気になるハザードまでの距離も、画面を見るだけ
検証の舞台に選ばれたのは東名カントリークラブ(静岡県)の裾野コース8番パー5。ティショットは打ち下ろしで、フェアウェイ中央にたたずむ池の手前からグリーンまでは打ち上げとなり、距離感が難しい。11年のスタンレーレディスでは有村智恵がアルバトロスを決めた名物ホールだ。
ほぼ初めての操作。電源ボタンを押すと、液晶画面上に8番のホールレイアウトが表示された。
「起動が早いですね! 1分くらいかかるイメージがあったので……。画面がすごく大きくて、カラーだと画質もキレイ。数字も文字も大きくて見やすいし、それに軽いです」(杉山)
GPS測位時間は約20秒と、従来機種に比べて大幅に短縮。3.2インチの大型画面を搭載しながら、重量は約150gに抑えられている。しかも、面倒な入力は一切なく、GPSで現在位置を確定し、ゴルフナビ「YGN7000」が勝手に「東名CC裾野コース8番ホール」のデータを供給してくれる。これは便利だ。
さっそく、その大型画面でハザードまでの距離を確認すると、「池までは318ヤードあるので、池には届きませんね」(杉山)と一目でわかる。今年のゴルフダイジェスト ジャパン ロングドライブ チャンピオンシップで309ヤード飛ばして優勝し、日本代表として世界大会に出場した飛ばし屋も、今日のコンディションでは池には行かないと判断した。
「画面をタッチすると、その場所までの距離がわかるのは便利ですね。池の手前にもラフが入り組んでいて、290ヤードまでがフェアウェイギリギリなんですね、なるほど。気になるのは両サイドのバンカー。左はバンカーの出口まで233ヤードなので、こちらは超えると思います。右のバンカーを超えるには244ヤード。なので、右のバンカーを避けつつ、フェアウェイを狙っていきたいと思います」(杉山)
「YGN7000」を見て冷静に判断した杉山のティショットは、意図に反してやや右に飛び出すも、右のバンカーをキャリーでオーバーしてフェアウェイ右サイドに止まった。さすが女王!
「左のバンカーには入らないという安心感があったので、いいボールが打てました♡」(杉山)
ストレスなく正確な距離が把握できたことが、ナイスショットを呼び込んだようだ。
レーザーおなじみの高低差表示に加え、YGN7000ならではのレイアップサークルを搭載
そんな杉山だが、普段はレーザータイプの距離計測器を使用しているという。レーザータイプを使う理由を聞くと、「当てたもの(目標)に対してすぐ距離が出るので気に入ってます」(杉山)とのこと。
そのスピードに関しては「YGN7000」ならば遜色がないことがわかったが、さらに話を聞いていると、レーザータイプの利点に「高低差が測れること」を挙げた杉山。しかし今回杉山が体験している「YGN7000」にも高低差機能が搭載されており、現在地からグリーンセンターまでの高低差を表示する。そのことを知ると驚きを見せ、すかさずその原理をユピテルの製品担当に尋ねる。
「ティとグリーンセンターとの高低差については、国土地理院のデータがあらかじめ収録されています。そのデータを基準に、気圧センサーで標高の変化を計測して表示しているのです」(ユピテル製品担当)
「だから、『YGN7000』でも高低差が出るんですね。2打目はいいところにありました! でも足場がかなり左足下がり……」(杉山)
グリーンセンターに立てられたピンまでは残り194ヤード。距離だけ見れば2オン圏内だが、左足下がりのライやバンカー越えになることを考慮してレイアップを選択。ならばと、ユピテル製品担当が「レイアップサークル」機能を杉山にすすめる。
「得意なグリーンまでの残り距離を登録しておくと、画面上に赤いサークル(円)で表示してくれるんです」(ユピテル製品担当)
さっそく、杉山の得意な75ヤードを登録してもらい、狙いどころを決定。
「あらかじめレイアップしたい距離を設定できる便利な機能があるんですね。残り75ヤードまでどれくらい打てばいいか、すぐにわかるので、番手選びが簡単になりますね」(杉山)
75ヤード残すために打つ距離は125ヤード。
「125ヤードだけど、左足下がりでキャリーが出ないのと、打ち上げがあるから7番アイアンで大きめに打っていきたいと思います」(杉山)
第2打が見事にフェアウェイをとらえた杉山。レイアップサークルの威力を実感した様子で、
