新しい年がスタートし、各メーカーが新商品のクラブが続々と発売されている。ゴルフショップで“NEW”というPOPを見かけたゴルファーも少なくないだろう。果たして何に対しての“NEW”なのか。ギアライター高梨祥明が改めて考えた。

エピックフラッシュが登場しても、ローグは、バリバリのNEWモデル!

3月、4月はゴルフ市場も新製品の発売ラッシュ期だ。ゴルフショップにいけば、NEWと大きく書かれたPOPが花盛りで目移りしてしまうだろう。NEWが出れば、それまでNEWだったものが“旧(OLD)”になる。愛用者にとってはなんとなく寂しさを覚える瞬間でもある。最近はとくに商品サイクルが早すぎる! と不満を抱くこともあるだろう。

私はNEWのつくゴルフギアに出会った時、まず、考えることがある。それはこのモデルが従来の何のリプレイス(置き換え)になるのだろう? ということだ。

たとえば、2019年の話題作として多くのメディアに取り上げられているキャロウェイゴルフの「エピックフラッシュ」だが、単純にこれをキャロウェイが出した一番新しいモデルだ! もっとも高性能なモデルなのだろう!ととらえてしまうと、評価を誤ってしまう可能性がある。

「エピック フラッシュ」は、2017年に発売された「GBBエピック」の後継、リプレイスモデルである。「GBBエピック」はどちらかといえばアスリートを対象にしたモデルで、上がりやすさ、やさしさというよりも、前に行く力強さ、パワフルさを強調している。そのイメージをさらに最新のテクノロジーを使って改良・向上させたのが「エピックフラッシュ」なのだ。

キャロウェイゴルフの製品としては、「GBBエピック」のあとに、「ローグ」(2018年)が出ているが、これは「GBBエピック」ではカバーしきれなかったゴルファー層に向けられた別シリーズだ。第一に上がりやすく、ミスに寛容、軽量でヘッドスピードも出しやすい。「GBBエピック」とは対象ゴルファーが違うのである。

画像: エピック フラッシュ発売で旧モデルと思われがちだが、ターゲット違いのローグはNEWのまま!

エピック フラッシュ発売で旧モデルと思われがちだが、ターゲット違いのローグはNEWのまま!

つまり、「エピック フラッシュ」が発売されても、「ローグ」シリーズはNEWのままである。「ローグ」を買った人が、なんだよ、もう新製品出しやがって!とモヤモヤする必要はないのである。「ローグ」の後継モデルが出るのは、もう少し先の話(推測)。

ちなみに、このNEWはなんの後継か?という見極めを他のブランドでもしてみると、こんな感じになる。

テーラーメイド
(NEW)M6← (OLD)M4
(NEW)M5← (OLD)M3

タイトリスト
(NEW)TS3← (OLD)917D2
(NEW)TS2← (OLD)該当モデルなし

「あれ、タイトリストのTS3は917D3のリプレイスじゃないの?」と思うかもしれないが、慣性モーメントの大きさや重心設計からすると、TS3はこれまでのD2モデルに近いといえる。ではTS2はというと、それ以上にミスに対する許容性と高い直進性を備えており、前作の917では類似モデルは見つからない。文字通りタイトリストとしてはNEWタイプといえるのだ。

ゴルフメーカーは各クラブを開発する際に、必ずターゲットゴルファーを想定し、その層のニーズを満たすべく開発を行っていく。すべてのゴルファーをたった1モデルで満足させることはできない。

「エピック フラッシュ」ドライバーには、“サブゼロ”、“スタンダード”、“スター”があって、この3モデルで全ゴルファーをカバーしているような印象を勝手に抱いてしまうが、これはあくまでもエピック対象の中での細分化。ローグ対象の人には、やはりその後継として別設計されたNEWが必要なのである。

元調子・中調子・先調子。一度にNEWが出ないシャフト市場。

こうした“何に対してのNEWなのか?”という視点は、シャフト選びの際にも持っておきたい。

ご存知の通り、シャフトの種類は元調子・中調子・先調子とキックポイントで分類されるケースが多いが、シャフトのNEWもたいていその分類で発売されている。たとえば、今年、中調子系のNEWを発売したら、来年は先調子のNEW、再来年は元調子のNEWと順番に新製品を出すメーカーもあるのだ。

つまり、シャフトメーカーからは毎年NEWが出ているが、中調子が合うゴルファーに対するNEWは3年に一度だったりする。必ずしも元調子・中調子・先調子のNEWが一度に出るわけではないところに、シャフト購入の難しさがあるのだ。

画像: 自分に合いそうなNEWはどれか。その見極めをするには、現状使用しているクラブでの打球傾向や使い心地を具体的に伝えることが大切。(写真はイメージ)

自分に合いそうなNEWはどれか。その見極めをするには、現状使用しているクラブでの打球傾向や使い心地を具体的に伝えることが大切。(写真はイメージ)

もちろん、最近は中調子の中でさらに細分化されたモデル展開がされることも多く、一概に元調子・中調子・先調子の三系列と言い切ることはできない。また、ターゲット違いのバリエーションを同時にNEW! として出してくれる、ありがたいシャフトメーカーもある。

ゴルファーなら誰もがNEWという響きに大きな期待を抱いてしまう。しかし、いちゴルファーにとってのNEWは、そうたくさんあるわけではない。

商品サイクルが早く、多品種展開の今、必要なのは「NEWの見極め」である。

NEWモデルを目にしたら、とりあえず「これは従来品の何に近い?」 「○○を使っている自分にとってのNEWはどれ?」と、メーカーやショップに聞いてみる習慣をつけたい。

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