“落とそう”としても「HS40m/s超え」してしまうFW
ティショットがフェアウェイのど真ん中を捉えたのに、2打目でFWを持ったとたん“ダフリ・トップ”や“チョロ”の大ミスが出て、あら残念……。FWを苦手としていて、地面からボールが上がらない・飛ばせないというゴルファーは少なくない。そういうアマチュアにこそ「RS RED」のFWはオススメと、テスターの中村は言う。

RS REDのFW、UT、アイアンをプロゴルファー・中村修がコースで試打し、弾道測定器でデータ計測した
「このモデルは明らかにボール初速が上がります。フライトスコープでデータを計測すると、5Wのロフト(17度)でもミート率が1.44や1.46など高い数字が出ている。ハジくような鋭くて小気味いい打球音が、それを物語っていますね」(中村、以下同)
なぜ初速が上がるかといえば、「インパクト付近でヘッドが自然に加速して、フォローにかけて一気にスパーンと駆け抜けていく」からだと中村。
「これだけシャープに走るからこそ、ヘッドが真っすぐ動いて方向がブレないし、ダフリ気味に入ってもミスになりにくくて球がラクに上がるのでしょう。力まなくても上がるから、結果的にミスも減ることが期待できます」
実は「RS RED」の5Wで弾道を計測するときに、ドライバーのヘッドスピード40m/sに合わせて、5Wで37~38m/sを想定してテストに臨んだ。ところが、始めのうちはその数字がなかなか出せず、ヘッドスピードを“落とそう”としても「40m/s超え」に上がってしまった。それだけ「ヘッドスピードが自ずと上がるクラブ」なのだ。

「RS RED」FW(5番)。シャロー形状で重心角は25度と大きめ。深重心設計でやさしく飛ばせる
ここで「RS RED」FWの作りを見てみよう。インパクトでフェースがより大きくたわむ「Wクラウン」に加えて、フェース下部をL字型にした薄肉の「チタンLカップフェース」によって、高い反発エリアがグンと広がった。しかも、アマチュアゴルファーの平均的な実打点位置(下から17ミリ)周辺の初速性能を高めることで、フェースの“下っ面”で打つ=トップのミスもカバーしてくれる。チタンヘッドならではの設計自由度の大きさが生きているのだ。

フェース面上の重心点よりも下の平均実打点でも高い反発性能で飛ばせる
「打点ミスというと、フェースの左右ばかりに目がいきがちですが、とくにFWではフェース上下のバラつきによって弾道の高さや距離がそろわないケースも多くあります。でも「RS RED」のFWはフェース下側のミス(トップ)でもボールを拾ってくれて、球が上がっていく。スウィートエリアが上下にも広い印象です」

RS RED FWは「上下の打点ミスに強くなっている」と中村
やさしさの極めつけは、シャローなヘッド形状にある。ボディを薄肉化したことによる余剰重量をソールへ集中的に配分することで、重心角を大きく重心を深くできた。だからこそ、球がオートマチックにつかまって高く上がるのだ。
「ラフからでもしっかり球が上がる」実戦的なUT
続いては「RS RED」の4UT(20度)をテスト。フェアウェイからのショットでは、アイアンより球が上がりやすくて、FWより球が強くラインが出せた。
このUT、ボディ&フェースにはマレージング、クラウンにはチタンを用いた複合ヘッドだ。フェースを大きくたわませる「Wクラウン」を用いながら、フェースとフェース周辺を薄肉にすることで広い高初速エリアを備えている。
そしてFWと同様に、アマチュアゴルファーの平均的な実打点(下から17ミリ)周辺の初速性能を高めることで、フェースの下目でヒット=トップしてもミスになりにくい。形状はシャローにしつつ適度な重心深さと低重心にして、地面にあるボールをやさしくつかまえて上げられるようだ。

「RS RED」UT(4番)。シャローで低深重心のヘッド
何よりも、UTならではの強みといえば、FWに比べてヘッドがコンパクトでクラブが短めなこともあり、ラフから抜けやすくてミートしやすいこと。芝が元気な夏のシーズンに向けて、ラフからの打ちやすさもUT選びの重要なポイントになる。ボールが半分近く沈んだラフで「RS RED」のUTを打った。

「ボールが芝に潜っても、ヘッドがしっかり抜けて球を上げて飛ばしてくれる」と中村
「クラブがビュッと走るし出っ歯なこともあって、ヘッドに絡まったり引っかかりそうなラフにも負けずしっかり抜けます。そして、球をポーンと上げて飛ばしてくれる。ヘッドが深めに入ってフェースの上目でヒットしたり、ボールが芝に潜ってトップ気味に当たっても、球の飛び方が著しく変わることがありません。コース内のいろんなシチュエーションで頼りになる、実戦的なUTですね」
ポイントは純正シャフトにあり、と言う。
「手元剛性が高くシャフトの中~先がしなって戻り、ヘッドが勢いよく振り抜けます。ドライバーで40m/sやそれ以下のヘッドスピードでも、その加速感を得られるところが、シャフトの完成度の高さを表していると思います。」
スピード感があるシャフトだからこそ、ラフに負けないよう強く打ち込もうとかヘッドを深く入れようとか考えずに、素振り感覚で軽くシャープに振り切るイメージで振れると中村。
“スピード”が「RS RED」のウリだが、それはUTの設計にもしっかりと反映されているようだ。

