面白いデータがある。昨年鈴木愛はニチレイレディスに9アンダーで勝利。平均パット数は3日間トータルで「26」だった。そして、今年、鈴木愛は同じニチレイレディスに9アンダーで勝利し、平均パット数も3日間トータルで「26」。つまり昨年と同スコア、同パット数での優勝だったのだ。上手いというより“強い”という印象の、鈴木愛のパッティング術に改めて迫った。

去年に比べて曲がり方が「全然違う」グリーンで変わらぬパフォーマンスを発揮

ディフェンディングチャンピオンとして試合に臨んだ鈴木は大会前の練習日にこう語っていた。

「ここのコースはすごい好きなのですが、練習ラウンドしてみて、例年よりもボールも止まるし、グリーンのスピードも出ていない。だいぶコースのイメージが変わっています。グリーンの曲がり方も全然違うと感じます。今年は今年のイメージで、去年までとは違うと割り切ってできれば、いいスコアは出ると思います。その辺が上手く対応できるか(がポイント)だなって思います」(鈴木)

画像: 大会2連覇を2週連続優勝で飾った鈴木愛。賞金ランクもトップに立った(写真は2019年のサントリーレディス 撮影/姉崎正)

大会2連覇を2週連続優勝で飾った鈴木愛。賞金ランクもトップに立った(写真は2019年のサントリーレディス 撮影/姉崎正)

イメージが違うにも関わらず、終わってみれば同じパット数、同じスコアでの優勝。このあたり、さすがの対応力と言えそう。そんな鈴木だが、“曲がり方が違う”というグリーンを練習ラウンドでどう読むのかも聞いてみた。

「読み方の秘訣は……そうですね、基本的に意識してるのはラインを見て、直線から曲がっていくところだけ。そこを見て打っています」(鈴木)

画像: 練習日に入念にグリーンの確認をしていた鈴木(写真は2019年のニチレイレディス練習日)

練習日に入念にグリーンの確認をしていた鈴木(写真は2019年のニチレイレディス練習日)

ニチレイレディースの練習日に取材したプロゴルファー・中村修はこう分析する。

「プロの中には、曲がるラインをイメージするタイプと、曲がりの頂点に仮想カップを置き、そこを直線的に狙って、その先は傾斜に任せるタイプがいます。鈴木選手のパットは、なんといっても強めのタッチが魅力ですが、曲がるラインでイメージするよりも、直線を意識したほうがよりタッチは強めに出しやすくなり、狙いの頂点も浅くなります。『直線から曲がっていくところだけを見る』という回答は、非常に納得がいきます」

パーオン率64.81%と悪くない中での平均パット数26でつかんだ優勝。梅雨の最中でスピードが出ていなかったグリーン上を制した背景には、鈴木愛の強めのタッチの土台となる「直線的なライン読み」があった。

高速グリーンでも、雨に濡れた重いグリーンでも勝てる。鈴木愛のパット技術はやっぱりすごい。

取材大会/ニチレイレディス

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