小さいフォローと「等速インパクト」
2時間かけて開催されたパット解析機「CAPTO」のセミナーに集まったのは、プロゴルファーやインストラクター、ゴルフショップの店長などの専門家たち。「CAPTO」はパターのシャフトに装着するガジェット。秒間400回のセンシングを行うことで、パッティングを解析できるという最新機器だ。

パターのシャフトに装着するセンサーが自動的にパッティングを分析する
主な項目を紹介すると、ストローク中のフェースの向き、入射角、ストロークのプレーンの角度、テンポなど。その中でもパットの名手と言われる選手に共通しているのがストロークの加速の仕方だと、セミナーを主催したエンジョイゴルフ&スポーツ代表の佐々木信也は言う。

計測される項目はフェース面や入射角、手の動きなど16項ある
「パットの名手であるタイガー・ウッズもジョーダン・スピースもリッキー・ファウラーもフォローが短いですよね。様々な計測結果や分析から、彼らに共通するのはインパクト前後でヘッドが等速で動くことであることがわかってきました。加速しながらインパクトするとフォローは大きくなりますから」(佐々木)
加速しながらインパクトするのが転がりのいいパッティングの秘訣、といったことはよく耳にするが、それはあくまでも印象や感覚の話で、実際に分析してみると、名手たちのパターヘッドはインパクト前後で加速していなかった。

リッキー・ファウラーは打った後のフォローが短い(写真は2019年ファーマーズインシュランスオープン 写真/有原裕晶)
切り返しが高速道路の入り口ならば、そこから切り返し直後の合流車線で加速し、巡航速度で走行レーンを走っている状態でインパクトを迎えているというイメージ。加速の途中でブレーキを踏むと当然止まりにくいが、巡航速度ならばすぐに止まれる。つまり、フォローは大きく流れず、インパクト直後にピタッと止まるというわけだ。
佐々木によると、名手たちは加速も減速もしていない等速でボールをヒットしているから、距離感が一定するし、安定した打点でヒットできるとのことだが、そのような名手のエッセンスを取り入れるにはどうしたらいいのだろうか。
「テークバックを終えたあと、ダウンに移ると加速状態でインパクトを迎えやすくなります。ポイントは、テークバックの途中でダウンスウィングに入るように切り返すこと。これにより、切り返し直後は加速状態となりますが、インパクトゾーンではヘッドを等速で動かしやすくなります」(佐々木)
スウィングでは、テークバックでクラブが上がり切る前に下半身などから切り返すのがクラブをプレーンに乗せ、捻転差を作って飛ばすコツなどと言われるが、パッティングでもそれと似たような動きがいいパッティングをする秘訣だったというわけだ。
キーワードは等速インパクト。自宅のパターマットの上で、パット名手を目指してみては?