「パッと見て、残したい距離に対してどれくらい打ったらいいか確認できるのがいいと思います。レーザーだとピンには当てられるけど、『フェアウェイのここ』はなかなかできない。それに、天気が悪いとピントが合わないし、ピンが見えないと測れません。レイアップサークルは『YGN7000』の利点だと思います」(杉山)
受信精度&感度の向上でレーザー並みの正確性を実現
「いよいよサードショット地点に来ました。ここで、『YGN7000』とレーザーの精度がどれだけ違うか検証してみたいと思います」(杉山)
まずは使い慣れたレーザーで計測してみる杉山。
「レーザーだと59ヤード。高低差はプラス1ヤードです。75ヤード残すつもりが、左足下がりと打ち上げを気にして大きい番手を持ちすぎましたね」(杉山)
続いてYGN7000。
「60ヤード、高低差はプラス1ヤードなのでほぼほぼ一緒ですね。普段、レーザーを使ってるのでGPSより信用してるフシがありましたけど、精度はほとんど変わらないですね」(杉山)
「このモデルから、GPS、みちびきに加え、ガリレオを含む3つ測位衛星システムに対応し、ガリレオの衛星数26基増えたことで精度が高くなりました。さらに、みちびきが配信するサブメーター級補強サービス『LIS』に対応しており、誤差を補正していままでとは段違いの精度を実現しました」(ユピテル製品担当)
第3打をピンに寄せると、バーディトライも成功。
「『YGN7000』でバーディですね! いい攻略ができたと思います」(杉山)
高精度・カンタン・ラクなYGN7000に、レーザー派の杉山も心がグラリ……
検証を終えた杉山に、あらためてYGN7000の印象を聞いた。
「まず、電源ボタンを入れたら、ほとんど操作の必要なく情報が見られるのがいいです。距離もレーザーとの誤差がほとんどなくて、そこはすごいと思いました。パッと見て全部の情報がわかるのも便利だし、それと今日びっくりしたのは高低差も測れること。高低差が入った距離が自分で計算しなくてもわかるので、すごくラクだし、番手選びもカンタンで早い。プレーも早いので、すごいおすすめだと思います」(杉山)
「さらにこのモデルから、高低差アジャスト機能という高低差を加味した打つべき推奨距離を自動で表示する機能が備わっています」(ユピテル製品担当)
ちなみに、「高低差表示」を非表示にする競技モードを搭載しており、競技会での使用にも対応している。また、ほかにもYGN7000ならではの便利な使い方があるという。
「林の中に入ったときに、これくらい出したら次にどれくらい残るかが、画面タッチですぐわかります。あと、隣のホールに打ち込んでも、画面がそのホールに切り替わらず、ちゃんと今プレーしているホールのグリーンまでの距離を教えてくれるので、しっかり狙っていけます」(杉山)
ただし、気になった点もあるという。
「ポケットから取り出したときに、常に画面がついているので確認しやすいのはうれしいんですけど、電池がなくなったりしないんですか?」(杉山)
その点もご安心を。大容量バッテリーを採用し、最大約31時間稼働。「明るさ普通」「省電力移行時間オフ(常に画面を表示)」のデフォルト設定でもたっぷり14.5時間使用できる。
「それなら2ラウンドは余裕でいけますね♡」(杉山)
レーザー派の杉山も、今回の検証を通じてかなり心が揺れているようだ。
「私はすごくエッジまでの距離を気にするんですけど、レーザーだとバンカーが手前にあると、アゴに当たって測りにくいんですね。YGN7000はエッジ・センター・奥までの距離を表示してくれるので、ピンが手前のときに、エッジを必ず超える距離がわかってありがたいです。
いろいろな方と一緒にラウンドしていると、レーザーだと手ブレしてうまく的に当たらないので、使わないという方がいます。でも、残り距離がわかったほうがスコアには絶対いいので、そういう方は高精度・カンタン・ラクなYGN7000をぜひ使ってみてください!」(杉山)
【スペック】
外形寸法 61(幅)×129(高さ)×17(奥行)mm(突起部除く)
本体重量 約150g(内蔵電池含む)
表示部 3.2インチTFTカラー液晶(VGA)/静電式マルチタッチディスプレイ
防水の種類 IPX7準拠(防浸形設計)
使用可能時間 最大約31時間(輝度を「暗い(1)」、省電力移行時間を「20秒」に設定時)
充電時間 約6時間
GPS受信方式 22チャンネル/パラレル受信方式
GPS受信周波数 1.6GHz帯
電源 3.6Vリチウムイオン2次電池(2400mAh)
動作温度範囲 -10~ + 60℃
価格 オープン価格