ひと昔前には「プロはクラブ契約して一人前」なんて言われていたが、最近では世界的にクラブ契約フリーで活躍する選手が増えている。そんな契約フリー選手たちが活躍する背景を、業界イチのギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人が考えた。

メーカーと選手のWin-Winになるはずだが……

みなさんこんにちは、ギアオタク店長の小倉です。今日はプロゴルファーのクラブ事情について個人的な考察を交えてお話したいと思います。

昨今、プロゴルファーに増えているのがクラブメーカーとクラブの使用契約をしない、もしくはごく限られた本数しか契約をしないケース。これは日本に限ったことではなく世界的にみられる状況です。そもそもプロゴルファーとメーカーはなぜ契約をするのでしょうか。

画像: マスターズを制したリード(左)、全英OPを制したモリナリ(中)、全米オープン、全米プロを制したケプカ(右)……昨シーズン、メジャー王者は全員クラブ契約フリーだった。(撮影/姉崎正)

マスターズを制したリード(左)、全英OPを制したモリナリ(中)、全米オープン、全米プロを制したケプカ(右)……昨シーズン、メジャー王者は全員クラブ契約フリーだった。(撮影/姉崎正)

プロゴルファーは、非常に厳しいコンディションのコースで最高のパフォーマンスを発揮しなければならないため、クラブの性能、そしてクラブの細かい調整がとても重要になります。メーカーと契約をすれば最新のクラブを使用することができますし、自身の細かい要望にもメーカーが対応してくれるので安心してプレーに集中できるというメリットがあります。

画像: 2018年の賞金女王、アン・ソンジュもクラブ契約フリーで戦いぬいた(撮影/岡沢裕行)

2018年の賞金女王、アン・ソンジュもクラブ契約フリーで戦いぬいた(撮影/岡沢裕行)

対するメーカーは、プロが使用して活躍してくれることによってクラブの性能をアピールでき、大きな宣伝効果を得ることができるといったメリットがあり、ウインウインの関係が成り立っているのです。

では、なぜあえて契約をしないフリーの選手が増えてきているのでしょうか。あくまでクラブからの観点としての考察ですが、そこには「クラブの性能の極端化」があるのではないかと私は見ています。

たとえばドライバー。ドライバーはルールにより、ヘッドのサイズ、フェースの反発係数等、多くの項目が決められています。その中で各メーカーが独自の技術や思考を駆使し、より優れたモデルを開発しようと日々努力をしているわけです。当然、他社との違いを出すためにそれぞれに個性が生まれます。

画像: 契約よりも自分の感覚を大切にしたいとフリー契約で戦っている成田美寿々(撮影/岡沢裕行)

契約よりも自分の感覚を大切にしたいとフリー契約で戦っている成田美寿々(撮影/岡沢裕行)

その個性がより高性能なクラブを生み出そうとするがゆえに強くなっているのではと感じるのです。もちろんそれ自体は決して悪いことではありません。むしろ我々ゴルファーにとっては選択肢が増えるのですからとても喜ばしいことだと思います。しかしプロゴルファーにとってはそれが必ずしも良い方に作用しないのではないかとも思うんです。

プロゴルファーも人間ですのでクラブに好みがあります。より良い結果を出すためにできるだけ自分に合ったクラブを使いたいと考えるのは自然なことですよね。各メーカーのクラブの個性が強くなってきているため、ドライバーはA社のモデルが良いけどアイアンはB社の方がしっくりくるなんてことが増えてきているかなと。

メーカーとしては、契約する際により多くの商品を使ってもらうために本数制限をすることが多いです。10本以上とか7本以上とか契約によって内容は異なってきます。さらにはドライバーだけは必ず使うとか、パターは絶対とかクラブジャンルに及ぶメーカーもあります。そうなると使う側のプロとしては、ますます自由にクラブが選びにくくなってしまいますし、なにより新製品が出たタイミングで新しいクラブにチェンジしなければならないという大きな制約が生まれます。

これは契約内容によって変わるでしょうが、メーカーとしては是が非でも契約プロにお願いしたいはずなので、猛烈なプッシュがあるでしょうね。新製品がバッチリ自分に合うモデルであれば問題ないのですが、せっかくしっくり来ていたクラブも変えなければならないという可能性もあるわけです。

クラブ契約をしていないプロのクラブを見てみると、メーカーはもちろん年式もバラバラなセッティングが多いです。そしてそういったプロ達が結果を残しているのも事実としてあります。結果を求められるプロがメリットを削ってでも使いたいクラブを使っているのですから、改めてゴルフというスポーツにおけるクラブの重要性を感じますね。

HONMA

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