台風19号の影響で2日目の競技が中止に。最終日は9ホールの短縮プレーで、27ホール決着となった女子ツアー「スタンレーレディスゴルフトーナメント」。1アンダー25位タイで最終日を迎えた渋野日向子のプレーを、プロゴルファー・中村修が密着レポート。

9ホールの短縮プレーの出だしチップインで「おはようバーディ」

スタンレーレディスは、台風の影響で昨日が競技中止になってしまっただけでなく、最終日の今日も9ホールの短縮プレーでの競技となりました。コースのメンテナンスが必要ということでスタート時間もトップスタートが10時30分。渋野選手はお昼過ぎからの遅いスタートでした。

初日をトップで終えた黄アルム選手は7アンダーですので、渋野選手が逆転優勝するには9ホールで6打差をひっくり返さなければなりません。しかも今日は安全を重視しての無観客試合。ギャラリーの後押しもないとあっては、さすがの渋野選手でも、これはかなり至難の業でしょう。

最終日に8打差を逆転した渋野選手ですが、それも18ホールあってこそ。さすがに9ホールで6打差は厳しく、優勝というよりは、賞金女王を目指す中でひとつでも上の順位でフィニッシュし、少しでもシン・ジエとの差を詰めておきたい最終ラウンドとなりました。

渋野選手は、コース入りするとまずパットの練習を10〜15分ほど、ロングパットを中心に行いました。昨夜の雨でゆるくなったことが想定されるグリーンに対応するためのタッチ合わせでしょう。

その後は普段どおりアプローチ、ショット、パッティングと練習をして、12時20分のスタートに備えました。

画像: 出だしの10番はチップインバーディで好スタートを切った

出だしの10番はチップインバーディで好スタートを切った

今日の組み合わせは前田陽子選手、新垣比菜選手とのペアリングでした。スタートは10番ホール。ここは187ヤードの長いパー3です。

渋野選手はティショットこそグリーンオンせずボールが手前の花道に残りましたが、なんとそこからチップインで、スタートは昼過ぎですが、いわゆる「おはようバーディ」を奪取。このチップインでエンジンがかかります。

次の11番はダラダラと打ち上げる長いパー5ですが、ここは3オン2パットのパー。続く12番はパーオンしてのイージーパー、13番では左のラフから3メートルにつけるショットを見せました。バーディパットは惜しくも外しパーでしたが、ショットの調子はよさそうです。

画像: 14番はセカンドを1メートルにつけバーディを奪った

14番はセカンドを1メートルにつけバーディを奪った

そして迎えた14番ホールは、ティショットでドライバーをナイスショットすると、2打目は52度のウェッジでピンそば1メートルにつけて今日2つめのバーディを獲ります。やはりショットは好調そう。

15番は3番ウッドでティショットし、2打目はピンハイにキャリーさせますがバックスピンで戻ってしまい、4メートルのバーディパットを決められずパー。

16番ホールは打ち上げのパー3。グリーン奥に切られたピンを狙ったショットは少々オーバーし、ピン右奥のカラーへ。この16番は奥から下りの傾斜がキツく難しいグリーンなのですが、渋野選手はここでもアプローチをチップインさせ、3つめのバーディを奪います。

画像: 17番ホールでは4メートルのパットを決めパーセーブ

17番ホールでは4メートルのパットを決めパーセーブ

17番では、ラフからの2打目がボールの下をくぐってしまいショートしてグリーン手前の窪地へ。自分の背丈よりも高い位置にあるピンを狙う難しいアプローチを残し、今日最初のピンチを迎えます。しかもそのアプローチもショートしてカラーまでしか運べず、4メートルの難しいパーパットが残りました。しかしここはさすがパット巧者。難しいパットを沈めてパーセーブします。

トータル4アンダーで迎えた最終18番は、打ち上げの長いパー5。ティショット、2打目ともナイスショットを続けた渋野選手は、90ヤード弱の3打目を1.5メートルのベタピンにつけてバーディフィニッシュ。

上がってみれば4バーディノーボギーの32で、最終順位は優勝した黄アルム選手とは3打差の6位タイでしたが、今日のベストスコアを叩き出しました。

相変わらずの爆発力は、3日間フルに戦えていれば、せめて今日あと9ホールプレーできていればと感じさせてくれ、ギャラリーのいない試合ながらも見ていて熱量の上がるプレーでした。

今日の渋野選手は2つのチップインを決めるなどアプローチが冴えていましたが、ホールアウト後に話を聞くと、初日とアプローチの打ち方を少し変えたのだとのこと。

「初日はボール位置が結構右だったんですが、今日は少し左寄りにして、フェースを開いて打つようにしました」(渋野)

初日のプレーでは、アプローチが強く入ってピンをオーバーする場面が2度ほどあったのですが、それを踏まえてボール位置を左寄りにし、インパクトが強くならずに少し柔らかく落ちる球が出るように変更したということです。

今週は青木コーチが帯同していませんから、これを自分の判断で行い、しかもトーナメントウィーク中に修正して結果を出したということ。先週の日本女子オープンで畑岡奈紗やユ・ソヨンと一緒に回ったことなどから多くを吸収し、早速成長しているんだと思います。賞金女王に向けて、ようそろといったところでしょう。

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