プロゴルファーの成績や実力を知るうえで、重要な指標となるのがスタッツだ。スタッツはstatistics=統計の略で、成績やデータをまとめたもの。ゴルフの場合はバーディ数、平均パット数、フェアウェイキープ率などがある。今回は、そんなスタッツの中でも重要な「パーオン率」について、プロコーチ・井上透とその自由過ぎる教え子・幡野夏生の師弟コンビが話し合った。

プロでシードを取るにはパーオン率「66.7%」が要る

井上:今回は、どうしたらパーオン率を上げられるのということがテーマです。

幡野:せつじつぅ~(どんだけぇ~風に)!

井上:(無視して)そもそもパーオン率って何かと言う話をすると、パー3ホールの場合は1打でグリーンに乗せる、パー4では2打目、パー5は3打目で乗せられる確率がパーオン率。

幡野:はぁ~い、知ってま~す。

井上:じゃあそのためにどうしている?

幡野:祈る。

井上:そんなの、みんな祈るわ(笑)。

幡野:じゃあ、練習しま~す。

井上:プロの場合、賞金シードを狙う時のパーオンする最低目標は18ホールのうち12ホール、つまり3分の2はパーオンをしないと、今のツアーのレベルだとシード権を獲るのは厳しいですよね。じゃあ、コーチから見て普段の練習ラウンドで選手がどれくらいのパーオン率をならシードを獲れるかという目安は、70%かな。ツアーで使うグリーンとではコンパクション(硬さ)が違うので、ツアーでは3分の2の66.7%、普段のラウンドでは70%はパーオンが、私が考える基準です。で、夏生はどうなの?

幡野:私のパーオン率は……、ジャカジャカピーン! 60%です。しかも四捨五入したので、本当は59%で~す。

画像: 幡野の2018年度のパーオン率は59%。本人曰く、一番の課題だそうだ

幡野の2018年度のパーオン率は59%。本人曰く、一番の課題だそうだ

井上:……じゃあ、それを上げるためにどうする?

幡野:以前はピンしか狙っていなかったんですが、今は、私はドローボールが持ち球なのでピンが右側の時はセンターを狙うという感じです。ごく普通の考えでございました。

井上:いいと思うよ。プロの場合、グリーンの端にピンを切られることが多いわけですよね。そういった厳しいピン位置でもパーオン率を上げていかないといけないので、実は、皆さんが思っている以上にプロはグリーンは安全に攻めているんですよ。つまり、安全でかつバーディパット狙えるエリアを選択して打っている。ドローボールヒッターであれば、左のピンであればセンターからつかまってくれて寄ればOKみたいに、決してピンに対してデッドに狙っているわけではないんです。

幡野:そうですね。

井上:そこで、大事なのが「ランディング・アングル」です。これってな~んだ?

幡野:じゃじゃじゃ~ん、ボールの着弾角度。

井上:(まさかの)正解!

幡野:ハッハッハ~ハ!

井上:ランディングアングルは、ボールがどういう角度で地面に向けて入ってくるかなんだけれども、PGAツアーの選手はだいたい50度になるように意識をしていると言います。でも50度ってなかなか凄くて、女子の選手で50度の角度を出せる選手は滅多にいないのかな?

幡野:テンプラなら。テンプラは50度くらいありますかね。

井上:そもそもテンプラの着弾角度に興味がないから!

幡野:そっか(笑)。

井上:グリーンを狙う時、9番アイアンから6番くらいまでが50度で入ってくると、グリーン上で止まる球が打てるようになる。だから、今、アメリカの男子ツアーで勝つには、相当狭いエリアにランディングアングル50度のショットを打ってくる技術が必要になってくる。松山英樹プロはそれが出来ているということなんですよね。じゃあ、幡野夏生プロどうなのということになると……。

画像: USPGAツアーで松山英樹プロが結果を出している要因のひとつとして50度以上のランディングアングルのショットを打てることがあげられる(写真は2019年のWGCメキシコ選手権  撮影/姉崎正)

USPGAツアーで松山英樹プロが結果を出している要因のひとつとして50度以上のランディングアングルのショットを打てることがあげられる(写真は2019年のWGCメキシコ選手権  撮影/姉崎正)

幡野:今、45度を目指してま~す。

井上:そうね。今年のアメリカ合宿の時に、今の女子ツアーのグリーンのコンパクションで止めるためには、45度の角度を目指して練習しましょうという話をみんなにしたよね。

幡野:私の5番アイアンは36度、37度なので……。

井上:40度を切ると急にグリ―ン上で止まらなくなってくるんですよね。だからもう5番アイアンはクビ! ユーティリティを入れるとかね。

幡野:でも奥からのアプローチは上手くなったよ。

井上:そもそも奥なんか行かなくてイイわ! 5番アイアンで難しい場合は、UTを得意クラブにすることでパーオン率を稼げるようにしていけばいいよね。

幡野:はい。

井上:ランディングアングルによって、グリーンの狙い方が変わるんです。ランディングアングルを45度の角度をつけられると、ランを抑えられるからグリーンの縦の幅を広く使えることになるわけです。逆に、40度以下になると落ちてから転がるから縦の幅が狭くなる。じゃあ一般アマチュアの人の場合は、どうしようか?

幡野:う~ん。まずはお祈りにいきましょう。厄払いも大事ですからね。

井上:(笑)。一般アマチュアの方の場合、ヘッドスピードが今の女子プロの平均の40~42m/sよりもちょっと遅いかなというイメージですから、それで言うと一般的なアマチュアの人の着弾角度は40度ないくらい。そうなるとグリーンに落ちてから、ランが出ることを計算してマネジメントしないといけないわけです。そこで、パーオン率にこだわるのはある程度の高さが出せる8番アイアン以降のクラブと決めておき、それより上の7番、6番はグリーンに乗せることを前提にしないとなると、マネジメントがすごく楽になるんですよ。

幡野:なるほど〜。

井上:厳しい番手でパーオンを狙って、入れてはいけないバンカーに入れたりするミスってけっこう多いですからね。というように、パーオン率も番手ごとに分けて考えてもらうとスコアメイクに役立つかもしれませんね。

幡野:はい。めでたし、めでたし。

画像: 狙うアイアンは8番から?パーオン率どう上げる? youtu.be

狙うアイアンは8番から?パーオン率どう上げる?

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