シャフトはRS RED専用スピーダーエボリューション for PRGRシャフト。UTだけでなく、ドライバーからアイアンまですべて同じシャフトだ
パワーよりもスピード。その感覚が「RS RED」のUTを打ちこなすコツのようだ。
「“飛ぶだけ”じゃなくて“上がる・抜ける・曲がらない”」欲張りなアイアン
「RS RED」シリーズのテストもだんだんとグリーンに近づく。中村はアイアン(7I)を構えると、こういう印象を口にした。

「RS RED」 アイアン(7番)。面長ヘッドでトップラインは厚め。「払い打ちたくなる顔」だと中村
「ヘッドがやや“面長”でシャローに見えて、サラッと払い打ちたくなる顔ですね。と同時に、フェースをローテーションしながら打つのではなく、インパクトゾーンでヘッドをストレートに動かしていくイメージ。トップラインが厚めだし、ヘッドのサイズがあってボールを包み込むような安心感があるんです」
この「RS RED」のアイアンは、薄肉の「チタンLカップフェース」を用いながら、フェースの裏側に溝加工を施した。FWやUTと同じ「実打点高初速設計」と相まって、フェースの“下っ面”で捉えても(トップ)ミスになりにくく、広い高初速エリアを持ち合わせている。しかも「ソール幅が広いので、ダフリ気味に入っても滑って抜けてくれます」という。

ソール幅が広めなので抜けも良い
さらに魅力的なのは、7I=27度というストロングロフトでありながら、球がしっかり上がること。それというのも、重心高さが20ミリという超低重心設計が成せるワザだ。
「実際に打ってみると、前へ行く強い弾道が出るのに球が上がるからビックリ! 普通はフォローの風が吹くと球の高さが抑えられてしまうんですが、このアイアンはそういう状況でも十分に上がってキャリーが稼げます。それから、先ほども言ったようにトウ~ヒールが長いぶん、ヘッドの慣性モーメントが大きくて打点がバラついても球が曲がりにくいし、当たり負けせずにボールを押し込む手ごたえがある」
“飛ぶだけ”じゃなくて“上がる・抜ける・曲がらない”+αの性能がRS REDアイアンの魅力だ。

27度のストロングロフトだが「しっかり球も上がるし、曲がらない。抜けも良いですね」と中村
どのクラブも同じリズム、タイミング、スウィングでスピーディに振り抜ける
「RS RED」シリーズのFW、UT、アイアンを検証するうちに、ある共通点が見つかった。それは「やさしく飛ばせる」ことはもちろんだが、シリーズを通して「スピーディに振り抜ける」というコンセプトが一貫しているので、どのクラブも同じリズム、タイミング、スウィングで打てること。それはヘッドの作りも、フジクラと共同開発した純正カーボンシャフトのフィーリングも共通している。
「ソールが芝を“シュッ”と擦る音が鳴るように、リキまず払うように振り抜けば、ヘッドが走ってボールが勝手に飛んでいきます。持つ番手によってアドレスとボール位置が変わるだけで、スウィングはすべて同じ。シンプルになるからミスが減ります」
ゴルフクラブは単体ではなくセットで構成されている。もしも、FW&UTとアイアンの特性やスペックにギャップがあり過ぎたら「アイアンは打てるけどウッド系は当たらない」「ウッド系は調子が良いのにアイアンはまるでダメ」となってしまい、歯車がかみ合わなくなる。
しかし、ウッド系とアイアンのテイストや流れがそろっていれば、18ホールを通して同じリズムとイメージでスウィングできて、ゴルフがシンプルになる。そのメリットやアドバンテージは計り知れない。

ドライバーからFW、UT、アイアンまでシャフトが同じだから、同じリズムでスウィングできる
「『RS RED』シリーズを上手く打ちこなせるようになれば、周りのゴルフ仲間から『あの人はあんなに軽く振ってるのに、なんであれだけ飛んで曲がらないんだろう?』なんて羨ましがられて、優越感に浸れるんじゃないでしょうか(笑)」
さらに「RS RED」シリーズには、女性ゴルファーがヘッドスピードを上げてクラブを振り切って飛ばせる、女性専用設計の「RS RED レディス」(ドライバー、FW、UT、アイアン)もラインナップしている。
“スピードで振り切って飛ばす”のキャッチコピーは、ドライバーだけでなくFW、UT、アイアンでも十分にその性能を感じることができた。上手い人ほど軽く振っているのに飛ぶように見えるものだが、RS REDシリーズを手にすることは、もっとも簡単にそれを実現する方法かもしれない。
撮影/有原裕晶