9月15日に姫路シーサイドGCで開催された「姫路オープン」。この大会は、‟日本初”の競技方法を採用し、注目された。男子プロ、女子プロ、シニアプロ、アマチュアが、4人一組となり、同じティーイングエリアから18ホールのストローク形式でプレー。記念すべき第1回大会の様子は?大会関係者と参加者に聞いた。

 

男子プロだけパー5をパー4にして、あとは同条件

「姫路オープンゴルフフェスティバル 2019」と題して開催された男女プロ・アマ混合のワンデイトーナメント。舞台となった姫路は、日本のゴルフ産業の歴史としてもゆかりのある地で、昭和初期に、日本で初めてアイアンのヘッドが製造が開始された地域と言われているほど。大会実行委員会の大谷祐介氏は、開催までの経緯をこう明かす。

「姫路は昔からゴルフ産業が盛んな土地でして、最盛期では60社ほどのゴルフ製造関連企業があったほどです。ただ、近年は時代の流れといいますか、いろんなメーカーが、海外で大量に機械生産する流れになり、工場などは当時の3分の1までに減りました。ただ、現在もこの場所には、軟鉄鍛造のクラブを作る工場もあり、ゴルフ熱というのは全国のなかでも、とても高い地域であるという自負もあり、何とか『姫路』でプロのトーナメントを開催したい、と1年以上前から大会へむけての準備を進めてまいりました」

 

画像: 男女プロ、シニア、アマチュアが全員同じティーイングエリアからショットし、賞金総額1200万円、優勝賞金500万円を目指した「姫路オープン」(写真は実行委員会提供)

男女プロ、シニア、アマチュアが全員同じティーイングエリアからショットし、賞金総額1200万円、優勝賞金500万円を目指した「姫路オープン」(写真は実行委員会提供)

PGA(日本プロゴルフ協会)や兵庫県プロゴルフ協会の協力も得て、地場産業の再興の願いも込めて行われた大会には、男子、女子、シニアから各30名のプロに加え、推薦と予選を勝ち抜いたアマチュア120名が参戦。

前日のプロアマ大会には、タレントの石田純一氏やSKE48の山内鈴蘭さんらが参加、本選のトーナメントにはゲストプレーヤーとして、関西出身でクラブアナリストのマーク金井氏、元阪神タイガース監督の岡田彰布氏、真弓明信氏など豪華な顔ぶれが集結した。

賞金総額1200万円、優勝賞金500万円!結果は戦前の下馬評を覆し……

他の大会と違うのは男女プロと、シニア、アマも同一のティーイングエリアからプレーする点だが、賞金総額は1200万円、優勝賞金は500万円と高額。女子プロ部門のベストスコア選手には、さらに賞金100万円。

そうなるとどうハンディをつけるかだが、4ホールあるパー5を男子プロのみ「パー4」に。飛距離面で男子プロが有利と思われる部分の均衡化をはかり、女子プロやシニア、アマチュアでも上位を狙えるようにした。

「大会前は『おそらく男子プロが勝つんだろうな』というのが大方の予想であったと思いますが、賞金も出る大会ですし、そこはコースセッティングの専門家の方からも話を聞いて、アマチュアや女子の方でも‟競える”大会ができたのではないかと思います」(大谷氏)

その狙いは結果にダイレクトにも表れた。大方の予想を覆し、初代王者は6アンダーで女子ステップアップツアーで活躍中の竹山佳林。2位タイの4名は、松井一浩を除きアマチュアが3名。トップ10入りした15名のなかで、実に7名の女子プロとアマチュアが入った。

「みんゴル動画」でお馴染みの小澤美奈瀬も参戦

大会には「みんゴル動画」でお馴染みのLPGAティーチング会員・小澤美奈瀬も参加。4オーバーの82位タイの結果にも「今まで出た大会とは、いい意味でちょっと違いましたね。私のような女子やアマチュアの方も、男子プロと同じティから打つので‟厳しいかな”と思ったのですが、逆にアマチュアや女子が男子のショットに引っ張られて、ナイスショットが多くなって、私も途中までかなりいい線行ってたんですよ」と中身の濃いラウンドだったという。

画像: 第1回「姫路オープン」が開催された姫路シーサイドGC。大会当日は家族連れも楽しめるように、飲食や物販の出店もあり賑わいをみせた(写真は小沢美奈瀬プロ提供)

第1回「姫路オープン」が開催された姫路シーサイドGC。大会当日は家族連れも楽しめるように、飲食や物販の出店もあり賑わいをみせた(写真は小沢美奈瀬プロ提供)

さらにギャラリーの熱気も、これまでにないものを感じたという。

「今までにないぐらいの私もたくさん声をかけていただいて……なんかゴルフ観が少し変わったというか。賞金も出る大会でしたし、これまでの試合では『いいショットを打ちたい』と思ってやっていたと思うんですけど、もう昨日はそれは置いておいて、とにかくお客さんに楽しんでもらいたい。楽しんでもらえたら、それでOK! と思えるような大会で、私自身もすごく楽しくプレーさせていただきました」(小澤)

実行委員会によると、第1回大会の観衆は2330人。男女レギュラーツアーが開催された週末で、一地域でこれだけの集客数は悪くない結果にも思えるが、同委員会の大谷氏は「次回大会はもっと盛り上がる大会を作り上げたい」と意気込む。

「実は3000人を目標にしていました。ですが、ちょうど近くの(同じ兵庫県)三木市で『日本女子ゴルフ選手権 コニカミノルタ杯』をやってまして……‟渋野人気”に(ギャラリーを)持っていかれてしまったとさえ思っています。今回は男女ともにレギュラーツアーを開催中にやりましたが、もっと違う時期にやれば、多くのゴルフファンの人が『見たい!』思えるようなプロに来てもらえる可能性も膨らみますし。そこは次回へむけて考えていくつもりでいます」(大谷氏)

日本のゴルフ産業において、ゆかりの地でもあった「姫路」を今度はツアーの開催のメッカとして認知されるスポットにーー。市の行政や県のゴルフ協会をあげての取り組みは、今後も続いていくようだ。

 

 

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