いまさらながら女子ツアーでは毎週のように黄金世代が優勝争いを繰り広げている。ゴルフ5レディスではツアー2勝目を目指した淺井咲希がイ・ミニョンにあと一歩及ばなかったものの大会を大いに盛り上げた。黄金世代(98度生まれ)の優勝はこれまで計9名。今年だけでも5人が初優勝を挙げている。なぜ彼女たちは強いのか?

ツアーは「上手いだけでは勝てない」が……

試合に勝つにはもちろんそれなりの技術が必要だ。コーチたちの指導力も日々上がっており、ゴルフをはじめたころから優秀なコーチに師事し健全な技術を身につけた黄金世代はほぼ例外なくゴルフが上手い。

しかしただ上手いだけでは勝てない。精神力やスタミナなど心技体すべての面が充実しなければ優勝するのは難しい。

ではなぜ20歳前後の彼女たちが卓越した成績を残しているのか? それは“お手本”と“場慣れ”。この2つが大きなキーワードになっている。

お手本はもちろん日本人で初の世界ランク1位を経験した宮里藍の存在。宮里に憧れてクラブを握り、彼女を目指して切磋琢磨してきた畑岡奈紗や渋野日向子らがすでに海外で結果を出している。

画像: 日本人で初の世界ランク1位を経験した宮里藍の存在が黄金世代を中心とした若い世代に大きな影響を与えている(写真は2017年のサントリーレディス 撮影/姉崎正)

日本人で初の世界ランク1位を経験した宮里藍の存在が黄金世代を中心とした若い世代に大きな影響を与えている(写真は2017年のサントリーレディス 撮影/姉崎正)

2つ目の場慣れはジュニアが置かれた環境の向上。宮里が小さいころには「ゴルフ場に子供を連れてくるなんて」という風潮がまだ残っており、周囲の理解を得るのが難しかった。

もちろんまだ万全とはいえないが近年ジュニア育成に力を入れるコースもあり環境は改善。さらにジュニアやアマチュアの試合のセッティングが難しくなったことも“場慣れ”につながっている。

たとえば日本女子アマのセッティングはプロでも難しいほど厳しいセッティングが採用されており、その状況を「難しいから無理」というのではなく「挑戦したい」と積極的に攻めるジュニアたちが増えている。

画像: 全英女子オープンを制した渋野日向子(写真は2019年のニッポンハムレディスクラシック 撮影/岡沢裕行)

全英女子オープンを制した渋野日向子(写真は2019年のニッポンハムレディスクラシック 撮影/岡沢裕行)

だからプロの試合に出るチャンスを得ると「プロの大会はセッティングからなにからすべてがジュニアの試合とは違う」と壁を感じた宮里世代に対し、近頃は「確かに難しいけれどジュニアの試合でもこういう状況は経験しているから大丈夫。頑張ろう」と上位争いするアマチュアが多くなった。

目指すべき確固たる道があり、そこに向けて努力する同世代がいる。ひとりが勝てば「私も」と相乗効果で次々と優勝者が誕生する。

これは00年度生まれのプラチナ世代にも受け継がれている。マスターズの舞台で今年はじめて行われたオーガスタ女子アマで上位に入った安田祐香らが今度は黄金世代に追いつけ追い越せでツア
ーを席巻する勢力になるだろう。

渋野のメジャー優勝に刺激されたのか、全英女子オープンで予選落ちを喫した畑岡は続くCP女子オープンとポートランドクラシックで連続トップ5入りを果たし目下世界ランク日本勢最上位(9位)の面目を躍如。女子たちは相乗効果で益々強くなる!?

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