日本初開催のPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」の開催がいよいよ来週に迫ってきたが、ギア好きゴルファーの注目はトッププレーヤーたちのクラブセッティングだ。ギアライターの高梨祥明がその見所、マネどころについて紹介!

アイアンは9番まで。PWはウェッジシリーズにするのがPGAツアー流。

PGAツアープレーヤーのクラブセッティングを見ていると、年々、46度や47度のウェッジをバッグに入れるプレーヤーが増えていることに気づく。かつてはプロのアイアンといえば、#3〜#9、PWという感じで、ピッチングウェッジ(以下PW)は“アイアンセットの範疇”というイメージがあったが、現在のPGAツアーではアイアンのPWを抜いて、ボーケイやクリーブランドといったウェッジシリーズのPW相当ロフトをチョイスするケースが増えているのである。この背景には何があるのか? タイトリストのマスタークラフトマン、ボブ・ボーケイ氏に聞いた。

画像: AWやSWだけじゃなく、PWもウェッジシリーズを入れているトッププレーヤーもいる(撮影/野村知也)

AWやSWだけじゃなく、PWもウェッジシリーズを入れているトッププレーヤーもいる(撮影/野村知也)

「すべてのアイアンがということではありませんが、近年はアイアンでも飛距離性能が求められるようになっていますね。そうなるとヘッドのシェイプ(カタチ)もフルショットで飛ばしていくイメージを持ちやすい形状に変わっていくのです。とくにストロングロフトのアイアンはその傾向が顕著です。しかし、ツアープレーヤーにとってPWは今も昔も“狙っていく”クラブなのです。コントロールを前提にショットを行う“飛ばさない番手”。だからウェッジを選ぶのが自然なのです」(ボーケイ氏)

ボーケイ氏によれば、PGAツアーではすでに70%弱のプレーヤーがウェッジシリーズのPW(46度〜49度)にスイッチしているのだとか。アイアンにも飛ばすと狙うの境界があり、PGAプレーヤーにとってはそれがPWということなのだ。もちろん、ブルックス・ケプカのようにアイアンセットのPWも使用するトップ選手もいるが、その割合は年々減少してきているのが現状だ。

カタチだけではない! PWをウェッジシリーズにする理由はもう一つある。

PGAツアーでPW相当のウェッジが選ばれる理由について、“もうひとつある”とボーケイ氏が教えてくれた。

「ウェッジとアイアンで大きく異なる形状的な違いはリーディングエッジの丸み(つまりF.P.値)です。丸みが強いウェッジの方がボールを拾いやすく、軌道を変えて打ったりすることにも適しています。そして、あまり気にされていない大きな違いがスコアリングライン(溝)に対する考え方なのです。ウェッジとアイアンでは溝の形状設計(シャープさ・深さ)から製法、そして溝と溝の間の状態(レーザーによる表面テクスチャなどの有無)に至るまでとにかく大きな違いがあるのです」(ボーケイ氏)

ウェッジは飛ばすのではなく、“スピンコントロール”してボールを操るためのクラブ。そのために溝はもちろん、ソール形状、実効バウンスの設計に至るまで、とにかくありとあらゆる部分に専用設計を施している。ゆえに“PWでカップを狙いたい、寄せたい!”と願うなら、アマチュアゴルファーもウェッジシリーズのPW相当ロフトを使ってもらいたい、とボーケイ氏はいうのだ。

画像: マキロイもアイアンセットのピッチングを抜いてウェッジシリーズ48度を入れている

マキロイもアイアンセットのピッチングを抜いてウェッジシリーズ48度を入れている

しかし、実際にアマチュアが多く使用しているアイアンモデルのPWのロフトは43度近辺が多く、最近ではそれ以下の超ストロングロフトになったモデルも珍しくない。そうなってくると、PGAプレーヤーのようにPWを抜いて、というわけにはいかなくなるが……。

「ストロングロフトアイアンを使っている場合は、PWとAWとの間が大きく開いてしまうのが普通です。例えばPWが43度でAWが54度ならそのギャップは11度にも開いてしまう。そこでその間に50度のギャップウェッジを入れることを推奨しています。そうすることでシンプルに、フルショットを主体とした距離の打ち分けができるようになるのです」(ボーケイ氏)

基本的には“寄せたい!”と強く思う短い距離は、ウェッジにまかせてほしいとボーケイ氏はいう。PGAツアープレーヤーの多くにとっては、それがPWの距離なわけだが、我々アマチュアも100ヤード前後くらいからは“寄せたい”“乗せたい”という欲が強く出てくるはずだ。そこにウェッジシリーズの50度(ギャップウェッジ)を入れる。それがPGAツアー流に学ぶ、アマチュア向けの賢いセッティング術となると思うがいかがだろうか。

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