3Dモーションキャプチャーを用いたスウィング解析システム「GEARS(ギアーズ)」。PGAツアーを中心に、最先端のレッスンの現場で積極的に用いられているこの器具を開発したマイケル・ネフが来日し、インストラクターやフィッター向けにセミナーを開催。その中で“お尻”にまつわる興味深い話があったので、ご紹介しよう。

お尻のラインは絶対にボールに近づかない

マイケル・ネフによれば、PGAツアーのトッププレーヤー40人のスウィングをギアーズで計測、データを分析した結果、いくつかの共通する動きが確認できたと話す。

その内のひとつがスウィング中のお尻のライン。スウィング中、アドレスで構えた位置よりも決してボール方向には近づかないというのだ(画像1)。キャディバッグにお尻が触れたままアドレスしたとすれば、フィニッシュでは離れるがスウィング中お尻のほどんどの部分はずっとくっついたままということだ。

画像: 画像1/3Dモーションキャプチャーで計測したデータ。お尻のラインがボール方向へ近づいていないことがわかる/

画像1/3Dモーションキャプチャーで計測したデータ。お尻のラインがボール方向へ近づいていないことがわかる/

「この動きはリッキー・ファウラー(画像2)を始めとしたトッププレーヤーに共通しています。アドレスで前傾したペルビス(骨盤)が伸びる動きはスウィングを不安定にさせます。極端なカットやインアウトの軌道になりヒールに当たりやすくなるなど弊害は大きい。インパクトでのパワーロスにもなります」(ネフ)

つまり、トップ選手はアドレス時に作った骨盤の前傾をキープしたままスウィングしているから、お尻のラインが前に出ないということだ。それに対して、アマチュアゴルファーはスウィング中に骨盤の前傾が崩れてしまうことで、お尻のラインがボールに近づいてしまい、ミスを誘発するというわけだ。

画像: 画像2/リッキー・ファウラーのスウィング。お尻の位置に注目だ(撮影/岡沢裕行)

画像2/リッキー・ファウラーのスウィング。お尻の位置に注目だ(撮影/岡沢裕行)

ではどうすればいいか。クラブを持たずに壁にお尻をつけて素振りするのが家でもできる改善方法だとネフは言うが、その前提として、ボール方向ではなく背中側にお尻を押し込む意識が重要だという。画像3は、セミナーで女性受講者に実施されたデモンストレーションの模様だが、ネフはモデルのプレーヤーのお尻を押し込み、プレーヤーは逆にその手を押し返している。お尻をくっつけるどころか、押し込むくらいの意識でいいのだ。

「このようなスラスト(押し込む)の動きをすると、正しい下半身の動きが体験できます」(ネフ)

画像: 画像3/背中側に押し込む意識を持てば、お尻のラインがボール方向へ近づくことはない

画像3/背中側に押し込む意識を持てば、お尻のラインがボール方向へ近づくことはない

お尻のラインが近づかないで振れれば、手元をインサイドから低い位置に下ろすことでできる。しっかりとボールに力を伝えられるようになるし、インパクトも安定する。飛距離も伸ばせるし、肝心な場面でのミスも防げるようになるなど、いいことしか起こらない。

最後に、セミナーを受講したプロゴルファー・中村修からワンポイントアドバイス。そもそもどうやればお尻のラインが確認できるか、だ。

「正しく撮影するには、ターゲットラインの後方から、カメラをグリップの高さに固定して撮影してみてください。撮影した動画を観るときは、アドレスでのお尻のラインに指など目印になる直線を当てておくと、お尻のラインの動きが確認できます。強く振ろうとしたときほどお尻のラインはボールに近づきやすいので、ドライバーショットで確認するのがオススメです」(中村)

この下半身の使い方は、壁さえあればどこでも練習できる。まずはスマホ動画でご自身の“お尻の動き”をチェックしてみてはいかがだろうか。

協力/ノビテック

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