220ヤードほど。ティショットで実に40ヤード近くの差がつくという計算になる。

画像: 葭葉の飛ばしの要素のひとつにティがあった!

葭葉の飛ばしの要素のひとつにティがあった!

ティを高くすることがなぜ飛ばしにつながるのか。みんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファーの中村修はこう話す。

「低いティが苦手ということは、葭葉プロはもともとアッパー軌道で打つタイプなんでしょう。このタイプはティを高くすることで弾道が高くなり、バックスピン量が減ります。飛びに必要な3要素であるボール初速、スピン量、打ち出し角のうち、2要素をティで補える。バックスピン量を増やさずに打ち出し角を高くできるので、結果飛ぶのでしょう」(中村)

もちろん葭葉の場合はそこにボール初速が加わって飛距離を稼いでいるのだろうが、葭葉のようなアッパー軌道で打つタイプにはロングタイプのティとの相性がいいようだ。ツアー会場で葭葉ルミを応援する際には、ドライバーショットの軌道とともに、ティの高さにも注目してみよう。

撮影/矢田部裕 取材大会/富士通レディース

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