デザインや価格だけで、なんとな〜くシューズを選んでいないか
最近は多くのゴルフ量販店にショットのデータ計測器が設置された試打ブースがあり、自分に合ったクラブやシャフトをフィッティングで見つけることができるようになった。インターネットでクラブやシャフトを購入するにしても、必ず近所のショップで試打してから決める、というゴルファーも多いはず。
ところが、ゴルフシューズに関しては、意外と無頓着にデザインや価格などからアバウトに選んでいないだろうか?
でも、ちょっと待ってほしい。スウィングスポーツのゴルフにおいて、地面との接点であるシューズはクラブやシャフトと同じぐらい、重要なギアのひとつ。ラウンド後半になると、決まって足に疲れが出たりといったことだけでなく、ショットの乱れや飛距離が出ないなども、実は自分の足に合っていないゴルフシューズでプレーしているのが原因の可能性がある。
そこで、みんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファーの中村修が、3つの足幅を選べるフットジョイの新作シューズ「DRYJOYS PRO Boa」のフィッティングを体験。スウィング中の体重移動を可視化することができる解析機「ボディトラック」を使って、自分の足に合っているシューズと合っていないシューズでは、どんな違いがあるのかを検証してみた。
テスターの中村にはXW(エキストラワイド)と適正サイズのM(ミディアム)を履いてもらい、ドライバーのスウィング中に体重がどのように移動しているかを計測。「ボディトラック」使用したレッスンを行うエキスパートで、シューフィッターの資格も持つ神谷幸宏プロに解説してもらった。
最初に、中村の適正サイズではないXW(エクストラワイド)の計測結果を解説してもらった。
「(下記写真1)まず切り返し直前のトップでは、右足の外側に体重が流れています(A)。これはシューズ内で足が右に動いたため。左足も体重が前方へ流れています(B)。インパクトでは左足に体重が86%乗っていて問題がないように見えますが、やはり左足の外側に流れすぎています(C)。シューズのなかで足が動き、地面を踏ん張り切れずに、左足が外にめくれるような動きが出てしまっているからです」(神谷)。
続いて、中村の適正サイズであるM(ミディアム)に履き替えてもらい、同じようにスウィング中の体重移動を計測した。サイズはもちろん、足幅もピッタリのものだ。
「(下記写真2)切り返し直前のトップで、左足前方への体重の流れ(E)と、右足外側への体重の流れ(F)が抑制されています。右足へのプレッシャーの数値に注目してみると、足に合っていないシューズだと78%(D)だったのが、ジャストサイズでは87%(G)にまで増えています。インパクト時も外側へ流れる度合いが小さくなり、左足のプレッシャー配分が少なくなっています(H)。これはシューズの中の足のズレが解消され、より踏ん張ろうとする余計な力が抜けたから。数値上は小さい差ですが、プレーヤーの感覚としては、かなりの違いを感じているはずです」(神谷)
中村自身も、明らかな違いを感じている。
「正直、最初に履いたときはちょっと窮屈かなと感じましたが、スウィングしていくうちに、より自分の足の形にフィットしてくるのがわかるんです。大げさにいうなら、シューズを履いていることを忘れてしまうぐらい自分の足に馴染んでくる。これならどんなにマン振りしても、フィニッシュまでバランスが崩れずにスウィングできちゃう。そんな安心感がありますね」(中村)
最初に少し窮屈に感じたというのがポイントだ。なんとなく選ぶ場合、窮屈に感じると「足が痛くなるかも……」とか「コースで履くとむくんでキツくなるかも」などと考えて、“ゆったりめ”を選びがち。しかし、そうなると既に行った実験で明らかな通り、自分のスウィングはさせてもらえない。
ショットのデータ計測でも、足にフィットしていないシューズでは左右に球が散らばっていたのが、飛距離も方向性も安定するようになり、その違いが明確に表れている。
傾斜地からスコアを守るのは、クラブ以上にシューズかもしれない
これらの結果は、コースで実際にプレーしながら検証した際により大きな違いとして現れた。とくにわかりやすいのが傾斜地だと中村は言う。
「傾斜地は足場が不安定な中でのショットを強いられます。そのときに靴の中に遊びがあれば、立つことさえ難しい。ましてやナイスショットは望めません。もちろん、キツすぎてもダメ。ゴルフ場には傾斜がつきものですが、そんなときこそ足に密着するようなフィーリングが求められます」(中村)
傾斜のない練習場ならまだしも、傾斜があり、バンカーがありと様々なライに対応しなければならないコースでは、正しくフィッティングされたシューズのスコアに直接関わる“ギア”という役割が明確になる。
デザイン性や価格も大切だが、スポーツの道具である以上、まずは足にピッタリとフィットすることが前提。そのためには正しいフィッティングを行うのが近道だ。
フットジョイのゴルフシューズがなぜ、プロや上級者から絶大な支持を得ていて、愛用者が多いのか。それは足の縦のサイズだけでなく、ウィズ(横幅)も計測する、細かなシューズフィッティングによって、自分の足にピッタリとフィットしたゴルフシューズを、必ず見つけることができるからだ。
「最新のゴルフシューズは新素材のアウトソールやミッドソールを採用したり、さらに軽量化、スパイク鋲の配置に工夫を施したりと、様々なテクノロジーが搭載され、あらゆる面で大きく進化しています。でも、自分の足にフィットしたシューズじゃないと、その性能をフルに発揮することはできません。多くのアマチュアゴルファーは、楽という理由で大きめのシューズを選んだり、またサイズが合っても、ウィズが合わずに、仕方なく大きめのシューズを履いているプレーヤーもいます。新しく発売されるドライジョイズプロは、同じサイズで3種類のウィズが用意されているので、シューズフィッティングによって、必ず自分の足にピッタリとフィットしたシューズと出会うことができますよ」(神谷)。
“オシャレは足元から”というが、ゴルフにおいては自分の足に合ったゴルフシューズを見つけることが大切。“上達は足元から”なのだ。
撮影協力/太平洋クラブ市原コース