ニューヨーク在住のインストラクターとして最新のゴルフ理論を学び日本のゴルファーを導く宮崎太輝が一時帰国。稲見萌寧を優勝に導いた奥嶋誠昭プロコーチと開催したセミナーをプロゴルファー・中村修が取材した。

世界に数台しかない幻の計測器でシャフトフィッティグ

宮崎太輝さんのゴルフ理論はいたってシンプル。いかにスコアをよくするかの一点に絞られています。スウィング、フィッティング、マネジメントといった要素すべてがスコアアップに集約され、ブレがありません。

今回取材した5時間ほどのセミナーでは、参加したインストラクターやアマチュアゴルファーから様々な質問が飛び交いましたが、個人的に注目したいのが彼が持ってきた計測器です。

画像: シャフトにつけたセンサーからパソコンにデータを転送しシャフトの挙動を計測する「シャフトマックス」

シャフトにつけたセンサーからパソコンにデータを転送しシャフトの挙動を計測する「シャフトマックス」

その名は「シャフトマックス」。シャフト部分にセンサーを付けてボールを打つことでスウィング中のシャフトの縦方向のしなりと横方向のしなりをグラフで表してくれる器具。すでに生産中止で、世界に数台しか残っていない幻の計測器です。

さて、ご存知のようにスウィングは人それぞれ。シャフトがしなるタイミングやしなり戻るタイミングも人それぞれ違います。それをグラフにして可視化することで、手元調子や、中調子などのシャフトのキックポイント、SやXといった硬さ、重量などをフィッティングできるといいます。

セミナーに参加していた山本武史プロが7番アイアンとドライバーで計測した図を見てみましょう(図1)。縦軸は縦方向・横方向それぞれのしなりの大きさ、横軸は時間を表しています。詳しい説明は省略し、ざっくりと、画面左から右にスウィングの時間が流れ、波形が大きいほどシャフトが大きくしなっていると思ってください。

「この図からは切り返しに向けて負荷が上がり、インパクトのギリギリまでシャフトのしなりをタメて、一気にしなり戻していることがわかります。切り返しで負荷がかかるため手元は硬めが合い、一気にしなり戻りを起こすため中間部は手元に比べて軟らかいものが合う。最後に、縦方向のしなりと横方向のしなりの関係から、先端は硬めが合う。手元から先端に4等分して考えた場合、硬い・硬い・普通・硬いという分布のシャフトがマッチしていると思いますね」(宮崎)

図1:山本武史プロの計測データ。緑はドライバー、黄色は7番アイアンで実線は縦方向のしなり、点線は横方向のしなりを表す

宮崎さんは、このように図を読み解いていました。スウィングのどのタイミングでシャフトに負荷がかかるかを知り、それに合わせて手元から先端にかけての硬さを合わせていくという考え方です。また、最適な硬さもわかります(山本プロの場合『X』)

計測した山本プロに話を聞くと「今までは手元調子のシャフトが合っているのかなと思っていましたが、手元しっかりで中調子が合うとわかりました。選択肢を狭めてくれるので間違いが少なくなって助かります」と感心しきり。

スウィング中のどの位置でシャフトに負荷をかけているかがわかるこの曲線がプレーヤーによって異なり、テークバックを上げながら強く切り返すタイプ(画像A左)やゆっくりと切り返すタイプ(画像A右)ではシャフトにかかる負荷のタイミングは変わってきます。

自分のスウィングにマッチしたキックポイント(調子)やフレックスのシャフトを選ぶことでヘッドをスムーズに加速させ気持ちよく振れるようになると、宮崎プロは解説してくれました。

画像: 切り返しで大きくシャフトをしならせるタイプ(写真左)と切り返しではシャフトのしなりは少なくダウンスウィングでシャフトをしならせるタイプ(写真右)

切り返しで大きくシャフトをしならせるタイプ(写真左)と切り返しではシャフトのしなりは少なくダウンスウィングでシャフトをしならせるタイプ(写真右)

実際に私も計測しましたが、山本プロと同じような結果になりました。手元と先端部は硬めの中調子のシャフトで、たとえばディアマナの白やディアマナXがマッチするとのこと。色々なシャフトを打ち、飛んだものを選ぶとか、フィーリング的にいいものを選ぶのではなく、科学的にいいと証明されたものを選べれば、難しいシャフト選びはずいぶんシンプルになりそうです(もちろん実際にコースや競技などプレッシャー下での結果と照らし合わせて自分にマッチしたものを選ぶことも大切ですが)。

残念ながら日本未導入、かつもう生産していないという幻の器具的存在のシャフトマックスですが、なんでも宮崎さんたちはこの器具の設計図を入手、自分たちで作ろうと思っているのだとか。その試みも含めて、注目です。

取材協力/ヒルトップ横浜クラブ

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